はやくしたいふたり

令和のソーシャルディスタンスラブコメ? #1巻応援

はやくしたいふたり 日下あき
sogor25
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高校2年のJK・長谷川結理は、近くの男子校に通う同学年の男子・葛城慶一郎に告白し、付き合うことになる。その告白の流れで慶一郎にキスをしようとする結理だったが、なぜか慶一郎から拒絶されてしまう。「完全にキスの流れだったじゃん」という結理に対して慶一郎は、告白にOKはしたが「性的な接触については同意していない」という謎の回答をする。 実は慶一郎は祖父・父ともに元内閣総理大臣と言うエリートで、さらに"葛城家のしきたり"として「十八歳まで異性との性的接触を禁止されている」という厳格な家庭に育った人間だった。結理と同い年である慶一郎が18歳になるまではあと1年半。つまりそれまでの間、結理が慶一郎に気安く触れることは許されないらしい。 それからというもの、結理が不意打ちで彼に触れようとしたらまるで痴漢を撃退するかのごとく関節を決められたり、2人でいるときも実は葛城家のSPに監視されているということが判明したりと、なかなか恋人として(物理的に) 距離を近づけることができない。 そんな、恋人同士のイチャイチャに夢を持っていた結理と、何よりも自身の家柄としきたりを重んじる慶一郎との交際を描いた作品。 あらすじを見ると、アプローチを仕掛けて行く結理に対して慶一郎があしらっていくという形のラブコメのように見えるのだが、実際にはそれだけではない作品。というのも、導入部分からは読み取れないのが、読み進めていくと結理が慶一郎のことを好きな以上に慶一郎が結理のことを大好きで、彼自身も結理に近づきたい、触れたいという感情を我慢しながら彼女に接しているということが分かってくる。 そんな彼が、基本的には葛城家のしきたりを第一に行動し結理との距離を保とうとするが、ある時には正攻法で、ある時にはしきたりの隙を突いて結理の期待に応えようとしてくれる、そのギャップが可愛らしい。 ただ、そんな慶一郎の行動が若干的外れだったり、そもそも結理の期待しているようなイチャイチャとはかけ離れていたりして、なかなか結理自身が満足する交際はできない、その様子もラブコメとして楽しい作品。 1巻まで読了

すぐ死ぬんだから

老いるからこそ外見を磨け!

すぐ死ぬんだから くさか里樹 内館牧子
名無し

内館牧子さん原作の小説をコミカライズしたものです。NHKでもドラマ化されていて、オシャレで若々しい78歳の主人公を三田佳子さんが演じられたそうです。やっぱり内館さんの人物描写に魅力があるからなのか、主人公のハナさんの人間臭さが嘘っぽくなくてとても面白かったです。作画を担当されたくさか里樹先生の絵柄もピッタリで、すごくいいコラボだったと思います。 「終活」というか、人生100年時代になった現代の「老い方」について学ぶべきところがたくさんありました。読んでいると「年を取れば内面が老成するなんて綺麗ごと、老いるからこそ外見を磨くべき!」という主張に、ものすごく説得力があるんです。それって若返りたいという気持ちではなくて、どうせすぐ死ぬんだから…って自暴自棄にならない為の手段なんですね。でもこれって高齢者だけの話じゃない気がします。誰だって老いてる訳だから…。 主人公のハナさんは同窓会でも一人だけ浮いちゃうくらいオシャレで若々しいですが、特にお金持ちという訳でもないんです。下町の酒屋さんを夫婦で営んできた苦労人なんです。読んだら共感する人がたくさんいるんじゃないかなと思いました。

賭けからはじまるサヨナラの恋

"どうしようもない賭け"から始まる社会人ラブコメ #1巻応援

賭けからはじまるサヨナラの恋 わたぬきめん ポルン
sogor25
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どんな時もクールかつ事務的に仕事をこなすことから「氷鉄の女」というあだ名で呼ばれるOL・吉永奈央。 ただ、彼女はもうすぐ会社をやめて地元に帰る予定でいました。 そんなある日彼女は、先輩の男性社員たちが自分を落とせるかの賭けをしようと彼女の同期・里村紘一に無理やり告白させる相談をしているのを聞いてしまいます。 本来なら先輩たちに怒るべきところなのですが、実は吉永は長年密かに里村に片思いをしていて、その賭けの通りに里村に告白してもらい、地元に帰るまでの思い出として彼との交際を楽しめればいいと考えていました。 その後 実際に里村が吉永に告白し 吉永がOKすることで交際が始まりますが、吉永は里村が先輩たちの賭けに付き合わされていることを知っているため、里村が自分に好意を持ってるわけではないという考えが根底にある中で純粋な気持ちで交際を楽しもうとします。 一方の里村は 最初は吉永に対する後ろめたさのほうが強いのですが、少しずつ彼女に好意があるかのような振る舞いを見せるようになります。 そんな"どうしようもない賭け"から始まった2人の交際が時間が経つにつれてどう変化していくのかを描く作品です。 1巻まで読了

道割草物語

吸血鬼の廃墟世界〈永遠〉百合生活

道割草物語 武川慎
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

まず表紙絵が、とても美しい。全面にカラフルな一枚絵を敷き、タイトルはごく小さく。私は通販で買ったので店頭映えは分からないが、コレクション欲を唆るデザインであることは間違い無い。 本文もまた美しい。描かれるのは人類が滅び、朽ち行く退行世界。文明に自然の浸食する様は、廃墟マニア垂涎。 そんな世界を生きるのは、吸血鬼達。しかも女性が圧倒的に多い。この辺の理由は、吸血鬼の繁殖に関わる面白い設定が待っている。 古い吸血鬼と彼女の護衛、それぞれのパートナーの四人家族は、パートナー同士で血を与え合う「食事」の一方で、様々な食料を「楽しみ」として生産し食する。パートナー同士の食事は必然的に百合的行為となり、強い繋がりの表現となっていく。 吸血のエロスは、定番だが鉄板! 様々な確執もあるが、吸血鬼物としては意外な程、暴力は無い。似た雰囲気の『BLOOD ALONE』(高野真之先生)と比べても大分平和的だ(反面時々あるバトルの格好良さは近い)。 なかなか死なない吸血鬼が、朽ち行く世界でのんびり過ごす様は究極のスローライフ?美麗な絵で綴られる百合百合しい彼女達の日々を、こちらものんびり堪能したい。