私の描くセカイは壊れている。

統合失調症と創作 #1巻応援

私の描くセカイは壊れている。 宮古蜂 岩波明
兎来栄寿
兎来栄寿

幼いころから絵を描くことが大好きで、それによって周りを幸せにしてきた妹の維音。美大を目指す彼女ですが、どうも様子がどうもおかしく、実はいじめや親からのプレッシャーなど強いストレスに曝され続けて統合失調症を発症していたことが判明します。 まともな生活を送ることができない維音、そしてそれを支える兄の自分はどうなってしまうのか。現実でも大きな事件を引き起こすこともある切実なテーマに取り組んでいる作品です。 自分を罵倒する幻聴が聞こえてくる様子や、もうひとりの自分が視える様子など統合失調症の症状が上手く可視化され表現されておりその辛さがよく伝わってきます。 統合失調症を揶揄するモブの若者たちも登場しますが、後天的な要因で誰しもが陥ってしまう可能性があるもので決して他人事ではありません。自分や身の回りの人が突然そうなるかもしれないのです。そうなったときに、どんな苦しみがあってどうやって接するべきでどうやって乗り越えて前に進んでいけば良いのかという心構えがあるのとないのでは大きく差が生まれてくるでしょう。 元々は優しく真面目であった維音が豹変してしまう姿は、私が接してきた統合失調症の人とも通ずるものです。ましてや、唯一無二の妹がそうなってしまった時の主人公の苦しみを考えると居た堪れません。 しかし、救いなのはカットバックで冒頭に希望溢れる未来が示されていることです。 作中で担当の医師が ″苦しみの中で生み出されたものは 人の心を打つ力があると信じています″ という言葉を伝えてくれて、それが希望の縁になっていくシーンは沁みます。 苦難に満ちて傷つき汚れに塗れても、その先にある光への祈りを絶やしたくないと思う物語です。

愚かな天使は悪魔と踊る スピンオフ みだらな素体は性に目覚める

対悪魔用兵器リーリヤ

愚かな天使は悪魔と踊る スピンオフ みだらな素体は性に目覚める すいみん
ゆゆゆ
ゆゆゆ

本編でもしばし阿久津に対して胸を揉むか聞いていたリーリヤ。 穴はあるけど人ではない。 冒頭、その言葉と穴の絵とともに、三種の人器と描かれていて笑ってしまった。出だしでやられたので、これは良いコメディと思った。 リーリヤは寄主であるリリーの性格・判断・行動などの性質を継いでいるそうだけど、本編と変わらずどこか抜けている。 リリーも育った環境が違えばこうなっていたんだろうか。 スピンオフでは、普段は見られないプライベートの二人の生活が見られる。 性に目覚めたリーリヤが、すごくおもしろい。 中学生男子のような勢いで、性に結びつけていく。 そして言動は親なのに、見た目はちびっこのリリーもおもしろい。 ちなみに寄主のリリーは天使のようなかわいらしさ。 そしてリーリヤの顔はリリーそっくりで、さらに胸はリリーより大きく、背はリリーより高く、スタイル抜群。 ちなみにスピンオフ作家さんは、原作とそっくりな絵で連載されている方もおられるけど、この方は違うようだ。 デフォルメ風なテイストが、想像するための余白とコメディ感を強めてくれていて、そこがまた良い。 むしろ、この方の絵柄でないと、「ドタバタエロコメディ」でなく、すごく卑猥な作品になってしまっていたと思う。ほどよくシンプルってすごい。 アニメ化しているとのことで、原作を読んでみたらおもしろくて、検索したら出てきたこのスピンオフもおもしろかった。 兵器に意思は必要なのか、なんて哲学を忘れさせてくれる。 このリーリヤをみると、原作のほうで初めてリリーから出てきた時、ほんとにびっくりしたんだろうなと思えて、フフと笑ってしまう。

清少納言と申します

久しぶりに大興奮した新連載!

清少納言と申します PEACH-PIT
名無し

物語の舞台は今は昔平安時代。 橘家のお姫様光子は、こよなく 愛する弟君の花嫁を屋敷にて待ちかねていた。 地味で漢文に秀でている、さして美しいとも聞かぬ義妹。しかし屋敷に現れた弟嫁は、ふわっふわのロングウェーブに鮮やかな唐衣を纏った、あからさまに女子力の高い美女だった。 しかもその美女にはとんでもない秘密があって? のちに一世を風靡する清少納言のお話ですが、 歴女としてあさきゆめみし、イシュタルの娘うた恋、風光るをはじめとする新選組ものなどを読破してきた自分が、久しぶりに続きはまだかー!と叫びたくなった作品。 本当にBeLOVEが月二回刊行されてよかったと心から思う。 作者Peachpitといえば、ローゼンメイデンでお馴染み魅力的な美女やある種退廃的なストーリーを描かれることで有名。 その作者が、容姿心映え、ともに歴代最高峰の美女である皇后定子様をどう描くのか見物である。 また、当時の朝廷は、身分容姿ともに完璧すぎるイケメン男子で溢れていた。 光源氏のモデルの一人とも言われる超絶美男子藤原実方、身分高く容姿も抜群、声までよいときて時々清少納言にはすねる(しかもこどもっぽく)藤原斉信。 そして能吏であり、人が土下座してまでその書を所望する真面目系無愛想イケメン藤原行成。 朝廷の女官たちの憧れであり垂涎の的であったイケメン男子たちと、清少納言の機知溢れる優雅こそはこれよ、なやり取り。 それを作者がどう描かれるのか。 ぜひ今後とも正座待機して続きを心待にしたいものである。