その他の感想・レビュー3417件<<113114115116117>>あらかじめ失われ 決して手に入らないもの栄光なき天才たち1 森田信吾名無し「あらかじめ失われ 決して手に入らないもの」が僕にはあまりにも多いのです。恋人だったり財産だったり、才能だったり…。もちろん栄光も、今後手に入らないことでしょう。どれか一つでもあれば他のものも手に入るのでは…そんなことも考えたりしますが、実際どうなのでしょうか。 『栄光なき天才たち』は、大きな才能をもちたゆまぬ努力をしたにもかかわらず、運命のイタズラや周囲の無理解によって報われない人々の物語です。 登場する人物の名前を、僕は殆ど知りませんでした。それは彼らが栄光を浴びることで歴史に名前を残すことができなかったからです。それをもって、彼らを敗者と断じていいのか?名前をしらないことが、そのまま彼らの業績を低さを現すのか?そうではなかった。名も知らない彼らには輝かしい実績があり、心震わす生き様があったのです。 破滅型の天才小説家・島田清次郎の狂死や、周囲の無責任な期待に追い詰められたマラソン選手の円谷幸吉やテニス選手・ブルドック佐藤の死に心震わされますが、私は特に川島雄三に強く惹かれました。 川島雄三は、とかく重いテーマの作品ばかりがもてはやされる戦後の映画界に喜劇作品を撮影していた映画監督です。物語は今村昌平が助監督として川島雄三組に参加するところからはじまります。毎晩、酒をのんでどんちゃん騒ぎ、会社に言うなりふざけた作品ばかりを作る川島雄三に今村昌平は失望します。しかし、日活に移ってからは、喜劇の名作を連発。そして代表作『幕末太陽傳』の撮影が始まります。 口先とノリでうまく世渡りをする男が、田舎者の親父に現実的に説教をくらい、どこまでもどこまでもマジメな世の中から逃げ続けていく、そんな作品をなぜ、川島は撮ろうとするのか…。周囲に誤解されてもどこまでも真剣にふざけようとする川島の鬼気迫る雰囲気に圧倒されていきます。そしてその結果は… 挫折や無理解のなかでも輝くような業績を残す人がいる、そんな感動がこの作品にはあります。 ところで、自分の事を語るようなメロドラマが大嫌い、どこかヒネている川島雄三の姿が爆笑問題の太田光にとても似ているように思えたのは僕だけでしょうか。ヘンタイ(^^)美夜ちゃんはママ 千氏夜名無し哲哉と沙織の絡みを、美夜が見てしまう… 哲哉と美夜の母親の絡みを、美夜が見てしまう… 哲哉がエロDVD見ながら一人エ●チしてるとこを、美夜が見てしまう… こんなシチュエーション見てみたい!朝、満員電車に揺られながら読んでほしい漫画カネコが青平台で降りなかった3つの理由 うえはらけいたnyaeまさかの結末。追い込まれたサラリーマンが主人公だと、”よくあるやつ”にくくられがちだけど、そう思った人にこそ読んでほしい! 内容としては、シュールといえばシュールだし、ファンタジーと言われればそうかもしれない。でも軸にあるのは現代的な人間ドラマ。 もし自分がカネコと似た立場で、朝の満員電車に揺られながら読んでいたら、全然感想が違っていたかもしれないな。 シンプルだけど独特なクセがある作品なので、ショートアニメーションとかにしたら面白そう。映像化希望!笑吾妻ひでお先生・・・カオスノート 吾妻ひでおstarstarstarstarstar干し芋お亡くなりになって、初めて読みました。 凄い才能が、消えてしまった。 リアリティのあるディストピア社会を描くえれほん うめざわしゅんANAGUMAさまざまな仮想社会を描いた短編が3本収録された短編集。 萌えキャラを象徴と仰ぎ「リア充アジー」を弾圧する一党独裁国家、鼻歌を歌うだけでも厳罰となる知的財産権管理が超厳格な社会、母親とつながった臍の緒を切ると死んでしまう「臍子」の居る世界…。 いずれも大胆かつ緻密な世界観設定で、読むのに僕はかなり頭使いました。 