完結したマンガの感想・レビュー16272件<<100101102103104>>憧れの田舎暮らしと都会の利便性の両立 #1巻応援おいしい二拠点 単行本版 イシデ電兎来栄寿都会に住む人が、田舎にしかない自然や忙しなくない時間の流れに憧れを抱くケースは多々あります。かくいう私もそのひとりでした。 本作の冒頭で、長野の名もなき林の中で裸足で川に入り青空の下で清冽な空気に全身を浸した瞬間に主人公の麻胡(まこ)が ″困ったな まだ帰ってもないのに またすぐここに来たい″ という想いが浮かび上がり、そしてその直後に ″そっか 「また来たい」んじゃないや″ と気付いて、夫に「東京で働いて長野に住む」と宣言し二拠点での生活を始めていくシーンが描かれます。ここにまず大きな共感を覚えました。 私も吉野山の世界遺産になる程の絶景と空気の美しさにほぼ同様の想いを抱いて、移住しつつ何かの際には東京へ出向いていた経験があるので正に「まだ帰ってもいないのにまたすぐここに帰りたい」「何なら永住したい」という感覚になりました。コンクリートの山によって空も狭まった場所で疲弊していると、緑の中で呼吸することで人間に還れる感覚があるんですよね。 ただ都会には都会にしかない便利さや人が集まっているが故に催される営みもあり、それはそれで大きな価値です。仕事を含めた多くのことがインターネットを介しリモートで行えるようになってきてはいても、どうしても大きなイベントは都会中心で(最近はそういったものもオンラインで行われるようになってきましたが)、リアルの場に行かないと人との生の交流という真価は味わえません。田舎に憧れ田舎で暮らしてみてから初めて解る都会の良さや田舎の大変さもあります。 ″梅ささみ一本だけ焼いてもてなしていただくのって 都会のうれしさだったのね″ の部分も高解像度です。 そしてこの作品でも描かれている部分ですが、人付き合いは田舎で暮らす上での大事な課題です。最近でも話題になっている事件がありますが、その土地の権力者が大変な人物だと大きな苦労を強いられることになります。上手く行けば良いのですが、ずっと住む上では死活問題です。 しかしながら、そういった部分はあったとしても、夜に見える美しい星空ひとつでお釣りがくるものでもあるんですよね。人の世の事柄など、全て些末になり吹き飛んでしまうような。私も引退したら田舎に居を構え直したいです。 この物語の中ではコロナ禍という状況というのがひとつのキーポイントとなっており、その中での夫婦間の関係の亀裂の入り方、そこから取り直して共に進んで行こうとする瞬間の細やかな機微などにイシデさんらしい良さがよく出ています。夫婦に留まらず、人と人とが上手くやって行くために大切なことがいつも描かれているところが好きです。 また、木曽の名産「酸茎(すんき)」を使った新たな名物を作ろうとするところの楽しさなども。麻胡のフードライターという職業はイシデさん自身食べるのが大好きであることから設定されたそうですが、同じく食べることが大好きな私は豊かに描かれた食べ物のシーン全般興味深く読めました。 舞台となる長野も個人的に思い入れのある地なので、非常にfor meな作品でした。麻胡と扇の夫婦が、どのような壁にぶつかってどのように乗り越え、どのように人生を満喫していくのか。続きもとても楽しみです。人間の「善」を試す倫理崩壊サスペンス!なれの果ての僕ら 内海八重名無し※ネタバレを含むクチコミです。デザインの世界ってかっこいいな、、、!re:take すめしおstarstarstarstarstarあいざっく主人公はひょんなことからデザインの世界に入るのですが、 社長の杠葉に振り回されながらも小コピーライターとして成長して行く過程が、 少年漫画っぽさを感じる緊張感のある展開で描かれています。 私は元々キャッチコピーやデザイン等に興味があったのですが、 そのようなデザインやコピーライトが作られる過程を見ることができたり、 改めて、日常にはデザイナー達が生み出したデザインやキャッチコピーが溢れていることに気付かされる点も とても面白いと思いました。 