パラレルリープ・シンドローム

世界線を越える想いを観測する #1巻応援

パラレルリープ・シンドローム タカハシノブユキ
兎来栄寿
兎来栄寿

もしも人生の「あの瞬間」に、別の選択肢を選んでいたらどうなっていただろうか…… そんな風に考えたことがある人は多いことでしょう。 新歓コンパで出逢った日から片想いをしていた春呼(はるこ)さんと絶妙に仲を深めながらも想いを告げる瞬間を逃し、最終的に他の男と結婚されて血の涙を流す男・夢路浪(ゆめじろう)。そんな彼が、別の世界線に飛んでかつての後悔を取り戻そうとする物語です。 タイムリープややり直し系の物語は昨今数多くありますが、多くの作品は過去に戻りまったく同じ状況に対して違う選択肢を取って未来を変えて行くものが多いです。 ただ、本作においてはあくまでパラレルワールド、並行して存在する世界なので、そのやり直したい瞬間に戻ったとしても、そこは数多の分岐を経て辿り着いた無数の世界線の内のひとつなので、自分の記憶通りではなく相手の性格や外見もランダムに変化しているというのがミソです。 テセウスの船のような問題ですが、一体何がどこまで残っていたらそれは自分の好きな相手だと言えるのか。SF的な、哲学的な問題もはらみながら純粋な想いが主人公を駆動させ続けていきます。果たして、サルがシェイクスピアの小説を書くような世界線ガチャの当たりを引けるのか。個人的に、アカシックレコードを可視化したようなシーンが好きです。 また、そんな夢路浪のことを昔からずっと気に掛け続けてくれた、幼馴染のサトイモこと里井桃がかわいいです。前作の『恋、ヒトゴトに及ぶ』でも見られたような、絶妙な片想いに心を擽られます。 恋愛ものが好きで、そこにSF的要素が加わったものは更に好きという方にお薦めしたいです。

死んだ息子の遺品に息子の嫁が入っていた話

俺の嫁と書かれたら処分しにくい

死んだ息子の遺品に息子の嫁が入っていた話 秀
ゆゆゆ
ゆゆゆ

失踪し、遠い地で病死して帰ってきた息子・明宏。 両親のもとに届いた遺品には「俺の嫁」と書かれた手紙を持つ、スリープ状態のアンドロイド・ケイコが入っていた。 訂正。 ただのアンドロイドでなく、アンドロイド型ラブドールです。 とはいえ、健全なコメディなので、ラブドール要素はオマケです。 ケイコさんは普段からアンドロイドらしからぬ振る舞いをしているため、読者が普通の人と勘違いしかけるタイミングでロボット感あふれる性能を発揮します。 それに対して登場キャラクターたちがボケたりツッこんだり。 ケイコさんにそんな改造をした明宏くんの話になって、ふと故人を偲んだり。 笑いだけでなく感動もできる漫画です。 主に登場する人物は明宏くんの妻かつアンドロイドのケイコさん、明宏くんのご両親、明宏くんの幼馴染の田中くん、田中くんの子供。 個性的な面々が揃っています。 全2巻なので、サクッと読めます。 コメディなので1巻の流れがずっと続くかと思いきや、物語は予想外の方向に向かいます。 気持ちがあふれすぎて、とっ散らかった感想になってしまったため、どんなお話か気になった方は第一話を読んでみてください。 https://twitter.com/hide_pau/status/1167429975122690048?t=5qfYS07UzGTYGuvAP4teMA&s=19

え、社内システム全てワンオペしている私を解雇ですか?(コミック)