秀逸な設定と連動してキャラクターの心がグラグラと揺れ動くことで物語が駆動していくのですが、そのリアリティがすごい。 「ありえるかも」という絶妙な法律や制度が仮想されていて、それを受けたキャラクターが「こう感じて、こう行動するだろう」という感情の表出に説得力があります。 自分は本作を読んで『リベリオン』という映画が頭をよぎりました。特に一作目の『善き人のためのクシーノ』などは、おそらく意識して描かれていると思うのですが。 『リベリオン』では制度を守る人間を主人公に据えることで、制度の内側からその歪みと悪辣さを指摘し、社会の閉塞状況を打破することをある種反証的に肯定していました。 『えれほん』においても同様の構造が採用され、読者は制度に囚われた人物の視点で、その欺瞞と息苦しさを反芻し、世界のあり方を仮想する箱庭的な思考実験に望むことになります。 『リベリオン』では現状の制度を否定し、異なる社会を提示する「外への働きかけ」が首肯されますが、本作では物語の結末は徹底して登場人物個々が「内へ潜心」することで決着するのが非常に印象的でした。 乱暴にまとめれば、彼らは「気持ちひとつ」で制度との関わり方を変えていくのです。 息苦しいことやネジ曲がった制度をスカッとブチ壊す物語はいくらでもありますが、本作の登場人物たちが見せるこの捉え方はとても魅力的に思えました。簡単に答えを出さず、ちょっとのことでは世界は変わらないけど、それでも踏ん張って思考を重ね続ける姿は非常に前向きで、僕は大好きです。 簡単なハッピーエンドと言えるものはひとつもなく、禅問答のような作品群ですが、圧倒的な読み応えがある一冊です。グラフィックノベルの常識をくつがえす挑戦的作品!サブリナ ニック・ドルナソ 藤井光書肆喫茶mori店主グラフィックノベル初ブッカー賞ノミネート!早川書房が発行!と話題の多い本作! ある日突然サブリナという名の一人の女性が失踪する。彼女の恋人とその友人、そしてサブリナの妹を中心に物語は進んでいく。 驚くべきは、一部のコマを除き、登場人物たちの顔が、表情筋がないかのような、点と線というシンプルな描線で描かれていること。 その表情は、たとえシビアで悲痛な場面であっても、あたかもアルカイックスマイルのような微笑みを浮かべているようにさえ見えるのだ。 視覚的要素と内容とがチグハグな印象を与え、この作品に言いようもない不気味さを加えている。そして失踪事件にまつわる顛末をいっそう衝撃的なものへと導いている。 グラフィックノベルの常識をくつがえす、グラフィックノベルの新たな境地を追求する、挑戦的な作品です!ヘンタイ美夜ちゃんはママ 千氏夜名無し哲哉がヘンタイでオモロイ。 新久千映先生流の「おひとり三昧」yeah!おひとりさま 新久千映名無してっきりワカコ酒の作者本人による ノンフィクション一人酒飲み歩きマンガかと思っていたら アラサー女性(新久先生本人)一人での 色々なノンフィクション・イベント体験マンガだった。 「ひとり居酒屋」も勿論あったが「ひとり回転寿司」 「ひとり焼肉」などの飲食系のほかにも 「ひとりスポーツ」(人生初のバッティングセンター) 「ひとり行楽地」(営業時間ギリギリの後楽園) 「ひとりイベント」(災害訓練や舘ヒロシ来場イベント) など、なかなかにハードルが高そうなものまで多種多様。 ノリはやっぱりワカコ酒的で、少し酒が絡んだりしながらの 少し、おひとりさま故の自意識過剰か否かの葛藤も あったりしながらの ひとりも楽しいよ、という体験マンガ。 多分、新久先生のような方は多人数で行動したらしたで それにあわせた楽しみ方をするのだろう。 けれど、物事にたいする観察眼とか捉え方が独特なので こういう方だから一人で自由に行動しても 勝手にドンドン楽しみ方を見つけられるのだろうなあとも思った。 面白がる能力があるというか。 