恋愛ショートアンソロジーコミック

アンソロジー収録作品・作家一覧

恋愛ショートアンソロジーコミック COMICBRIDGE編集部
名無し
▼第1弾【たとえばこんな恋愛様式】 杉田圭「しゃらくさいふたり」 くまぞう「井上くんは今日も変」 ねじがなめた「彼女の素顔」 多喜ざわゆき「二人のための二重奏」 月吉「本能マッチング」 小沢かな「Uninstall」 小鳥遊ゆりか「ハル、キタレリ」 シモダアサミ「つながりたい私たち」 月野まる「ほんかわなふたり」 ぴらにあ。「沼」 のりお「SSRなキミ」 泥川恵「リモートレターズ」 可惜夜季央「恋待ち教習所」 屋乃啓人「推しが思い出になる前に」 ミイコ「スキンシップのリズム」 神山あんず「ゼロ距離別居」 愛内あいる「わたしとちょっと怖い先輩の話」 森乃あち「この恋、美味しくいただきます」 ふじさきやちよ「きっかけは少しの勇気」 源一実「彼と彼女のテレワーク」 夏江ユウ「癒しのマスク王子くん」 水島ライカ「小さい世界」 栗崎三号「思い過ごしも恋のうち」 あららぎ菜名「キミと僕の式」 深田華央「恋を呼ぶ花」 https://natalie.mu/comic/news/447080   ▼第2弾【好きになったらだめな人】 平原明「真昼のスケッチ」 ぴらにあ。「悪意なく、咲く。」 瀬川環「死にたいくらい、好きだった」 栗崎三号「夢で逢えたら」 月吉「痛い恋、痛くない恋」 シモダアサミ「2年目のセフレ」 水島ライカ「叔父さんの喜ぶこと」 多喜ざわゆき「大丈夫じゃない恋」 https://natalie.mu/comic/news/459350
阪急タイムマシン

阪急電車がつなぐ過去と現在と未来

阪急タイムマシン 切畑水葉
ANAGUMA
ANAGUMA
みなさま宝塚ときいて頭に浮かぶのはやはり歌劇団でしょうか。兵庫県に宝塚市という町があって、宝塚歌劇団はそこが本拠地です。関西圏以外の方には意外に知られていなかったりしますね。 本作の舞台はその宝塚。の周辺とそこを走るローカル線阪急電車。そしてどうでもいい話ですが私の出身も宝塚。地元がとんでもない解像度で描かれているの、う、嬉しい…!と思いながらずっと読んでました。 主人公の野仲さんは手芸が好きで雑貨屋さんで働いています。が引っ込み思案の性格でお友達がいないのが悩み…。彼女が偶然阪急電車のなかで小学校のころの親友サトウさんと再会したことから物語が動き始めます。 阪急ユーザー、生活圏と移動パターンが重なってくるのでこういうこと起きがちな印象。私の祖母も電車乗ったらしょっちゅう誰かと鉢合わせていました。 長く乗っている路線の風景って心に深く刻まれているものだと思います。たまたま私は阪急に縁があったのでより強く感じましたが、電車や駅と合わせて呼び起こされる記憶は多くの方がお持ちではないでしょうか。そしてその思い出は必ずしもいいものばかりではなかったり。 本作でも阪急電車という「タイムマシン」を通して徐々に二人の過去と思いが明らかになっていきます。 手芸という共通の話題をキッカケに関係が再開したことを喜ぶ野仲さんですが、サトウさんの方はどうもぎこちなくて「親友と再会!また一緒に楽しもー!」と無邪気な物語にはなりません。 なぜならふたりはもうこどもではなく、おとなになっているから。 二人のすれ違いの原因も幼い日の阪急電車にありました。ふたりのあいだに深い溝をつくった子どもゆえの残酷な出来事です。 野仲さんの視点で記憶をたどる時、思わず胸がキュッと痛んでしまうかも…。それほど生々しい質感があります。 とはいえタイムマシンは過去だけではなく、未来にも繋がっています。過去の友情を見つめ直したふたりを阪急が今度はどこに運んでいくのか、最後まで読み終えたあとには願わくばもう一度読み返してほしいです。 ふたりがあのとき何を考えていたのか、まさに電車に乗りながら思い返すような心地がして、じんわりと気持ちが染みてくるので…。