アクションコミックスの感想・レビュー111件2024年10月15日に実施された全話無料キャンペーンで一気読みしましたが…死にたいと言ってください ―保健所こころの支援係― 中原ろく 松本俊彦名無し「休日に一気読みして良かったと思える漫画」=「休日に一気読みしたほうがいい漫画」だと認識しました…めちゃくちゃ暗い気分になれる(けど考えさせられる)漫画です。 無料キャンペーンで一気読みした各エピソードの中で、祖父江さんをゲストにした「揺らぐ想い」編がもっともやるせない気持ちになります…「人間のクズ」も同然のDV妻兼毒母である祖父江さんの奥さん=朋子さんのお母さんには殺意・憎悪を抱いてしまいます……裏表が激しい汚嫁である祖父江さんの奥さん=朋子さんのお母さんに因果応報の結末を迎えることを願っています。「夜のまにまに」感想夜のまにまに こう森ニーナ上下巻読了。これぞ等身大の日常をリアルに描いた青春ラブストーリーだ。 ヒロインは明るく元気な女子高生。ある日偶然入ったコンビニで、それまで接点の無かった無口な同級生男子がバイトするのを見かけて声を掛ける。この出来事をきっかけに、2人は週に一度のわずかな時間、クラスメイトに知られる事なく、コンビニで話をするようになるのだ。特に劇的な出来事が起こる訳では無いが、ささいな喜びやドキドキ、時にチクッとした胸の痛みを共有しながら、いつの間にか互いにかけがえの無い存在になってゆき…。田舎町を舞台にした優しい物語で心が温かくなった。生活時間が違うふたりホストと社畜 河尻みつるstarstarstarstarstarNanoプロローグからもう尊いです。最高。なんでもっと早く出会わなかったんだろう! タイトル通りホストと社畜が朝よく会う話。けれどお互い名前も知らなければ職業もなんとなくしかわかってない。けれど朝ごはんを一緒に食べてる時に互いに至福を感じている…というこの、素晴らしさ尊さ。こういうの大好きなんだ…。 1話2話もさ、社畜鈴木さん視点のホスト蓮くんがさ!!こんな可愛くて素敵に見えてたってことだと思うと良すぎてたまらんよな!!?はあ~~~……ずっと見ていたいふたり。ずっと摂取していたい。一気に4話まで読んじゃった…。4話勉強になったな、色んな人に読んでほしいと思いました。いつ読んでもグッとくる天国 ゴトウユキコ短編集 ゴトウユキコstarstarstarstarstarかしこ人に読ませたくなる漫画だな〜と思って紙で買いました。まだ誰にも貸したことないけど。ストーリーとしては「家庭教師」が好きですが、印象に残るのは「天国までひとっとび」かな。なんといっても死んじゃった女の子が片思いしてる角田先生のモデルが東京03の角田そのまんまなのがいいですよね。でも別にモデルを知らない人でも楽しめる内容になってるし、アイディアだけじゃなく技術面でも素晴らしいんだなと思いました。収録されてる短編にストーリー状の共通点はありませんが、すべてにゴトウユキコ先生にしか表現できない温度感があります。 抑圧された感情の行く末先生のクモのイト 小骨トモ名無し女性の先生がいい年になっても母親と二人で暮らしているのだが、母親に自覚があるかどうかはともかく、外へ向かう手段や気持ちを言動によって先回りしてすべて潰されるようなモラハラを食らいまくってて苦しくなる読切。 そんなときに出会ったのは、カーラジオで聴こえてきた解放的な曲と同じ曲をイヤホンで聴く生徒だった。彼は参ってる先生に手を差し伸べるのだが…。 https://comic-action.com/episode/2550689798758368803 小骨トモ先生にいつも通り心かき乱されました。単行本『それでも天使のままで』に先行収録された読切ですね。 性も恋も知らずこのまま老いるのかという恐怖に垂れてきた一本のクモの糸。その先も読んでみたくなる話でした。 母親の、娘に遠くに行ってほしくない、いつまでも子どもであってほしい、というような歪んだ愛も垣間見えて気持ち悪くてよかったです。仄暗い底で剥がされる心と魂の瘡蓋 #1巻応援それでも天使のままで 【単行本版】 小骨トモ兎来栄寿小骨トモさんの2冊目となる短編集です。 