私達の生きる世界

夢半ばの女性が出会ったのは"恋人型アンドロイド" #1巻応援

私達の生きる世界 大野将磨
sogor25
sogor25

小さいころからミュージシャンになるのが夢だった主人公の葵。 しかし、夢を叶えることができないまま時間だけが過ぎ、彼女は自分に才能がないと気付きながらも現状から抜け出せず、体を売るという"仕事"ことでお金を稼ぎつつショーパブのような酒場で歌うという日々を送っていました そんなある日、"仕事"で謎の研究所のような施設に呼ばれた葵は、依頼主に「プレイを見せてほしい」と言われ、相手としてその依頼主が開発している"恋人型アンドロイド"のゆいを差し向けられます。 そこで一瞬、依頼主が離れて2人きりになる瞬間が生まれるのですが、その時 ゆいに「助けて」と囁かれます。 すぐに依頼主が戻って来たためその場では行動ができなかったものの、葵はゆいに心惹かれてしまう、という導入の物語です この導入からは夢破れた女性とアンドロイドの逃避行が始まりそうな予感がするのですが、どうやらこの作品はそんなにシンプルに物語は展開指定化なさそうなのです。 葵は相手がアンドロイドだということを理解しながらも相手をしていくうちに少しずつゆいに惹かれていくのですが、実はゆいが葵に対して語りかける言葉にはある"ウラ"があり、そうとは知らない葵の心は彼女の言葉にどんどん惑わされていきます。 さらに、この作品の重要な要素として「夢と現実」というキーワードがあるのですが、「葵のミュージシャンになる夢とそれが叶っていない現実」という序盤に登場した要素だけではなく、もう1つ、異なる意味での「夢と現実」という要素が登場し、そしてそのどちらもが葵を苦しめる要因になっていきます 2つの意味での「夢と現実」、そしてゆいの存在によって狂わされていく葵の人生が今後どのような道を辿っていくのか、最後まで目が話せない作品です。 上巻まで読了

私達の生きる世界

夢を追う絶望と近未来SF×百合

私達の生きる世界 大野将磨
名無し

1話目読んでどんどん面白くなりそうで楽しみになってます! 近未来のSFな世界観で、ミュージシャンになるべく練習に時間を使うため、18歳から体を売って稼ぐがそのまま4年後もうまくいってない。 他の人は売れていく。 どん底な気持ちになっているとき、金持ちの依頼で自分の持っているアンドロイドとセックスしてくれ、自分は見てると。 そして現れた恋人型アンドロイドの美しさに目を奪われ、行為中にその優しさに溺れていき、アンドロイドはここから逃してほしいと言うが…。 https://comic-walker.com/jp/contents/detail/KDCW_CB01201962010000_68/ 近未来な世界だけど今と変わらず生きづらい人々の生きづらい日々は変わらず、そんなどん底からすくい上げるような劇的な出会いもまた存在する。 SFではあるけど地に足のついた描写が設定にリアリティを出していていいと思った。 アンドロイドの彼女の意思は作られたものなのか?抜け出すために自分を誘惑しているのでは?あの優しい言葉は?プログラムなのか? 救って犯罪者になるのか、運命の出会いを諦めるのか。 そもそも自分の人生さえうまくいってないのに…。 と葛藤を見えて面白い。 第3話で、空中を移動するスケボーのような「ボード」に乗りこなすことで新たな出会い、そして「才能」と向き合うことにもなりそうだが、どうなっていくのか…。

保健室のせんせい。

男性養護教諭は「信頼」が命!