ただでさえ漫画にするのは難しいテーマなのかなと個人的には思いますが、 手に汗握る展開もあり、ワクワクしながら読める作品だと思います。年の差カップル可愛い!!コスプレ☆アニマル 栄羽弥starstarstarstarstarあいざっく主人公の願望が「制服でHすること」というカミングアウト (?) から始まる、 少女漫画にして衝撃的な始まり方ですが、 ドキドキ要素も沢山ある上に、山あり谷ありではありますが、 前向きでハッピーなストーリーな上に、ギャグ要素も満載で楽しく読めます。 元がリカちゃんにべた惚れで、いつもは可愛い年下なのに時々大人っぽくてかっこいいなところや、 リカちゃんの明るくてあっけらかんとしているけど芯が強く、前向きな性格もとっても可愛くて、 キャラクターみんな推せる素敵な作品です。 絵柄も可愛くて好みなので、定期的に読みたくなります! 積極的清楚系黒髪ロング女子高生久保さんは僕を許さない 雪森寧々名無し黒髪美少女久保さんがぐいぐいきてモブにアピールする モブな僕目線で見るとほぼギャルゲーのように僕のことを好いてくれている…! 仕草がいちいち可愛いです思わず自分語りしてしまうほど、絶大な影響封神演義 藤崎竜starstarstarstarstar_borderゆゆゆ封神演義は中国のお話が原作なんだって! と友人から聞き、先のストーリーを知りたいと思った当時の私は図書館にあった「封神演義」に果敢にも挑戦、文字の多さにあえなく敗退した。 そして、漫画家という職業を尊敬すると同時に、毎週のジャンプを楽しみにする生活に戻った。 とはいえ、この漫画のお陰で中国に殷と周という時代があって、紂王と武王がいて、と簡単な中国史の始まりを知ることができ、歴史の授業でさらっと名称が出ればキャラクターの顔が思い浮かび、なんだか心浮き立つ気分を味わうこともできた。 四字熟語の「酒池肉林」も「封神演義」で知った。あれはなかなか衝撃的なビジュアルだった。 知らないことを自然と身につけることができる漫画のパワーって偉大だよなあと思う。 そして私が好きだったキャラクター・藤崎竜先生版の太公望といえば、ぐだぁっとしたマイペースな性格と、あのツノのような頭のかっこいい結び目、ほっぺたのカワイイZマーク。 イラストを描くときは真似してZをほっぺたに描くだけで、絵がものすごく下手な自分でも、カワイイ絵が描けた気がした。 さらに手足を大きくデフォルメして描く技を真似して、さらに上手になった気分を味わった。 周囲の絵が上手な友達は、先生が描くイラストの要素があった気がする。 他の方のレビューをみても、みんな思わず思い出すことがあれこれあるようで、絶大な影響を与えた作品だと思う。じわじわと迫りくる恐怖。思い出せ、伏線を。屍鬼 小野不由美 藤崎竜starstarstarstarstar_borderゆゆゆほっぺたのZは、いったいなんの印なんだ!? 原作にない伏線か?! と混乱しながら読んでいたのだけど、コミカライズを「封神演義」の藤崎竜先生がしていたと知って理解。 あのZマークは、かわいいほっぺたマークだったのか…と少し気が抜けてしまった。 小野不由美先生の「屍鬼」をコミカライズした本作。 言葉を重ね、少しずつ 少しずつ、あちらこちらの状況や心理描写など、精巧に描かれる先生の作品。 作品自体はコミカライズのほうが少し軽いノリで、小説版はじわじわと迫りくる重々しいかんじ。 どちらかというと重々しすぎて、劇画調で描かれても違和感がなかったかもしれない。 「屍鬼」は、登場人物がやたら多く、さらに個性的な面々も多く、漫画だとどうなってしまうんだろうと思っていたら、個性的なキャラクターイラストでたくさんの人物が描かれていてびっくり。 静心が想像していたより若々しい雰囲気で、冴子はイメージ通りだった。 冴子の両親初登場時は、「これが見たかった!!」