神客万来!

異種属ホテルと「見える」女子 #1巻応援

神客万来! ねむようこ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

職を失った海野みちるが妙な縁で出会ったのは、「人ならざる者」が訪れるホテル。異種属が「見える」みちるは客室係となり、抜群の気遣い力でお客の要望に対応していく……優しさに溢れる「異種属ホテル」で、今日は「あの人」が癒される! ◉◉◉◉◉ ホテルに集まるお客は、神話・伝説・民話の登場人物達。普段は「らしさ」を気にして素の自分を隠している彼らは、ホテルとみちるの優しさと機転で自分を解放し、満足して帰っていく。なるほど、確かにそういう事思ってそう!というお話にうなずくし、エピソードの結末は優しい気持ちになる。 ●タピオカ ●ジェンダーフリー ●ビューティケア といった女性漫画的な題材がファンタジーと組み合わされ、ちょっと斬新。白場を活かしたあっさりとした画面と相まって、とてもおしゃれで愛らしい作品だ。カバーも含め、紙の本で持っていたい感じがする。(私は電子書籍ですが楽しめましたよ!) しかしホテルの大女将の「鬼の子」という言葉から、物語は新たな方向へ。何故みちるは人外の存在が見えるのか、という疑問に関わる、ちょっと緊張感のある展開の予感。次巻が待ち遠しい!

私はカレン、日本に恋したフランス人

カレンさんと西先生の2人だからこそ描けた奇跡の1冊  #1巻応援

私はカレン、日本に恋したフランス人 じゃんぽ~る西
nyae
nyae

連載で少し読んでいたけど、1冊通して読むとまたこの本の良さがより沁みますね。 カレンさんが日本に関心を持って、日本に住みたいと思って、日本人と結婚して、そして旦那さんの手によってこの本ができたという事がいかに奇跡的かと思ってホロリとしました。フランス人女性が、ではなく「カレンさんが」というところが大事です。 外国人の目線から日本人も気づかなかった日本の面白さや変なところに気づくと言うパターンはよくあるけど、カレンさんの場合はまず「音響の良さ」から入ったというのが非常に面白いです。 録音した山手線のアナウンスを聞いて、日本を思って泣いたというエピソードは笑いました。でもほとんど家にいる生活をしている今、電車のアナウンスを聞くと出かけている気分になってかいいかもしれない! 世界情勢や戦後日本の歴史など、シリアスな面も含めてフラットな目線で勉強になるし、自分の国なのにまだまだ知らないことだらけだな…と改めて思い知った次第です。たぶんカレンさんの方が日本を知ってます。笑 ちなみに、じゃんぽ〜る西先生はデフォルメした作画が特徴的ですが、この人相当画力が高いんだな…というのがわかり、新たな発見となりました。

お前はまだグンマを知らない

焼きまんじゅう食べて死にたい

お前はまだグンマを知らない 井田ヒロト
野愛
野愛

関東地方に住みついて長くなったものの、群馬を訪れたことはない。 高速道路で通過したことはある。下仁田を横目に「ネギのとこか」と思った記憶がある。花火大会に行ったら中止になって予定が潰れたと知人から聞かされたことがある。 それくらいの認識しかなかった。 こんな危険な場所なんて知らなかった!!!!焼きまんじゅう旨そうって思ってたけど県外なので食うと死ぬ!!!! 和算の大家関孝和!!!!誇る文豪田山花袋!!!!上毛かるたガチ勢と一戦交えたいなんて思ってごめんなさい。 でもね、故郷への誇りって素敵なものです。 わたしもど田舎出身なので自虐として出身地のお話をすることはあるけれど、やっぱりそこには愛と誇りがあるのです。 きっとグンマの人達もそう。だから栃木とバチバチしちゃうんだね。餃子もレモン牛乳も美味しいけど井森美幸も中山秀征も好きだからグンマ自信持ってねグンマ。焼きまんじゅう食べたいよ。グンマがなけりゃ静かなるドンの実写ドラマはなかったんだよ。 生まれ育った地に対してプラスでもマイナスでもどっち向きでもいいから、アイデンティティ抱えてる人って幸せだと思いますよ。帰る地があるということ、人に語るべきことがあるということ、幸せでしょ。 死んでもいいからわたしは焼きまんじゅう食うぞ。

娘の友達

悩めるリーマンに捧ぐ 全俺が泣いた

娘の友達 萩原あさ美
六文銭
六文銭

サラリーマンが娘の友達のJKと恋愛する話。 設定だけだと未成年との淫行問題で、やいのやいの言われそうだけど、この話は主人公のリーマンがいたって常識人だ。 それが悪いこととわかっているから、決して一線を越えようとしない。 まぁ、どっちがリアルなのかわからないけど(普通は、おっさんが女子高生に言い寄られたら、ノールックでいってしまうんでないの?) 主人公晃介はサラリーマンとしては優秀だが、仕事一筋で家庭を省みなかった結果、娘はひきこもりに。 その優秀な面も個人としての能力が優れているだけで、部下のコントロールがうまくない。いつも損な役回りを引き受けているという、典型的ないい人だ。 良き父として、良き上司として、理想の姿を無理してつくろっている。 仕事も家庭もいっぱいいっぱいな中、出会ったのが、娘の友達古都。 彼女といても、何一つ理想を押しつけてこない、自分が自分らしくいられることに安らぎを得て…という流れ。 全俺が泣いたのは、JKとの、この背徳な恋愛に純愛の姿を見つけたところではない。 3巻最後、添付画像にある晃介の慟哭だ。 誰かの期待に答え続けて、自分をすり減らして、すり減らして、すり減らして・・・ 絞り出した言葉 「父親でも、課長でもない俺は、いちゃいけないのか?」 もうこれね、泣きますよ。全俺が。 期待に応えられなきゃ存在しちゃダメなのかと。 エゴしかない社会で、要領悪く真面目でいい人が損をする社会。 そんな中で、安らぎを求めてはいけないのですかね? たとえそれが悪いことでも、ダメなんでしょうか? そうでなければ、誰が救ってくれるんでしょうか? 娘の友達とのイケナイ関係ばかりに焦点いきますが、本当は晃介のように疲れ切ったサラリーマンこそ共感できる作品だと思います。 今後、二人の関係が社内に暴露されてしまうような展開がおきそうで、晃介からますます目がはなせません。