そして感じた面白さを他人にも面白く伝える マンガ術も持っているからこのマンガとか ワカコ酒とかの面白いマンガを描けるんだなあ、と思った。二十一世紀科学小僧二十一世紀科学小僧 唐沢なをきマウナケア多作で知られる唐沢なをき。むかしN○Kとのやらせトラブルがニュースになってしまいましたが、本当のところ、トラブルの元凶であるインタビュアーは著作をちゃんと読んだことがあるのか、今でも疑問に思います。特撮をテーマにした近作しか読んでないのでしょうね。ちょっと近いSFというテーマでも、この作品のように、ユーモアが詰まっている作品が、それこそ山のようにあるのですから。主人公は1(ピン)太郎という少年で近所でも有名な天才科学者。でも彼は相当マセてます。こんな顔してしょっぱなから「虚構と欺瞞に満ちた社會に鉄槌を」とか「若い女性を肉奴隷として調教する」などなんとも勇ましい。そんな高尚?な心意気で数々の名発明をするものの、やはりろくでもない結末に。この適度に気の抜けた感が著者の持ち味。ここがわからないようなら、そもそも唐沢を語る資格などないでしょう。そんな、オバカなお話をオールカラーでお楽しみください。もっと続いてほしかった拷問トーナメント 高遠由子 アオイセイ十六夜咲夜つまんねとか言う人は見ない方がいいと思う。普通に面白いです。エロいし過激なシーンが多いけど。 逆にこれで完結なのが…もっと続いてほしかった。 本宮ひろ志、政治家を目指すやぶれかぶれ 本宮ひろ志マウナケア今ならウケると思うんだけどなあ。時はロッキード事件で日本が揺れていた1980年代初頭。漫画家・本宮ひろ志本人がなんと参議院選挙に打って出て、その過程をルポ漫画として描くという意欲作。ですが、一般人にはわかりにくい政治の実態を漫画に、という面ではこの発表形態では失敗だった、と思います。なにせ掲載が少年ジャンプ。子供向けではないし、文字も多く詰め込み過ぎてこのページ数では読みづらい。ただ、大人になってから読むと違和感はそれほどでもない。政治家に真正面から斬り込む姿勢に好感を持てるし、むしろ漫画として深い内容になっていると感じます。一般誌で時間を割いて、というのが一番でしょうが、それができる時代ではなかったのでしょうね。30年早かったか。田中角栄との会談や、編集部とのやりとりなど内幕暴露話として面白い部分もあって、見るべきところは多いだけにもったいない(あと若き日の菅直人も)。当時の少年は一度読んでみるといいですよ。また後の『大いなる完』『実録たかされ』にこの経験は生かされているので、そんな面から見るのも一興です。わななきの義兄は面白いぞ!わななきの義兄【単行本版】 窓ハルカかしこ作者の窓ハルカ曰く、わななきの義兄は「レディコミ」らしい。たしかに不審者にしか見えない夫の兄と同居しなければいけないシュチュエーションとか、身内のゴタゴタってレディコミっぽい。主人公がめっちゃ巨乳の若妻なのがいい!マンガ界のお約束的エロも、あるある過ぎる展開も、窓ハルカが描くとめっちゃ面白い。なんだかんだ和太鼓で家族が一致団結するのも素敵やんと思ってしまった。窓ハルカで一番好きな作品だから紙でも単行本化してほしい。イタズラを仕掛けまくる小僧ドクロ坊主 ビッグ錠マウナケア昭和ふうというかドリフふうというか、ばかばかしさ全開のいたずらを満載した作品。主人公は小学生の死神ドクロ。学校では先生や同級生に、家では家族に。温泉、デパート、万博などなど、日常すべてのシチュエーションでいたずらを仕掛けまくり。先生の頭に黒板消しを落とすなどの直球もあれば、本当は違うのにロボットだ芸能人だと言い続けて大衆を混乱させる心理作戦なんてのも。たまに飛び降り自殺で的当てゲーム、といったシャレにならないいたずらもあったりして…。まあ深刻なことにならないので、漫画だからいいやと子供のころは大爆笑して読んでいたものです。実際試してみたこともありましたね。