と心のなかでガッツポーズ。 既に小説の方を読んでいるので、フンフンフーンと軽い気持ちで読めたのだけど、初見だったら無料で読めた14話の後が気になって仕方なかったと思う。 ネタバレありの感想スレ37.5℃の涙 椎名チカ名無し※ネタバレを含むクチコミです。餓狼伝説 ―戦慄の魔王街―の感想 #推しを3行で推す餓狼伝説 ―戦慄の魔王街― ダイナミックプロ 石川賢 宮崎尋行マンガトリツカレ男・読んだ直後に思ったこと ※一番大事!※ 格ゲーのコミカライズと見るべきなのか石川賢の考える餓狼伝説と見るべきなのか悩む。正直一話の途中までは普通のコミカライズかなと思っていたが「坊主キャラ」、「羅王」、「馬頭竜」「爆裂」の単語が出たあたりからこれはもしかして「虚無戦記」の一部なのか?と思いながら読んだがそんなことはなかったな ・特に好きなところは? あえていうならギースだな。なんか小物感がすごい ・作品の応援や未読の方へオススメする一言! 餓狼伝説に関連するものはなんでも読みたいか石川賢のマンガが好きならおすすめします。私は石川賢のマンガが好きなので買って読みました 優しく、哀しく。いい短編集。千の夏と夢 鯨庭さいろくとても良い短編集(作品集?)でした。 龍神・鬼・白狐・ケンタウロス・グリフィン・ヒポグリフ…などなど、いずれも魅力的な題材であるだけでなく、物語の造りが素敵で、誤解を恐れず言うなら「ガロ」や「コミックCUE」なんかと近い空気がある。 トーチwebでの連載と聞いて妙に納得した。 トーチの作品も好きなのがいっぱいある。 美しさもあって、複雑な心理描写もあって、ファンタジーならではな空気感もあって、哀しみもある。 豊田徹也の短編集その2珈琲時間 豊田徹也さいろくその2と言いつつ、ただ「珈琲」で括った連載だった様子。 その1というか始まりとして『ゴーグル』の方は「ゴーグル」というタイトルで連載し始めていたけど、登場人物の繋がりで1まとめになっていたもの。 珈琲時間(コーヒータイム)の方は珈琲繋がりでまとまっているが、こちらにも探偵山崎が出てきているのが豊田徹也センセイらしい。 物語はより90年代っぽさというか、そういう空気が強めな結末を迎える雰囲気ショートが多かったりするんだが、いずれもちゃんと起承転結で結ばれているので気持ちが良い。 豊田徹也作品は共通して、読了後に気持ちが良いのだ。 本作のキモは実はここで説明しているコーヒー豆の選別だったりするんじゃないか?と思わされる1ページ。豊田徹也の始まりゴーグル 豊田徹也さいろく漫画家としてデビューし、成功するまでのハードルは高い。 というかタイミングだったりなんだったり色々とそれこそ運命のようだ。 豊田徹也センセイはアフタヌーンで本作の連載が始まるまでちょっと時間がかかったタイプだったようだ。当時ちょうどアフタヌーンを読んでたので(BLAME!!とか無限の住人、EDEN目当てで買ってた)懐かしい気持ちで電子の単行本を読み返した。 短編集。集まるとこういう意味があるんだ、やはり好きだ。 一気読みする気持ちよさは本作には結構あって、色々と豊田徹也の始まりらしい作品になっている。後の作品にも通ずるキャラや設定が出てきたりするのでぜひ読んでみてもらいたい。 私は「とんかつ」が好きでした。祝!映画化!豊田徹也作品の映像が作られるの楽しみすぎるアンダーカレント 豊田徹也さいろくアンダーカレントは豊田徹也作品の中では珍しく長編。 夫が急に失踪してしまい、女手1人で銭湯の経営を"とりあえず"続ける主人公。 彼女の過去、夫の失踪の詳細、近所の人達との関係、銭湯協会(だっけな)から紹介されて派遣で来た銭湯マンの本音… ほんわかしているようで、ぼんやりしているようで、すごく胸を締め付ける何かが登場人物である大人たちみんなの中に存在しているのが描かれている感じがする。 主演・真木ようこ、監督・今泉力哉 映画化、超楽しみ。 