それぞれ発表時に話題になった「リカ先輩の夢をみる」、「それでも天使のままで」、「あの嫌いなバンドはネットのおもちゃ」の短編3作に加え、今回の単行本で先行収録となる「先生のクモのイト」の4篇が収められています。 「先生のクモのイト」は、「あの嫌いなバンドはネットのおもちゃ」に連なる作品となっています。 全体的な読み味としては、1作目の『神様お願い』と同様です。表紙絵のようにベースの絵柄は丸っこくてかわいらしいのに対して、剥き出しの″人間″が顕にされる中身の鋭利さたるや。 最初の「リカ先輩の夢を見る」からして、精神的に余裕があるときでないと食らいすぎるので読む時分とコンディションは選びたい作品です。果てしなく深い共感と、そこに隣接する絶望的な感情。読みながら魂が汗をかき血涙を零します。 1篇だけでも抉られるのに、1冊を通読したときの痛痒感といったら。 心の瘡蓋をガシガシと剥ぎ取られ、傷口をグリグリと穿られるような、そしてそれが痛みだけではなく何か他の感情をも催してくるような。 同じ経験をした訳ではないのに、どこか記憶の奥底にある罪悪感を喚起され撫ぜられるような部分もあります。 鋭敏なセンスが昏い輝きをもって溢れている短編集で、ダウナーな気分に浸りたい方やそうした作品が好きな方にお薦めです。わからされたい… #1巻応援若葉ちゃんはわからせたい! 紺吉starstarstarstarstarさいろく私感で恐縮ですが、どストライクでした。 運動が出来る八重歯の尖ったショートツリ目巨乳JKである若葉ちゃん。 幼馴染といるときだけショートっぽく無理やり見せているけど、普段のギャルっぽいののほうが普通にはウケがよい世界線なんでしょう。 だがこのやんちゃ感のある(表紙絵にもっとボーイッシュさを足した感じ)がたまらんですねー。 絶対BLになる世界〜の著者さんだったようですが絵がきれいで余白の使い方や構図や展開など、お手本のようなブレなさで、相変わらず素晴らしいなと。 絶対BL〜の方では男性モブキャラばかりがぶち抜きカットで出てくるので正直あんまり効果を感じてませんでしたが、ギャルでやってくれるの最高だなと。 最高です。よろしくお願いします。 ボーイッシュな普段からのギャップで”わからせたい”! #1巻応援若葉ちゃんはわからせたい! 紺吉sogor25作者名を見て「絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男」の方だ!と思ったんですが、メタネタ満載なBLコメディの「絶対BL」とは打って変わってこの作品はド直球なラブコメ作品です。 女子が苦手な男子高校生・大樹が唯一まともに話せる女子は幼なじみの若葉だけ。 ボーイッシュで男勝りな若葉のことを生意気な弟のように思っていた大樹ですが、実は若葉がそんな振る舞いをしていたのは、女子が苦手な大樹に好意を抱いていて、彼に気を遣わせないためでした。 そんな若葉は大樹がボソッと「彼女がほしい」と呟いたのを聞き、大樹をオトすために彼の前であえて女の子らしい服装をし始めます。 ボーイッシュに振る舞っていた今までとのギャップで大樹を“わからせたい”若葉と、そんな若葉を意識し始めるけどその意図までは気づかない大樹との付かず離れずの攻防を描く作品です。 1巻まで読了偏愛の果てに #1巻応援私の可愛い翼ちゃん 七瀬八兎来栄寿『凛子ちゃんとひもすがら』の七瀬八さんが、2024年3月にwebアクションで公開した読切短編です。 田舎でアイドルを目指す翼と、彼女に幼馴染のころから特別な強い感情を持つ美雨のふたりを描いた物語です。 かわいいかわいい翼と一緒にいられることが何よりの幸せである美雨ですが、あることをきっかけにそれが崩れていきふたりの関係性にも変化の時が訪れていきます。 何より、『凛子ちゃんとひもすがら』のクチコミでも書きましたが七瀬八さんの絵が素敵で、まずヴィジュアルで引き込まれます。 そして、凛子ちゃんと同じく美雨も黒髪ロングストレート。艶やかな流れる髪の描き方には同じ嗜好の匂いを感じます。好きです。 他所での読切「星屑の子どもたち」でも感じましたが、七瀬八さんは構成力が高くセンシティブな部分を過不足なくお話に込めるのが上手なため、短編も非常に上質です。 出だしから、不穏で危うい結末を予期させる彼女たちがどういった運命を辿るのか。ぜひ読んで、感じてみて欲しい短編です。 