BOMBER GIRL CRUSH!  ボンバーガール・クラッシュ!

プロレス好きにはわかりやすいモーション

BOMBER GIRL CRUSH! ボンバーガール・クラッシュ! にわのまこと
さいろく
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サイバーパンク+賞金稼ぎ、という感じの世界観でヒロインの羅生門エミーがトンファー片手に(両手か)賞金稼ぎをしていく。 にわのまことセンセーと言えばジャンプ黄金期終了間際?にやってたプロレス漫画「THE MOMOTAROH」や「リベロの武田」だが、サッカー漫画でもモンゴリアンチョップを筆頭にプロレスネタがバリバリ出てくる作風。 ボンバーガールシリーズも同様で、女子プロレスラーっぽいヒロインたちがセクシーに技を決めていくのだが最終的にはロボだったりトンファーの仕込み銃だったり何でもありな感じの内容。 何も考えずに読めて割と好きだけどもう少しシリアスにギャグなしで描いてたら結構違う方向性もあったのではーと思える。でも合わせて3回も続いてるんだから多分相当描きたかった事なのでしょう。 すごいどうでもいいけどリベロの武田だったかの作者コメントでプロテイン飲んだ後にタンパク質を出しちゃった、というのが小学生の頃何のことかわからず親に解説を求めた記憶がある(親がなんと言ってたかは憶えてないけど) にわのまことセンセーが元気にタンパク質を摂取されてることを願う。

極めてかもしだ

森山塔が山本直樹になる過程

極めてかもしだ 山本直樹
さいろく
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当時森山塔というペンネームで成人漫画を描いていた山本直樹御大が有害指定された作品第一弾(多分)。 あくまで学園ラブコメなのだが80年代の作品なのでノリが当時のものなのでそこが許容できるのであれば高身長ナイスバディなヒロインかなめ×ちびでスケベで根性なしなのに…な主人公かもしだ君のコンビは結構楽しめるのではないかと思う。 ただ、有害指定されるだけあって主人公の妄想シーンや学生である彼女たちに平気で手を出そうとしてくる大人たちはかなりヤバいものを感じる。でも当時結構そういうノリあったんだろうなーと思う。 当時のTVはとんねるずを筆頭にバラエティも今思えばかなりゲスい内容(当時悪いと思っていたかは置いといて)が多く、ドラマ&映画の「高校教師」は超話題だった。それを漫画で5年前にコメディでやってたのが山本直樹だと思えばそういう内容だよね、という感じ。 この頃から女性を斜め下の角度から描く(お色気シーンだけではなく)画角が多く、山本直樹の根底は全て揃っているのではないかと思う。 最近のREDとかと比べるとこの頃はだいぶ線が細く、ライトな印象で読めるとは思う。

私の保健室へおいで…

人が持つ、しなやかな強さ

私の保健室へおいで… 清原なつの
pennzou
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『私の保健室へおいで…』は2002年にハヤカワ文庫JAレーベルにて発行された作品集だ。収録作品は81年〜90年作までと年代で見れば幅広いが、版元の紹介文に「スタイリッシュなラヴロマン」と謳われている通り、全作に恋愛要素を含んだ統一感のあるラインナップである。 こう書くと、恋愛最中の高揚感であるとかシャープな駆け引きみたいなのを想像されるかもしれないが、清原先生の作品ではもっと引いた視点から恋愛が描かれる。それが清原なつのシグネイチャーとしか言いようのない個性をマンガに宿している。 清原先生は、思い込みや呪縛などによって凝り固まってしまった心がフッと解きほぐされる瞬間を描く。 そういった人が持つしなやかな強さに触れた時、自分の心も軽やかになった気分になる。 この特色は、恋愛要素を主軸とした本書において特に傾向が強い。清原作品における恋愛は誰かと誰かの交流であり、他者により自己が変化することがあるためだ。それが本書を魅力的なものにしている。「新説 赤い糸の伝説」とか本当に最高…… 本書から清原先生に入門した場合、次に読むのは何がよいだろうか。 発表当時のコミックスは絶版であるが、近年に月刊フラワーズでポツポツと発表されている作品を除けば、ほぼ全作品が文庫などで網羅されている。(電子書籍化も文庫については殆ど為されている状況) そのゆえ間口がとても広いので、コレという名前を挙げるのは難しい。各々の関心領域と描かれている題材がマッチしている作品が適していると考える。 本書から遠くないニュアンスのものを読みたいのなら『春の微熱』、もしSFが好きであるなら『アレックス・タイムトラベル』、歴史物であれば『飛鳥昔語り』、性に纏わる領域に関心があるなら『花図鑑』あたりだろうか。これらをまとめた清原先生の総体と向き合うのなら自選傑作集『桜の森の満開の下』。清原先生が生み出した発明的キャラクター・花岡ちゃんが活躍する『花岡ちゃんの夏休み』もいい。 ちなみに、マイベスト清原なつの作品は『春の微熱』収録「群青の日々」です。