窓辺の春
学校に行けなくなってしまった中学生の未来が気になっているのは――(月刊flowers2019年4月号掲載)
水槽夜曲
フツーを一生懸命生きている全ての人へ!! 仕事ができる。だけど世間を上手く渡れない系サラリーマン・野田とその野田の所へころがりこんできたキレ気味女子・有加利。そして野田がほのかに想いを寄せる同期の上島。そんな3人を軸に繰り広げられる、首がもげるほどうなずきたくなる抱腹絶倒キレ味上等、物語開幕!!
櫻狩り
時は大正九年。一高入学を目指して上京した純朴な青年・田神正崇(たがみまさたか)は、孤独を漂わせた謎めいた美青年、侯爵家の御曹司・斎木蒼磨(さいきそうま)に出逢う。舞い散る花弁に誘われるが如く、引き寄せられた二つの魂。その時から正崇の運命が狂おしく迸りはじめ…!?愛憎入り乱れる、美しくも悲痛な大正浪漫耽美巨編!!
『ハクバノ王子サマ』『お慕い申し上げます』の朔ユキ蔵最新刊。予想外の展開とラストに衝撃が押し寄せる表題作ほか、さまざまなキャラクターや状況の「別れと再会」をテーマにした感動の短編集。○収録作品 70年の時を越え、現代に戻ってきたサチコ。10年間暮らした過去との絆を鮮やかに描いた『帰ってきたサチコさん』、幼い頃の荒唐無稽な思い出が蘇る『かりそめ』、引退したアイドルへ憧れ続けた少女の半生『走れみつる』、国を捨てた父と残された者の思い『心ここにあらざれば』、ベストセラー小説と弟の最後の言葉『劇的』の5作品を収録。
日常を非日常に変える天才の最新エッセイ! 稀代のさんぽ者・グレゴリ青山が、脳内から実存まで、猫にキモノに京都に… 縦横無尽に赴き考察するエッセイまんが。なんでもない風景が、グレゴリ先生の手にかかれば、とんでもなく魅力的に大変化! 出世作・旅のグシリーズ以来、京都観光シリーズ、スケオタデイズ等をものした著者の最新作!
鍋猫スターハウス
妖怪と団地と失業女子の新出発!! 失業して、たまのがわ団地に引っ越してきたふたば。彼女が住むことになったのはちょっと不思議な形をしたスターハウス。その建物のお部屋にはなんと妖怪! が住み着いていて。しかもどうやら他の部屋にも居るようで!?
実写映画公開記念! 新装版で感動を再び…! 3人の子供が巣立ち、人生の晩年を夫婦二人と猫1匹で暮らす菜穂子の両親。平穏な暮らしを送っているかと思いきや、突然母が離婚を考えていると言い出した。そんなとき、飼い猫のチビが姿を消してしまい……!? FCα判発売時、「泣ける」「こんな夫婦になれたら」と話題になった名作が、番外編や猫たちの写真やカラー扉も収録された充実の新装版で登場!
アドレスどちら
ここは「秘密」の多い学校。谷和野最新刊! 誰もが虜になる! 少しふしぎな谷和野ワールド最新刊! 子どもたちが、本当の両親ではないたくさんの「お父さん」「お母さん」と暮らす学校。学校で育ってきたエニコは、外の世界で両親と暮らしていたという転入生・サイラスの世話係になることに。サイラスの知る外の世界や、新しい価値観に触れエニコは次第に…!? ミステリアスで、少しふしぎな世界観で繰り広げられる少年少女の成長譚。「いちばんいいスカート」「はてなデパート」等、熱烈なファンを持つ谷和野の新シリーズです。
いつも私たちの傍にいてくれる犬や猫、動物達。彼らとの絆を描いた、flowersアンソロジー第一弾! ねむようこ、篠原千絵、逢坂みえこのコミックス未収録作に加え、波津彬子、西炯子の猫ショート作品も収録。
すべてコミックス初収録の厳選よみきり集! 世界は不思議と謎で溢れてる。平凡な日常をときめかせる、非日常の世界。極上の謎と不思議をあなたに――。切なく、怪しく、そして優しい不思議な話を集めたflowersアンソロジー第1弾! 表紙を飾るタアモ先生のファンタジックコメディ「正直者がバカを見る」をはじめ、田村由美先生の描く「夏空狂騒」、水城せとな先生の「狗月神社」などコミックス未収録に加え、谷和野、空木帆子、鯖ななこのフラワーズが誇る新進気鋭作家の3編も収録されています!