女の子同士の関係性の物語が好きな人には特にお薦めです。才気煥発の短編集 #1巻応援室外機室 ちょめ短編集 ちょめ兎来栄寿今週末はコミティア148が開催ですね。 そのコミティアでかねてから一部のマンガ読みに注目を浴び賞賛されていた、室外機室のちょめさんの初の商業本が短編集となって発売されました。 表紙だけでも一目瞭然な、緻密な描き込みによって構築される独自の世界観。 目次を兼ねた描き下ろしの「序」から何と瀟洒なことでしょうか。 本編は 「継ぎ穂」 「21gの冒険」 「混信」 「地下図書探検譚」 の4つで構成され、最後に「〆」でまとめられます。 「継ぎ穂」は、それこそ同人即売会に参加したことがある人であれば強い共感を抱きながら、その展開にワクワクしてしまうであろうお話です。試し読みでこちらは全編が公開されているので、こちらを読んで本を買うか決めても良いでしょう。 ひと匙のファンタジーが注がれた、本や物語にまつわる物語を嫌いなはずがありません。 表紙にもなっている「21gの冒険」は、夢で空を飛ぶときのような感覚を思い出させてくれます。夢の中での飛行は、随意に飛び回れるというよりは上昇と滑空を繰り返しコントロールが難しいことが多いのですが、そのときのままならないGを感じるかのようです。 論理的な部分と非論理的な部分が入り混じっているのも夢の中のような感覚を増幅させます。 終盤の表情がとても良く、もたらされる読後感が何とも言えません。 「混信」は、作業BGMとして流していたラジオから現実に存在しない固有名詞や事件を述べる放送が定期的になされる、少し不思議なお話です。 もしかしたら、同じ宇宙のどこかから届いているのかもしれないし、並行世界のどこかから届いているのかもしれない。 ラジオという本来はインタラクティブなメディアが一方通行になっているという構造はメタ的で、現実の人間も意識して届けようとしていない人にも生きているだけでさまざまな影響を与え、また与えられていることに思いを馳せます。 最後に発される切実な言葉も含めて『CROSS†CHANNEL』を思わせるものもありました。つまり、好きです。 「地下図書館探検譚」も、扉絵だけでワクワクが止まらなくなる一篇です。 これもまた夢の世界に迷い込んだようなお話ですが、こちらはホラーやサスペンスの趣が強めに出ています。 入ってはいけない場所に入ってしまった禁忌を犯した感覚と、そもそもこの場所は一体何なのかという謎への好奇心が入り混じります。 本だらけの異空間には憧れを抱きますし、この物語の起点となる部分、好きです。 どうでもいいことですが、 「えぇいままよ!」 って実生活で使う機会はまずありませんが1回言ってみたいセリフです。 「序」を受けての「〆」で、まさに締めも完璧。1冊の短編集としてとても美しく完成されています。 こちらの短編集を読んで気に入った方は、webで読める「パティスリー・ヘクセン」もぜひ。 https://tonarinoyj.jp/episode/2550689798287081413 無敵のギャルでもちゃんと傷つくしちゃんと反省する恐竜とカッパのいる図書室 相澤いくえstarstarstarstarstarさいろく友情・愛情、どっちがどうというでもなく、世界がそこしかないあの頃はすべての大きさが大きかった。 私は本作を読んでいて、大人になったら全部が広がってしまって自分の持っていた感情やら価値やらがぜーんぶ小さくなってしまっているタイプだなぁと思った。 それは「全てにおいて希薄になった」と自分自身に言われたような気持ちになって少し寂しいなと思いつつ、全部が同じ比率で大きくなったらツラいのかと初めて考える瞬間だった。 ナカタニエイトさんのクチコミですごく惹かれて読んでみて、読みながらずっと胸が破裂しそうな気持ちになりながらもギャルに癒やされて目頭を熱くしながら読了しました。 本当にとてもよかった。「物語」と「友達」の力に気づかせてくれる優しい物語。恐竜とカッパのいる図書室 相澤いくえstarstarstarstarstarナカタニエイト<ログライン> 図書委員になった本好き女子とギャルが「友達」になる物語。 <ここがオススメ!> カッパのアイコンでお馴染みの相澤いくえ先生本人のようなカッパが出てるけど、エッセイではない物語。 