縁もたけなわ

幼馴染を取り巻く″縁″ #1巻応援

縁もたけなわ 岡畑まこ
兎来栄寿
兎来栄寿

幼馴染の結婚式に出席するシーンから始まり、中学高校時代の回想にたっぷりと尺を割いて各々の背景事情と揺れ動く感情の変遷をとても丁寧に描かれていく物語です。 幼馴染……その関係性からしか摂取できない成分は確実にあります。積み重ねた時間の長さの分だけ、さまざまな思い出も想いも堆積しているわけで。知り合って数年では生まれ得ない濃厚なものがそこには確かにあります。 ただ、一口に幼馴染と言ってもそこには無限の色合いがあり形があり化学反応が存在します。冒頭のシーンからも解るように、決してこれは仲睦まじく結ばれる幼馴染の物語ではありません。むしろ、特別で大切な関係だからこそ行なっておかなければならないものを描いています。 それでも、ふたりの間には周囲からは届かず理解が難しいふたりにしか共有できないものがありました。その何ともいえない愛おしさと、綺麗な感情とは裏腹に生じてしまう歪さのリアリティが胸を焦がします。 また、そんなふたりを遠巻きに取り巻く外野の存在の描き方も大変良いです。巻末の描き下ろしは最高でした。 濃厚な学生時代の描写と大人になった後とを読んで、人生は往々にしてままならないけれどこうやって一歩一歩進んで行くものだよなぁとしみじみ感じ入りました。 上質な感情が紡がれている物語です。

ガリ勉地味萌え令嬢は、俺様王子などお呼びでない

ちょっとズレてるご令嬢が地味でガリ勉の三男に惚れ、ものすごいアタックする話。

ガリ勉地味萌え令嬢は、俺様王子などお呼びでない くろでこ 鶏冠勇真 カルパッチョ野山
ゆゆゆ
ゆゆゆ

だけだったら、ふつうのラブコメだった。 ものすごくイケメン高能力高身長、性格は俺様系の第一王子がご令嬢にちょっかいを出さなければ。 恋は盲目故か、第一王子をゴミのようにとらえるご令嬢シャリーナ。 たしなめるガリ勉リオル。 気にもしない王子レオナルド。 不可解なセリフとともにアタックしてくる、神出鬼没な王子から逃げるご令嬢。 逃げるのを手助けするガリ勉。 ハイスペック故、なんなく追いつく王子。 一巻無料で読んでみたら、予想外におもしろくて、とってもビックリ。 タイトルが長いので油断していた。 まさか、ファンタジーもので、恋愛全振り(コメディだけども)とは思わなかった。 この世界には、魔法はあるけど、魔王はでてこない(もしくは関わってこない)。 ただし、魔王よりたちの悪い第一王子は出てくる(ものすごく関わってくる)。 人の恋路を邪魔するやつは、という言葉があるけれど、まさしくそれで、読んでいてヤキモキワクワク。 とはいえ、王子からしたら、黒鼠ことガリ勉リオルがそれにあたるんだよなあ。強メンタルすぎる。

公務ですから!

戦隊モノヒーローに求めるもの

公務ですから! 坂口いく 清水ユウ
ゆゆゆ
ゆゆゆ

Uターン公務員就職し、常に「公務ですから」と業務に全力で取り組むイケメンエリート。 それだけでも眩しい設定なのに、彼がローカルヒーローの中の人まで演じることに。公務で。 人の心はあるのかわからないほど、機械めいたように見える彼だが「公務ですから」とスーツアクターも公務として全力でやりとげていく。 イケメンは何を着てもイケメン。 ローカルヒーローといえども、かなり凝ったスーツが作られている。 そのローカルヒーローをプロデュースしたのがデビュー後泣かず飛ばず、戦隊モノ大好きな漫画家。 なんやかんやののち、漫画家の彼女からはイケメンエリートへ好意の矢印が出ているが、イケメンエリートは気づくことがあるんだろうか。 まあ、気づかなくても青里市の公務には問題ない。 それに「公務ですから」を決め台詞に、イケメンが漫画家にあんなことこんなことを御奉仕してキャッ♡な展開になってしまったら、掲載誌も変わってしまう。 そうならないあたりが、少年誌掲載ラブコメである所以なのかもしれない。 と、つらつらと考えて、私の妄想はどこへ向かおうとしているのかと悩んでしまった。