箱の中からあやしい声が聞こえる、というのを。しかし大人になるといたずらを考えるのもしんどいもので、けっこう著者も大変だったのではとも思ったり。しかしギャグ漫画を読んでそういうことを考えるのは野暮ですね。大人になったら笑い飛ばして読むのが正解でしょう。 全2話で読み応えある作品夕凪の街 桜の国 こうの史代マウナケア映画にもなっているので、もう少し長い話かと思っていました。「夕凪の街」と2話からになる「桜の国」、合わせて100ページ少々。決して情報量は多くありません。しかしセリフやしぐさの裏側にある何かが心にひっかかり読み応えある作品。生死、愛情、平和…、ありきたりだけど、いろんなことを考えさせられてしまいました。特にそれを意識したのは、「夕凪の街」を読んだ後。原爆が投下されてから10年後のヒロシマ。被曝しながらも生き残った女性を描くこの作品には、全編にうっすらと”哀”が漂っています。そしてほぼモノローグで語られる、繊細ではかないラスト3ページ。なんとなく、白いページにほんのりと薄紅がのって、桜の花びらのようにコマが散っていく、そんな印象を受けました。それでいて、話として何も終わらせてくれない。あとがきにもあるように、読んだ後にどう自分の中で消化していくかによって、この作品の世界観は完結するのでしょう。短い作品でも読後に残る心の作業は多いと思います。変人揃いだが、わりと楽しそうに生きてるおじさんたちそこらへんのおじさん物語 佐久間薫starstarstarstarstarウマタロ気の抜けたようなタイトルと表紙のおじさんたちの顔が気になり、本屋で買ってみたところ、これは面白いと思った。 そこらへんにいるような、そうでいないような、一癖も二癖もある変なおじさんたちが一話ずつ登場して、独特でマイペースな生き様を見せてくれる。 (ちなみに表紙ではおじさんが集合してるけど皆孤立してます) 展開がファンタジックすぎて、なんだかよくわからん話もあるけどそれも含め好き。 他人の家の雑草を刈りたがる「ボーボーおじさん」という、ほとんど妖怪か仙人のようなおじさんから、 生き辛さ、孤独を抱えるおじさんの話(「なめくじおじさん」「2個ずつおじさん」)もあり、登場するおじさんの幅が広い。 お掃除道具と会話する「ハッピーおじさん」、ハンドパワーで家事をこなそうととする「念力おじさん」、電柱や自転車の気持ちになりきる「イマジンおじさん」など、想像力でもって楽しそうに暮らしているおじさんたち。これは独身中年に差し掛かってる自分も共感する部分が多かった。 憎めないけど、ちょっと迷惑なタイプのおじさん(「センチメンタルおじさん」「案内おじさん」など)も登場。 実際にこういう近付きたくないおっさんいるな〜と思いながらも「自分もいつかこうなってしまうのでは…」という考えが頭をよぎってしまう。これは反面教師にしたい。 おじさんに(比較的)やさしい世界で、ホンワカとした絵柄なので全体を通して、明るい気分で読めた。 おじさん自身も、あまり自虐的になったり卑屈になることはなく、 「ありのままで生きてる」って感じなのが、 いいよな〜(いいよなおじさん) この題材でギャグにすることが出来た時代オモライくん 永井豪マウナケアあんまりなタイトル。ある意味「バカボン」よりヒドイ。今では主人公の名前を書くことすらはばかれますが、こんな自由人をギャグにすることが出来た時代が過去にはあったのです。彼らはいやがられこそすれ、差別はされることなく堂々と明るく生きてます。小学校にも通ってますし。ただしやることは究極的にハチャメチャ。答案はツバにまみれ、給食係になればカレーの中にゴミ服のまま落っこちる。お金がなくて買えない笛は自分のアカをこねて作るし、遠足に行けば貯水池の水を腐らせる……。先生数名がお亡くなりになるのもわかるというもの。