野愛
野愛
2020/06/21
神様は何もしてくれない
人に見つけてもらう、気づいてもらうことの喜びで人は生きている。それが幸か不幸はわからない。 昔は人気者だった配信者しゅーじが、売春でなんとか食い繋いでいるメイと出会うところから物語が始まる。 メイを利用して過激な企画で注目を集めるしゅーじだが、ヤクザや売春組織が絡み事件に巻き込まれていく。 命の危険に晒されても、人間としての尊厳を失っても、しゅーじとメイなら見つけてもらえないよりはマシだと言うんだろうな…恐ろしい。 2人の境遇にはかなり差があるけれど、根底にある部分が似ていたから妙な絆が生まれたのかもしれない。 しゅーじは浅はかだしクズだし、メイはかわいそうではあるものの自己評価が低すぎて見ていてイライラしてしまう。共感なんかひとつもできないけれど、救われてほしいだなんて勝手に思ってしまう。しゅーじの配信にコメントする人達と同じくらいの感覚。 最終話は無理矢理感もあるけれど、まあそうだよなと納得はできた。ギリギリ救いはあったかなあ、くらい。 そう簡単に元通りとはならないし、みんながみんな更生できるわけでもないし、もどかしいけどいい方向に進めばいいねくらいが現実的。 神様みたい、という言葉が印象的だった。
兎来栄寿
兎来栄寿
2020/01/11
動画配信というビジネスの真髄
ソニー生命が行った調査によると、中学生男子が就きたい職業ベスト3は3位がゲームクリエイター、2位がプロe-Sports選手、そして1位がYouTuberなどの動画配信者だそうです。 実際に子供たちと触れ合う時に感じるのが驚くほど皆動画を見ているなということ。大人に怒られてもスマホを離さず動画に齧り付く姿は、私自身が子供の頃にマンガやゲームに対していた姿を思い起こさせます。学校で流行っている人気の配信者などを教えて貰い勉強する日々です。 そんな、ある程度以上の年齢の人には実態のよく解らないであろう動画配信者という存在を、リアルかつ解り易く描いた作品がこちらです。 この作品が上手いのは、動画のことなど全く知らないものの昔放送作家に憧れていて企画力に長けた大企業のおっさんと、今時の動画で成り上がろうとする若者の二人が軸になり動画に詳しい人も詳しくない人もそれぞれの目線で読み進められる所です。 また、実在するYouTuberや、モデルがいるであろう有名配信者も多数登場。夢に溢れた部分、表には見えない大変な部分、モラルを問われるエピソードなど動画配信周りのかなり深い所まで描かれていきます。 YouTuberが好きな人も、知らないけれど勉強してみたいという人も、一度読んでみてはいかがでしょうか。