「本」と「友達」の意味の両方に気付かせてくれる優しいお話。 あとがきを読むと、先生の伝えたかったことがよりわかるような。 図書委員の話なので、小説の話題もチラホラと出てくるけれど、特に『イン・ザ・プール』(奥田英朗著)を読みたくなる。 『イン・ザ・プール』は意外と救いでもある。 なお、相澤いくえ先生の『モディリアーニにお願い』は僕の中で人生ベスト10に入る漫画です。 <この作品が好きなら……> ・スキップとローファー https://manba.co.jp/boards/94715 ・言葉の獣 https://manba.co.jp/boards/160541 ・違国日記 https://manba.co.jp/boards/77447温かいお出汁と愛情と #1巻応援ホントは出汁たい山車さん 佐野妙兎来栄寿『ちいかわ』で出汁編が繰り広げられているいる今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。 出汁、良いですよね。 普段は昆布や鰹節から取るような手間暇はなかなかかけられないですが、たまに旨味たっぷりの出汁を取って美味しくいただく贅沢はたまりません。イノシン酸とグルタミン酸が生み出す旨味は脳と体に刻み込まれています。 『だもんで豊橋が好きって言っとるじゃん!』や『森田さんは無口』の佐野妙さんが描くこの作品は、営業2課の佐藤類(さとうるい)と経理部の山車香織(やまぐるまかおり)のふたりを中心にした、冒頭からハッピーエンドがカットバックして始まるほんわか社内ラブコメ×出汁グルメマンガです。 会社内でも出汁を引くほどさまざまな出汁に精通している山車さんから、奥深くありながらも以外と簡単に楽しむことができる出汁のいろはを伝導されていく類。 基本の鰹節や昆布から始まり、コハク酸たっぷりのアサリやグアニル酸がたっぷりながら類が苦手な干し椎茸などさまざまな種類の出汁の産地やそれらを用いた美味しいレシピなどの蘊蓄を読みながら楽しく類と一緒に学んでいけます。 出汁というと手間暇がかかるイメージが強いと思いますが、忙しい日常でも意外と手軽にできるもの(カップ麺にひとかけらの真昆布を入れるなど)も紹介されており、自分でも実践したくなります。ハンバーグにとろろ昆布を入れるのも美味しそうです。 そして、この作品はラブコメとしてもとても上質。会社ではクールで少し怖いイメージすらあった香織が、出汁のことになると饒舌になり柔らかく温かい雰囲気を出しながら美味しい料理を提供してくれるギャップ。四字熟語を多用する黒髪セミロングストレートヒロインを私が好きでないはずはありません。類も類で、素直で明るく真面目で少しヘタレな性格が好感を持てる主人公で、彼らをはよくっつかんかい! とばかりに煽り立てるサブキャラクターたちに同調しながら応援したくなるナイスカップルです。 優しく穏やかなふたりが、少しずつ少しずつ距離を縮めていくこの感じ。社会人の恋愛としては非常に純朴なやり取りが、まさに滋養に満ちた温かい出汁をいただいているときのようなほっと安心する満足感を得られます。たまにはこういう澄んだものをいただきたい……そんな気持ちが充足します。 出汁に詳しくなりたい方、穏やかな大人の恋愛物語を楽しみたい方におすすめです。 美学だらしないです 堀田先生! なかだまおstarstarstarstarstar_border野愛美人でグラマラスで生徒に人気の堀田先生。 お洒落なマンションで優雅に暮らしてるんだろうな〜埃ひとつない部屋でお料理作ってるんだろうな〜 なんて思うわけないんです。 豊満な美女は部屋が汚い。部屋着はだるだるなのにパツパツで無駄に露出が多い。それが美学ってもんです。 そんな美学をしっかり守ってくれている作品。 ごく普通の男子校生・栗林が家事代行のバイトに行ったら出てきたのは憧れの堀田先生。 だけど学校で会う姿とは違ってだいぶだらしない!でもそれがいいんだよな〜(読者にとっては)というお話。 だらしない先生にあきれながらも、ドキドキしたり愛おしく思ったりしちゃうんですよね。先生も先生ですっかり心を許しちゃって甘えたり可愛がったり隙を見せたりでいいんですよね。 今っぽいけどレトロっぽい絵もポップでかわいい。