現場の苦しみを理解されない悲劇が減りますように #1巻応援

え、社内システム全てワンオペしている私を解雇ですか?(コミック) 伊於 下城米雪 icchi
兎来栄寿
兎来栄寿

一部の人は、タイトルを聞いただけで胃が痛くなりそうな小説のコミカライズ作品です。 現場のことなど何も解っていない上の決定によって、現場が大混乱に陥るのは古今東西どこにでもある話ですね。 「何事もその基は人です 人を得る国はさかんになり 人を失う国は亡びましょう」 とは『三国志』の周瑜公瑾の言葉ですが、会社にも同じことは言えるでしょう。人を大事にする会社は栄え、そうでない会社は亡びます。 本作も、主人公・佐藤愛が新社長のリストラによってタイトル通り解雇されてしまったことで亡びへの一途を辿っていきます。愛が1人で管理していたシステム運用に、後任の社員が「最低8人は必要です」と訴えるも新社長は「前は1人でできていたものがそんなに掛かるわけない、エンジニア特有の大げさな方便だ」とバッサリ切り捨てるさまは現実ならそら恐ろしい話ですが、お話として見る分には『アリとキリギリス』のキリギリスの末路を見ている気分です。音速で有給消化に走り転職していく人事の姿や愛を信頼していた同僚がこぞって辞めていく姿も滑稽で、この後どのように社が転覆していくか、社員なんていくらでも代わりの利く歯車だとしか思っていない経営者がどのように慌てふためくかは見所のひとつとなっています。 一方、会社を辞めた愛は新たに幼馴染のスタートアップにジョインし、そこで新たに「真のプログラマ塾」を開いて、迷える社会人たちを救済していきます。超ブラックな環境下で死ぬ気で努力し続けても報われなかった愛ですが、そこで培った知識と経験で多くの人を救っていくことになります。普遍的な悩みを持つ受講生たちへの実践的なアドバイスや、それによって彼らが生活を立て直し人生のハリを取り戻していくさまは、読んでいて心が軽やかになります。個人的に本作で最も好きなポイントはここです。 「通常業務でも手一杯なのに同じ人が同じ質問を何度もしてくる  質問するのは良いけどせめて少し感謝の言葉が欲しかった  どんなことでも『やってもらって当たり前』はダメ」 という節なども、強く頷き共感する人が多いところではないでしょうか。そして、それが何もビジネスの場だけでなく家庭においても大事なことなど、解ってはいても実践できていないという人も少なからずいることでしょう。 本書を読むことで日々の行動をほんの少しでも改善して、仕事や家庭で昨日より良い日を迎えられる人が増えたらいいなと思います。また、そうでなくともマンガを担当する伊於さんの上手さによって非常に読みやすく、物語としても純粋に楽しめるものになっているのでお薦めです。

ごきげんよう、一局いかが?

お嬢様×百合×麻雀=小宇宙 #1巻応援

ごきげんよう、一局いかが? 卯花つかさ
兎来栄寿
兎来栄寿

『咲-Saki-』を読み始めたころ、世間でもっと麻雀が流行ったら良いなとは思っていましたが、Mリーグも大きな盛り上がりを見せ女流プロ雀士が大活躍し、ここまで流行るようになろうとは想像していませんでした。嬉しい誤算です。 そんなご時世もあってか、また新たな美少女麻雀ストーリーが登場しました。 麻雀打ちはどこか狂っている人が多く、そんな狂った雀士が編み出した常にお嬢様言葉で話さないとペナルティを受ける「お嬢様麻雀」という狂気的な遊びがありますが、本作では正真正銘本物のお嬢様による麻雀が行われます。 本格的な麻雀マンガとは趣を異にしており、麻雀を題材としながらも登場人物は皆麻雀初心者。ゆるくふわっとした雰囲気で、麻雀のルールを知らない方でも十分に楽しむことができます。 グレードの高いお嬢様が集う高校・鳳女学院に、疎外感を覚えながらも通う庶民の主人公の冴が、学院内でのトップオブトップお嬢様である千星(ちせ)と麻雀を介してお近づきになるところから物語はスタート。徐々に仲を深めていきながら、千星を慕う乃々花を始め、魅力的なキャラクターたちもゆっくりと増えていきます。 きらら系らしい、キャッキャウフフの男性が登場しない楽園的百合百合しさと麻雀の掛け合わせが好きな方には間違いないであろう作品です。 主人公である冴が、学院に入ってからのみならず昔から疎外感を覚えていた理由が語られ出したとき、この作品全体がギュッと締まって魅力がより輝き出した印象です。麻雀が対人ゲームであるというところの良さが、お話に上手く作用しています。 余談ですが、あとがきマンガによると筆者が麻雀マンガの企画を持ち込んでから担当編集がすぐに麻雀のルールを符計算まで覚えてくれてミスを指摘してくれたと言うエピソードが素晴らしいなと思いました。どこかの十数年連載している大人気麻雀マンガシリーズの担当編集にも頑張ってほしいなと思ってしまう今日このごろです。

人生最大の嘘ついた

嘘から人生一発逆転!で死んだ心と向き合うラブストーリー?