保健室のせんせい。 水島ライカ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

全国4万人の養護教諭の内、男性は百人に満たないという事実に、驚く反面納得もする……だって見たことないもの。そんなレアキャラ、新任の男性養護教諭の日々の奮闘記。明るくも緊張感の漂う、真剣な作品だ。 主人公は常に周囲からの「信頼」を得るために、気を配ることになる。 当然女子児童との関わりは酷く神経を使うが、そうでなくても児童の心と向き合い、信頼を得て悩みに寄り添う行程は、繊細で難しい。そのプレッシャーにハラハラしてしまう。 更には同僚や、男性医師等からも懐疑の目を向けられるとなると、心の休まる時がないなぁと、かわいそうなくらい。しかし彼のモチベーションと誠実さで、次第に周囲と歯車が噛み合ってくる時の喜び! 登場する子供達は、決して暗い性格ではない。普通だったり、明るかったり、しっかりしていても、それぞれに悩みを抱える。子供が抱きがちな痛みに共感してしまうし、それが救われる様は自分ごとみたいに嬉しい。 大人も子供もスマートな美形キャラで貫かれているので、暗さや生々しさがない(主人公・同僚・保健医の美男スリーショットが素敵♡)。美麗なイラストを気軽に楽しみながらも、大切な事を教えてくれる内容に、心を掴まれた。 (取材、参考文献も充実。安心して読める)

オーベン×ネーベン

3組の研修医&指導医の小児医療ドラマ

オーベン×ネーベン ちんねん 能一ニェ
ぺそ
ぺそ

「表紙が優しくていいなぁ」と眺めているときに、「そういえば面白くない医療漫画ってないな」と思い立ち買いました。大変なことばかりの厳しい研修医生活を描きながら、表紙どおり温かさのある素敵なお話でした! ほのぼの天然研修医・美貴先生。 エリートで自信満々で超優秀な指導医・名越先生。 小児科医1年目の指導医で幼馴染・ひかる先生(年下) 勉強熱心で優秀で何でもソツなくこなす研修医で幼馴染・健太郎先生(年上)。 怖い指導医にまいっている研修医・しんのすけ先生。 名越と仲が悪くて気難しい高城先生。 美貴先生のド天然っぷりが最高でした…! こういう先生が病院にいたら安心できますよね。 そして幼馴染コンビの関係にはすっごくキュンとしました。「私はいつの間にBLを…!?」と錯覚するほど素敵な関係でした。 タイトルの意味がわからなかったので調べてみたら、 「ネーベン(ねーべん)とは、研修医のことである。ドイツ語のNebenより。 ネーベンに対し、指導する立場の医師のことをオーベンという。」 https://bit.ly/39GBugI とのこと。テーマそのままズバリのタイトルだった。 6人の先生が出てくるのですが、1巻では最初の2組にフォーカスが当たっていたので、早くしんのすけ先生回が見たいです。2巻も楽しみにしています! https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_CB01201123010000_68/

ニュースの現場から!

イチから「報道」を学ぶお仕事マンガ

ニュースの現場から! 都陽子
名無し

好きを仕事にしたいと決めたものの思うような仕事に就けないと悩んでいたところ、「報道カメラマン」をしている大学時代の先輩の誘いでアシスタントバイトを初めたのをきっかけに「報道」とは何なのかをイチから学んでゆく!というお仕事漫画です。 舞台が地方のテレビ局ということで、人が足りないときはなんでもやるというところが「チャンネルはそのまま!」と一緒だなと思いました。報道カメラマンという名前から事故や事件現場など「派手な仕事」というイメージになりがちですが、この漫画ではまず「天気予報も報道」であるということを教えてくれます。 主人公はズブの素人ですが一度した失敗はちゃんと学ぶし、人に言われたことは素直に聞くので、いってみれば普通の子です。なのでよくある主人公が救いようのないドジでそればかり気になる漫画とは違い、「報道」の役割や意義をちゃんと伝えたいという意志があるように思いました。 かといって全体に流れる空気はそんなにシリアスでもなく、絵も上手いので非常に読みやすいです。 1巻の最後はちょっとショックな感じだったので2巻どうなるか気になります。