無声映画に舞い降りた女優の正体とは!? 時は大正時代――。カフェで女給として働く乙香は、活動写真の脚本を書いている大鐘小六、兄の遺児である椿、そして活動写真のスタア・東海林鷹男と出会ったことで無声映画の世界に飛び込むことになった。だが、乙香には秘密があって…!? 天才女優が魅せるキネマ浪漫、開幕!!
獣医者正宗捕物帳
何でもアリ! 大江戸エンターテインメント! 本当は獣医者だが数々の難事件を解決してきた正宗とお調子者の佐助が大活躍の大江戸エンターテインメント! 謎あり人情あり恋もあり。極上のミステリ連作をお楽しみください。「そあ橋綺譚」「蓮花蛭の猫」「六つの鏡餅」第一巻はこの3作を収録。
「窓辺の春」は月刊フラワーズ2019年4月号に掲載された鯖ななこ先生による短編読切作品だ。 鯖先生は現状自著の発行がなく、また作品も月刊ないしは増刊フラワーズにしか掲載されていない。そのため、鯖先生を存じない方が多いと判断し、まず鯖先生の経歴を記す。(間違いがあればご指摘頂けると嬉しいです!) 鯖ななこ先生は月刊フラワーズ2017年8月号にて発表された第90回フラワーズコミックオーディションにて金の花賞(賞の位としては第2位にあたるが、金の花賞以上が出ることはそうそうない)を受賞、受賞作「最適な異性となる要因の主観的考察」が増刊フラワーズの同月号に掲載されデビューした。以降より増刊フラワーズでは短編読切を、月刊フラワーズでは定期購読の販促4コマを執筆されていた。初の連載作品は月刊フラワーズ2018年5月号より開始された「きょうのヤギさん」で、現在も続いている。「きょうのヤギさん」は先述の販促4コマの設定を汲んだ4コマショートで、物語形式の作品が月刊フラワーズ本誌に掲載されたのは2018年10月号の短編読切「おとぎの杜」が初めて。以降、いくつかの短編読切と短期連載作品「Hide&Seek」が発表されている。 この経歴は、例えばデビュー当時の岩本ナオ先生も同様に販促4コマ(「町でうわさの天狗の子」の巻末に収録)や短編読切・短期連載(「スケルトン イン ザ クローゼット」に収録)を執筆しているように、フラワーズ生え抜き作家の定番ルートといえる。ただし、4コマショートとはいえかなり早い時期から連載を任されているパターンは珍しく、ここから編集部から特に期待されている(悪い言い方だと囲い込まれてる)のでは?と察することも出来る。 「窓辺の春」に話を戻す。本作は月刊フラワーズで発表された作品としては2作目となる。自分は前作の「おとぎの杜」で鯖先生の読切をはじめて読み、もしかしてこの人のマンガはすごいのでは……?と思いはじめ、本作でそれが間違いでなかったことを確信した。 鯖先生作品では「主人公が失ったものや隠れていたものに気がつき、見方を変える」ということが多く行われる。その変化がもたらす心地よさが魅力だと思う。本作ではその上で主人公の行動が他のキャラクターに伝播していく様子が描かれており、より風通しのよい作品になっている。 個人的にビビっときたのは、(ややネタバレになるが)おじさんが清潔な身なりで出掛けるシーンがあるのだが、なぜおじさんがその格好をしたのかを、後のたった1コマで表していた点だ。そのほんの小さな、しかしあざやかな手腕に惚れ惚れした。 本作は決してスケールの大きい物語ではない。小さな物語だ。しかしながら、岩本先生などフラワーズの先達が描いてきたように、小さな物語によって表せるものはあり、それがフラワーズらしさを形作る要素のひとつだと考えている。その潮流に鯖先生は乗っていると思う。 絵柄については丸みを帯びた親しみやすい画風であるが、大胆なトーンワークなどグラフィカルな要素も多く含まれており、それが鯖先生らしい画面にしている。 先述の通り、鯖先生単独名義の自著は未だに発行されていない状況である。しかし現在も断続的に短編は掲載されており、直近だと月刊フラワーズ2020年7月号に短編「おしゃべりな人魚」を掲載予定だ。これを除いても、単行本一冊分のストックは十分にある。 ただし、フラワーズ新人の初単行本は、めちゃくちゃハードルが高いのか、それはもう全然出ないのだ。最後に出たのは2017年12月の笠原千鶴先生「ボクんちの幽霊」が最後だったはずで、つまりここ2年以上出ていません。 それでも、初の自著が出版されるのを自分は心より待っています……