ポップさとヘルシーさがあるからエロくなりすぎずカラッとしてて楽しい!思っていたより普通童夢 大友克洋名無し色んな評価を見て期待して読んだが普通な内容だなと言う感じでした。 連載当時に読んでいると色んな刺激や発見があって面白かったのではないのかなと言う感じです。 短編漫画で読みやすく、まとまっていたので1度読んでは損はないです!これは良い依存私の可愛い翼ちゃん 七瀬八名無し※ネタバレを含むクチコミです。 大事な話が大渋滞!大事な話がある。 かもがわ圭名無し※ネタバレを含むクチコミです。紅茶の奥深き世界 #1巻応援女王陛下の紅茶 イトカツstarstarstarstarstar_border兎来栄寿『銀のニーナ』のイトカツさんが2007〜2011年まで、かつて存在した『スーパージャンプ』及び『オースーパージャンプ』にて不定期で散発的に描いていたシリーズが長い時を経て単行本化されました。 鎌倉の紅茶専門喫茶店「ERNEST」を舞台に、さまざまな悩みを持った人が来店してそれぞれに合った紅茶を提供されることで人生の悩みを解きほぐしていく1話完結型の物語です。 我が家は常飲するのは緑茶とコーヒーがメインですが、それなりに紅茶も飲むので紅茶に関するさまざまな知識が詰まったこの作品は興味深く読みました。 イトカツさんがあとがきで述べている通り、リーマンショック直後のお話のように時勢が変わってしまっているものもありますが、一方で紅茶にまつわる基礎的な知識は年月を経ても普遍的なので今読んだとしてもまったく問題なく楽しめます。 ・硬水を使ったミルクティー ・中国のブルゴーニュ酒と言われる紅茶 ・フォートナム&メイソンのアールグレイクラシック ・レモンたっぷりドライベンガルタイガー ・紅茶の中にジャムを入れない正式なロシアンティー ・チャイ などなど、ひとくちに紅茶と言っただけでは想像しにくいさまざまな側面を見せてくれます。 そして、訪れるお客さんも老若男女さまざま。家庭の問題や仕事の問題、個人的な人生におけるモチベーションなど悩みも人それぞれ。人によって、共感できるエピソードがどこかしらあるのではないでしょうか。各々の物語に沿った紅茶が提供されることで、彼らが立ち上がって前を向いていく姿にも心が温まります。 奥深い紅茶の世界について知見を深められながら、温かい人情ドラマを楽しめる作品です。読むと、ちょっと良い紅茶を淹れて飲みたくなります。ヒロイン(エルフ)による異世界転移阻止コメディ!森野さんは五十貝くんの異世界行きを阻止したい さかいあい名無し※ネタバレを含むクチコミです。 怪盗蜃気楼に盗めないものナシ!!謎の怪人 蜃気郎 西岸良平starstarstarstarstarかしこ蜃気楼とは連日のように世間を騒がせている凄腕の怪盗のことです。銀行や美術館から何億ものお宝を盗み出す為にハイテクなメカも登場するスケールの大きい話なんですが、メカを作ってる博士が副業で焼き団子屋をやってたりします(笑)。西岸先生らしいな〜と嬉しくなりますね。何も知らない一般人を協力者にするんですが、彼らが不幸になることは絶対にないし、最後には必ず「あいつには世話になったから500万振り込んでおこう」と、こっそり報酬をくれて後腐れなく終わるところがいいです。電子書籍化された西岸良平作品をいくつか読んだ中でも一番好きかもしれないと思ったけど、単純に自分が西岸ワールドにどっぷりハマって読んだからそう感じただけ説もあるな。夢破れた先で歩む道から見える景色 #1巻応援放課後帰宅びより 松田舞兎来栄寿惜しまれながら終わってしまった『ひかるイン・ザ・ライト!』の松田舞さんによる最新作です。 『錦糸町ナイトサバイブ』はローカルかつニッチな面白さがあり、『ひかるイン・ザ・ライト!』はまっすぐな情熱にあてられるのが気持ち良い作品でしたが、本作はそれらともまた違った雰囲気をまとっています。 主人公の佐藤瞬は、中学時代はサッカーの県大会でMVPに輝き将来を期待されていたものの、足のケガにより運動全般ができなくなってしまった少年。そんな瞬が、「直帰ちゃん」と渾名される佐藤直希の「ハイパー帰宅部」に強引に誘われていく物語です。 私も中学までは運動部だったのですが肺を患ってしまい、高校では本気で運動をして上を目指すことができなくなってしまっていたので、運動は諦め文化系活動を極めようと方向転換しました。