マイ・ブロークン・マリコ

歴戦のマンガ読みが戦慄した驚愕の才能

マイ・ブロークン・マリコ 平庫ワカ
兎来栄寿
兎来栄寿

最近登場したCOMIC BRIDGEというレーベルは大人の女性向けの作品を多数掲載しており、非常に面白いものが増えてきていると感じます。 去年の7月16日。雨が降り、例年なら蒸し暑くなっていそうなところ、例年より10度以上低い涼しい7月となっていたあの日。コミックブリッジで新作が公開されたということで読み始めました。 写実的なバナーから画力の高さは見て取れましたが、すぐにそれまでの作品と比べても異彩を放つその内容に圧倒されました。 そしてすぐさまTwitterでそのタイトルを呟きました。『マイ・ブロークン・マリコ』という名前の強烈な新連載が始まった、と。それは、Twitter上で2番目に呟かれた「マイ・ブロークン・マリコ」という文字列でした(1番になれなかったのが悔しいのはここだけの話)。すぐに数千人フォロワーのいる作家の友人に引用RTされ、そのコメントは単行本の帯にもなりました。その日の間に面白いマンガを求めるマンガ読みに伝播し、その次の日には更に広く拡散され瞬く間に大きな話題となっていきました。 Twitter上の有志がその年の面白かったマンガに投票する #俺マン2019 では、未刊行作品ながら18位という高順位に。その前の5年間の未刊行作品トップがどういった順位だったかと言えば以下の通りです。 2014年 ゴールデンカムイ 65位 2015年 猫工船 101位 2016年 猫工船 196位(BEASTARS、映像研には手を出すな! 227位) 2017年 二兆円と、1日と、猫 47位 2018年 王様ランキング 31位 今現在絶大な人気を誇っている作品群と比べても、『マイ・ブロークン・マリコ』がどれだけ圧倒的な支持を受けたかが解ります。2020年の各マンガ賞でも確実に上位で名前を見ることになるタイトルでしょう。最早、『マイ・ブロークン・マリコ』は事件であり現象と化しています。 目の前にあるものを灼き尽くさんばかりの激情、駆け出さずにはいられない疾走感、魂を抉り取るような哀切。 ラスト1ページを読み終えた時の言葉で表し切れない感情を、タイトルを改めて噛み締めてしまう名状し難き想いを味わってみませんか。 平庫ワカさんの今後の活躍が楽しみでなりません。

三枝教授のすばらしき菌類学教室

きのこの世界、踏み込んでみる?

三枝教授のすばらしき菌類学教室 香日ゆら
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

農業大学で、「きのこ」等の菌類を研究する三枝教授の研究室に、何故か連れて来られた新入生の天谷。さあ、楽しいきのこ講座の始まりだ!……って、頼んでねぇよ! ----- 小学二年生の舞ちゃんにいざなわれて、素敵な紳士風の三枝教授から、半ば強引にきのこの知識をレクチャーされていく天谷。 教授と舞ちゃんのきのこ愛は熱烈で、天谷はとてもついていけない。でもそんな素人の彼が、細かく強烈なツッコミを入れることで、オタクのしょうもない拘りを笑いにしてくれるので、読んでいて飽きない。 同級生とのやりとりから、または生活の中から生まれた「きのこ」に対するよくある疑問が、三枝教授によって解説され、きのこの知識が増えるのも楽しい。 農大の描写は、例えば『もやしもん』(石川雅之先生)と同様に、普通の大学とは違う独自の文化が見られて、大学生活漫画としても今後、期待できるかも。 とかく分かりにくく、興味はあっても取っ掛かりのない「きのこ」の世界の入門書として、楽しく分かりやすく、何より「情報が正しい」、貴重な一冊となっている、と思う。 (1巻の感想。今後、野外で観察する回があることを望む!) ----- 最後に、一介のきのこ好きとして、参考文献の頻出人名を少しだけ紹介させて下さい。 ●伊沢正名…きのこ写真のパイオニア。古い図鑑は基本、この方の写真で構成されている。 ●大作晃一…白バックの、図鑑用きのこ写真撮影の技法を確立。近年の美しい図鑑はこの方の労力の賜物。 ●新井文彦…阿寒湖を中心に、きのこと、きのこのいる風景を撮影する写真家。ひたすらに美しい写真。 ●小宮山勝司…きのこ好きが集まるペンションを経営し、自身の名前で図鑑も出される程のきのこ通。 ●保坂健太郎…きのこが専門の、国立科学博物館の研究者。面白そうなきのこの本や企画には、この方がよく絡んでいる。 ●飯沢耕太郎…写真評論家として著名だが、きのこに関しては、きのこの文学や切手の蒐集家として有名。 ●堀博美…きのこライター。図鑑では得られないきのこ知識を網羅した『きのこる』は名著。