https://undercurrent-movie.com/ まだ映画は公開前なのでなんともですが、マンガは好きな作品なのでオススメしたい。 豊田徹也作品、他の単行本化されてるのは短編集というか、全部ちょっとずつ登場人物(山崎とか)が繋がってたりしてシリーズ物っぽさが出てて良いのでそれらもオススメ。 ゾンビ視点の内情と彼らのゆるい過ごし方TALKING DEAD 葉野宗介さいろく本作ではゾンビにはおしゃれの感覚すらあることになっている。 なんとなくお決まりのゾンビの概念にプラスαがあったら?という感じの、ゾンビ側の視点を描いているコメディ。 彼らをぶちのめしていくのはどこかで観た事あるよねっていうアメリカンな俳優にそっくりなキャラクター達…じれったさ120%お近づきになりたい宮膳さん 秋タカstarstarstarstarstar_border宮っしぃ元ヤンの男の子にお近づきになりたい清楚お嬢様の宮膳さん、近づくために彼の好きな映画を見たり、頑張って挨拶したり、もどかしさがものすごい 毎度微妙に伝わってなかったり、もしかして...を繰り返していくのを見ているだけで、心温まる すげーいいラブコメだったのに、何故4巻で早めに畳むような終わり方に...! 個人的に推してた作品なだけに残念でしかないが、ラブコメとしてはかなり良い作品なのでぜひ料理漫画のジレンマバンビ~ノ! SECONDO せきやてつじまみこ※ネタバレを含むクチコミです。 男(ハンサム)の園に女子高生が潜入するハイテンション・コメディハンサムマストダイ アストラ芦魔starstarstarstarstar_borderゆゆゆ※ネタバレを含むクチコミです。ドラクエ漫画の巨頭ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 完全版 藤原カムイ 小柳順治 川又千秋ピサ朗※ネタバレを含むクチコミです。素敵な愛情が溢れ出すぎている。職場と自宅でギャップのあるパパ 泡沫Pom こんな旦那さんいるのかなってくらい、確かに職場とのギャップが凄すぎですね。 娘ちゃんが、ヤキモチを焼くとことか可愛くて癒しでした。 二人が出会う所、告白の所なども描かれてますが、どこを読んでも愛しかない話なので、4巻まで読んで浄化された様な気持ちです。 ここまで愛で溢れていたら娘ちゃんは幸せだ。 のんちゃんとアカリの感想 #めちゃくちゃおもしれー もっと人気出てほしいなのんちゃんとアカリ 日日ねるこ名無し・読んだ直後に思ったこと ※一番大事!※ 毎回大爆笑!! これ今よく予告編を見かけるホラー映画のAI人形ミ〇ガンの先行ってるんじゃね?!のんちゃん+アカリ=ミ〇ガン ・特に好きなところは? のんちゃんのツンデレぶりが良い。アカリのぶっ飛びぶりも。 ・作品の応援や未読の方へオススメする一言! 今さらだけど、もっと話題になってもいいと思う。 たぶん無理だろうけどアニメ化したら面白いだろうなー。想像することしか出来ないけれど。オペ看 ミサヲ 人間まおPom オペ担当の看護師さん達の話。 締めるところは締めて、抜く所は面白くして抜かれているので硬くなり過ぎず知識も深まった。 漫画は暗くなり過ぎない様描かれていると思うけど、現実の世界は想像を絶する程、張り詰めていて大変な現場なのだろうと思う。 ガーゼ一枚が、患者さんの命とりになるなんて知らなかったな。 自分がこの先看護師側を体験することはないので、頭が下がる思いです。 お仕事漫画は、色んな世界を知ることができるからもっと読みたいな。 冴えない男が幼馴染の妻と…!? 犬と屑 朝賀庵名無し※ネタバレを含むクチコミです。 四季折々の美味しい料理彩の四季 石川サブロウ 青内彰生 小早川陽青まみこ※ネタバレを含むクチコミです。食べたいものを食べたら幸せが見えてくるたまこ定食 注文のいらないお店 野崎ふみこstarstarstarstarstar野愛野崎ふみこ先生の作品には、すぐに救いの手を伸ばすのではなく、みんな自分自身で答えを出せるよね?