その結果、今があるので人生万事塞翁が馬です。ともあれ瞬くんの気持ちは多少なりとも解ります。 本当に夢を叶えられる人というのはほんの一握りで、多くの人の人生には挫折や諦念をする瞬間が訪れます。それでも、その先に人生は続いていきます。そこで何を見て、何を為していくのか。その分岐の先でしか見られなかった景色も、案外悪くなかったりします。そういった意味で、この物語が響く人は少なくないでしょう。 学校の帰り道にある何気ないものからもロマンを感じられる直希の影響により、瞬が少しずつ変わっていく様子に心が解れます。明けても暮れてもサッカーに打ち込んでいて夕陽に染まる町並みを見る瞬間もなかなかなかったであろう瞬が、高校生になって初めて味わうゆっくりと過ごす時間に人生の機微や大切なものが詰まっています。 瞬と直希の何とも言えない関係性、ラブのコメり具合もとても良いです。5話や6話を経て8話で見せる瞬の表情など堪りません。3話のエピソードも好きですが、その最後に出てくる直希のセリフから滲み出る感性が本当に良いし、瞬が絆されるのも解ります。 余談ですが、文化祭の出し物が「赤ずきんオブ・ザ・デッド」だったり、「サイバーパンクメイド喫茶」だったりする自由な校風も、私が通っていた学校に近いものがあり親近感が湧きました。恋愛クソ音痴男×占い師のどたばたコメディその運命は占えない! えきあ天沢聖司※ネタバレを含むクチコミです。 化け猫のワニ丸が呼び寄せる怪奇現象青春奇談 西岸良平starstarstarstarstarかしこワニみたいなとんがった顎をした猫のワニ丸が可愛いです。もしもこれからの人生で猫を飼うことになったら「グーグー」か「あんずちゃん」にしようと考えてたけど「ワニ丸」も候補に入れようと思いました。 しかし物語的には化け猫のワニ丸がいることによって不思議な現象に巻き込まれてしまいます。宇宙船を大彗星に擬態させた宇宙人の襲来をワニ丸が撃退して地球を救うというあまりのスケールのデカさに驚くこともありましたが、ほのぼのした日常描写からSFやホラーに急展開していく振り幅がクセになる面白さでした。 強いて言えばワニ丸の飼い主である血の繋がらない兄妹が恋愛関係になってめでたしめでたしで終わって欲しかったな〜。エモい漫画読みたいならこれ天国 ゴトウユキコ短編集 ゴトウユキコ六文銭率直にそう思いました。 エモいとか、正直、何か言っているようで何も言ってない感じがあるのですが、伝わりやすい表現なのであえて使わせていただきます。 短編集って音楽アルバムみたいなもんで全体で完成させているから、 この曲は個人的にイマイチだなー って思うようなものがあるんですが、本作はどれも外れなし。 ベストアルバムみたいな感じ。 それくらい、本当にどの話も素晴らしかった。 思春期の苦悩や葛藤とか、子供だからどうにもできない環境、それに対する稚拙なアプローチ。これらの表現が、とにかく秀逸。 しかも、そんな閉塞感だけで決して終わらせなくて、読後感はどれも最高に良い。 だから、読んでいて感傷的になったり、ノスタルジックな気分にさせてくれます。 最後の「迷子犬とわたしたち」が、自分の好きな要素(幼少期の冒険、初恋、打算のない友情など)が盛りだくさんであり、個人的にすごい好きでしたが、作者のあとがきで 「あの3人は中学に上がったらほとんど会うことはありません」 と、リアリティを突きつけられて、取り残された気分です。 まぁ、特に、小学校の出会いってそんなもんですよね・・・ その時にしかだせないからこそ、眩しく映るのでしょうから。 <<12345>>
「休日に一気読みして良かったと思える漫画」=「休日に一気読みしたほうがいい漫画」だと認識しました…めちゃくちゃ暗い気分になれる(けど考えさせられる)漫画です。 無料キャンペーンで一気読みした各エピソードの中で、祖父江さんをゲストにした「揺らぐ想い」編がもっともやるせない気持ちになります…「人間のクズ」も同然のDV妻兼毒母である祖父江さんの奥さん=朋子さんのお母さんには殺意・憎悪を抱いてしまいます……裏表が激しい汚嫁である祖父江さんの奥さん=朋子さんのお母さんに因果応報の結末を迎えることを願っています。