私、小学校のころ花見の回を読んだことを覚えていますが、タマゴやきを作るシーンがあって……しばらくトラウマになりしました。そんな異端中の異端漫画ですが、最後まで我慢?して読めば、文字通り全身にこびりついた汚物をきれいさっぱり落としてくれるラストが待っています。主人公たちが更生するような予定調和ではなく、作品の本質を変えずにこのエピソードでシメるなんて。やはり永井豪って包容力が半端じゃあないです。 赤塚不二夫の愛猫「菊千代」花の菊千代 赤塚不二夫マウナケア我が家には猫が三匹おります。で、彼女たち(すべてメス)を見ていると、こいつら何考えてるんだろう、と思うときがあります。しゃべれたら何を言うかな、などと。ということでこの作品。愛猫家としても知られる作者の作品には、けっこう猫が出てきますね。最も知られている猫キャラはニャロメでしょう。ただしニャロメは脇役。堂々主役を張っているのが、作者が愛してやまなかった愛猫が活躍するこの作品です。オチのコマに本物の菊千代の写真を使ったりして猫バカまるだし?なのがいいんだなあ。お金持ちの猫という設定だけど、ニャロメほど嫌味もなく、ずるくてとぼけたキャラなのも猫らしくて好感。そういえば本物の菊千代も死んだまねが得意でしたしね。作者も菊千代がこんな風にしゃべれて遊べたらいいのに、なんて思いながら描いていたのに違いありません。きっと天国でも仲良くやっていることでしょう。クソっ、クズだけどこれはモテる…!プレイボーイ侍 原克玄名無しなんの前知識もなく一位だったので読みました。 久々に漫画読みながら笑った! テンポが絶妙で天才ですね!? まずこのネタで一冊続くのがすごい。 クズだけど天谷さん憎めない! ツッコミが大学生で気弱なタイプの子なのがすごいいいですw 面白い!水風呂のよさを知る人は共感度が高いはずお熱いのがお好き 大町テラスかしこサ道、湯遊ワンダーランドに続くサウナ漫画の登場です。サ道は元祖サウナ漫画だしサウナを学びたいなら先ずこれを読めって感じ、湯遊ワンダーランドはサウナ好きじゃなくても読んだらハマる面白さ、お熱いのがお好き?はサウナ気持ちいよね!を素直に共感できる漫画でした。 主人公がアラサー女子なので最近よくある妙齢女子のモヤモヤお悩み漫画っぽい印象を持ちがちなんですけど、これって自分がサウナにハマってないからそう感じるんじゃないかな?と思って読んだ後にサウナへ行ってみたんですよ。やっぱりそうでした。水風呂のよさに目覚めるとめちゃくちゃ共感度が上がります。 サウナはお肌ツルツルになるけど髪はパサつくからヘアオイル持ってた方がいいよ〜!とか、いつもカバンに入れて持ち歩いてる最低限のお風呂セットの中身とか、友達みたいな感覚で教えてくれるのもいいですね。さっそくマネしようと思います。 ねじ式は6巻つげ義春作品集 つげ義春hysysk美術予備校に通ってた頃に友達に教えてもらった。当時は鈴木翁二が人気で、その影響を遡って行き着いたんだと思う。今は「無能の人(14巻)」とかが沁みます。ゲイ風俗という人生の縮図ゲイ風俗のもちぎさん もちぎ兎来栄寿今やTwitterでのフォロワー数が48万人を超える人気者のもちぎさんによる、主にゲイ風俗で働いていた時の体験などの半生を綴ったエッセイマンガです。 19歳でゲイ風俗で働いていた頃の透徹した思考と言動がとても未成年のものとは思えず、本質を突いていて魅力的です。そんなもちぎさんよりも更にある意味上手なボネ姉の「付き合ってなくても向き合ってはいるの」といった名言の数々も忘れられません。 しかし、その早熟の裏には非常に辛いことが多かったであろうことも察せられて胸が痛みました。その一部は克明に描かれていますが、毒親から理不尽な扱いを受け死にたいという想いを抱きながらも乗り越えたもちぎさんが、今現在は田舎で穏やかに生きているのだということが個人的にはとても救いになります。 人生を生きる上で大事なことが詰まっている一冊です。