と見守るような優しさと強さがある。 父が遺したお店を継いだたまこさんは、その人に触れるだけで食べたいものがわかってしまう不思議な能力の持ち主。 あれが食べたいこれが食べたい酒を出せと口では好き勝手言うけれど、たまこさんの料理を食べるとみんな心が丸裸になってしまう。 相手が何で苦しんでいるのか悩んでいるのかわかっても、たまこさんは別に何も言わない。ただ、手を握ってお料理を出して話を聞くだけ。 自分の心の声に耳を傾けてみれば、進むべき道は自ずと見えてくるんだろうなあ。 飯食うだけで解決するわけないだろ!と思っても不思議じゃないのに、この作品には説得力がある。 たまこさんのお料理食べてみたいけど、心を見抜かれるのはちょっと怖いかも……なんていう警戒心も溶かされちゃうんだろうなあ。<<100101102103104>>
都会に住む人が、田舎にしかない自然や忙しなくない時間の流れに憧れを抱くケースは多々あります。かくいう私もそのひとりでした。 本作の冒頭で、長野の名もなき林の中で裸足で川に入り青空の下で清冽な空気に全身を浸した瞬間に主人公の麻胡(まこ)が ″困ったな まだ帰ってもないのに またすぐここに来たい″ という想いが浮かび上がり、そしてその直後に ″そっか 「また来たい」んじゃないや″ と気付いて、夫に「東京で働いて長野に住む」と宣言し二拠点での生活を始めていくシーンが描かれます。ここにまず大きな共感を覚えました。 私も吉野山の世界遺産になる程の絶景と空気の美しさにほぼ同様の想いを抱いて、移住しつつ何かの際には東京へ出向いていた経験があるので正に「まだ帰ってもいないのにまたすぐここに帰りたい」「何なら永住したい」という感覚になりました。コンクリートの山によって空も狭まった場所で疲弊していると、緑の中で呼吸することで人間に還れる感覚があるんですよね。 ただ都会には都会にしかない便利さや人が集まっているが故に催される営みもあり、それはそれで大きな価値です。仕事を含めた多くのことがインターネットを介しリモートで行えるようになってきてはいても、どうしても大きなイベントは都会中心で(最近はそういったものもオンラインで行われるようになってきましたが)、リアルの場に行かないと人との生の交流という真価は味わえません。田舎に憧れ田舎で暮らしてみてから初めて解る都会の良さや田舎の大変さもあります。 ″梅ささみ一本だけ焼いてもてなしていただくのって 都会のうれしさだったのね″ の部分も高解像度です。 そしてこの作品でも描かれている部分ですが、人付き合いは田舎で暮らす上での大事な課題です。最近でも話題になっている事件がありますが、その土地の権力者が大変な人物だと大きな苦労を強いられることになります。上手く行けば良いのですが、ずっと住む上では死活問題です。 しかしながら、そういった部分はあったとしても、夜に見える美しい星空ひとつでお釣りがくるものでもあるんですよね。人の世の事柄など、全て些末になり吹き飛んでしまうような。私も引退したら田舎に居を構え直したいです。 この物語の中ではコロナ禍という状況というのがひとつのキーポイントとなっており、その中での夫婦間の関係の亀裂の入り方、そこから取り直して共に進んで行こうとする瞬間の細やかな機微などにイシデさんらしい良さがよく出ています。夫婦に留まらず、人と人とが上手くやって行くために大切なことがいつも描かれているところが好きです。 また、木曽の名産「酸茎(すんき)」を使った新たな名物を作ろうとするところの楽しさなども。麻胡のフードライターという職業はイシデさん自身食べるのが大好きであることから設定されたそうですが、同じく食べることが大好きな私は豊かに描かれた食べ物のシーン全般興味深く読めました。 舞台となる長野も個人的に思い入れのある地なので、非常にfor meな作品でした。麻胡と扇の夫婦が、どのような壁にぶつかってどのように乗り越え、どのように人生を満喫していくのか。続きもとても楽しみです。