独特な絵柄とおはなしスペクトラルウィザード 模造クリスタル名無しいい意味でクセのある話だなあと! なんだかスラスラと読めてしまう不思議。 「私疲れてる」系主人公やっぱくせになる 最後に個人誌から発行と書かれていたのでコミティアで書かれていたんでしょうか。 落ち込まずに読める夕凪の街 桜の国 こうの史代名無し広島の話。 重い話を重くなく、でも変に軽いわけでなくスッと入ってくる漫画。 やっぱこうの史代作品はいいですね… たまに読み返すと気が抜けるようで背筋伸びる感じします…。 矛盾してますがそんな感じエロイムエッサイム 我は求め訴えたり悪魔くん 水木しげるマウナケア鬼太郎シリーズに次ぐ、水木しげるの代表作といえばこれですね。ほかに貸本時代の作品集「水木しげる貸本傑作選 悪魔くん」というのもありまして、こちらはその後年に執筆されたもの。実はストーリーやテーマの部分では、前者の暗い雰囲気のほうに惹かれる部分が多いのです。しかし、やや一般的にアレンジされた後者のこちらを選んだのは、圧倒的な描写力、特に絵画的に描かれるようになった背景にシビれたから。貸本時代に比べて月日がたっているので、描写力が上がるのは当然なのかもしれませんが、この質感のある背景のド迫力は何なんでしょう。スクリーントーンを使わず(この時代にはなかった?)、描き込みだけで表現された濃淡。真骨頂である点描の美しさ。巨大な妖怪や異様にうねる蔓、異世界の風景などは匠の技の賜物です。それでいて、あのペーソス感のあるメインキャラと平行して存在しているからすごいよなあ。悪魔くんは千年にひとりの天才という設定ですけど、それは作者にもあてはまるというのは言い過ぎでしょうか。<<113114115116117>>
「あらかじめ失われ 決して手に入らないもの」が僕にはあまりにも多いのです。恋人だったり財産だったり、才能だったり…。もちろん栄光も、今後手に入らないことでしょう。どれか一つでもあれば他のものも手に入るのでは…そんなことも考えたりしますが、実際どうなのでしょうか。 『栄光なき天才たち』は、大きな才能をもちたゆまぬ努力をしたにもかかわらず、運命のイタズラや周囲の無理解によって報われない人々の物語です。 登場する人物の名前を、僕は殆ど知りませんでした。それは彼らが栄光を浴びることで歴史に名前を残すことができなかったからです。それをもって、彼らを敗者と断じていいのか?名前をしらないことが、そのまま彼らの業績を低さを現すのか?そうではなかった。名も知らない彼らには輝かしい実績があり、心震わす生き様があったのです。 破滅型の天才小説家・島田清次郎の狂死や、周囲の無責任な期待に追い詰められたマラソン選手の円谷幸吉やテニス選手・ブルドック佐藤の死に心震わされますが、私は特に川島雄三に強く惹かれました。 川島雄三は、とかく重いテーマの作品ばかりがもてはやされる戦後の映画界に喜劇作品を撮影していた映画監督です。物語は今村昌平が助監督として川島雄三組に参加するところからはじまります。毎晩、酒をのんでどんちゃん騒ぎ、会社に言うなりふざけた作品ばかりを作る川島雄三に今村昌平は失望します。しかし、日活に移ってからは、喜劇の名作を連発。そして代表作『幕末太陽傳』の撮影が始まります。 口先とノリでうまく世渡りをする男が、田舎者の親父に現実的に説教をくらい、どこまでもどこまでもマジメな世の中から逃げ続けていく、そんな作品をなぜ、川島は撮ろうとするのか…。周囲に誤解されてもどこまでも真剣にふざけようとする川島の鬼気迫る雰囲気に圧倒されていきます。そしてその結果は… 挫折や無理解のなかでも輝くような業績を残す人がいる、そんな感動がこの作品にはあります。 ところで、自分の事を語るようなメロドラマが大嫌い、どこかヒネている川島雄三の姿が爆笑問題の太田光にとても似ているように思えたのは僕だけでしょうか。