人生最大の嘘ついた 梅サト
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

真面目が取り柄でパッとしなかった芸術家人生の逆転劇であり、偶然の出会いから始まる同居ものラブストーリー!? 30半ばにして画家として花開かず焦ってニューヨークへ行くも「いいひと」として便利に扱われ、いよいよ追い詰められたときにとった行動がなぜか著名クリエイターに評価され、あれよあれよと天才芸術家になってしまった主人公。 しかし、良くも悪くもその一つの嘘から全てが変わっていき…。 https://bigcomics.jp/series/17bc2f08d091b 一発逆転できるビッグウェーブが目の前に来ていたら、評価される対象・行為が真実だろうが偽物だろうが乗っかるしかないのかもしれない。 ただそれが偽物だった場合、真面目な人ほど心が死んでいくが…。 という、まさかの人生逆転の一手を手にした真面目な男の話。 しかしそこには魂はなく、表面的に評価され祭り上げられたことで罪悪感、空虚さが込み上げてくる。人生最大の嘘をついたことで犠牲にしたのは芸術への情熱だった。 ただただ日々を過ごすなかで、非常勤講師を務める大学の食堂の女性と妙な接点を持っていく。 「嘘は嫌い」「嘘はひとの心を殺すから」と語るこの女性との出会いが、果たして主人公の人生にどういった影響を与えるのか、今後が楽しみで仕方がない! 1話ラストでこれは!と思いましたが、恋愛に発展するのかどうかもまだいまの段階では分からないです。 が!楽しみにしてます!!

税金で買った本

図書館で働き始めたヤンキーの石平くん

税金で買った本 ずいの 系山冏
ゆゆゆ
ゆゆゆ

「図書館でのお仕事」を舞台にした漫画です。 図書館におけるお仕事、そして人間模様。 タイトルから気になってあらすじを読んだあとは、公共施設だけあって、ひどい利用者たちのオンパレードになる予想が浮かんできました。 タイトルも「税金で買った本」ですしね。 さて、ひょんなきっかけで図書館で働き始めたヤンキーの石平くん。 調べ物のプロの司書さんたちと一緒に働くうちに、どんどん調べ物の仕方を見につけていきます。 そして、読者もどんどん調べ物の仕方を身につけていきます。それから、図書館でのお仕事も。 おそらく石平くんが主役ですが、図書館のいち利用者のストーリーがメインで、石平くんは天真爛漫なツッコミをしていなくなるだけの回もあります。 それを考えると、真の主役は図書館なのかもしれません。 ちなみに、司書さん達が隠された力を開放するお仕事・調べ物。 世の中の人はどんな質問をしているのかは、全国の図書館の方々による調べ物の記録「レファレンス協同データベース」で一部を知ることができます。 回答がとてもためになりますが、その前にどうしてそのような質問をしたのかが気になる質問ばかりです。 漫画の外でも、司書さんたちは大変そうです。 https://crd.ndl.go.jp/jp/library/recommend_list.html

軟骨さん

令和の読むドラッグ爆誕 #1巻応援

軟骨さん 佐藤達木
兎来栄寿
兎来栄寿

レジェンド級のベテラン作家すらもデジタル作画に流れて行きつつあるこの時代に、フルアナログでこんなマンガが描かれようとは! 異質で異様で異彩を放って止まない独特の画面は、衝撃的です。古き良き技術を凝らして描かれた絵は、あまりにも現代の他作品とは違った空気を纏っています。狂気的な、執念のような点描による描き込みの凄まじさ。世界、宇宙、次元を横断してトぶ『ウルトラ・ヘヴン』を髣髴とさせるようなトリップ感を呼び起こされます。 そして、そのサイケデリックですらある画に呼応するかのような、夢想感たっぷりのストーリー。どこか破綻しているようで、筋や諸々の設定はしっかりとある夢を視ているときのような感覚に陥ります。 私は嬉しくて堪りませんでした。まだこんなマンガに出逢えるんだ、マンガの世界はやはり無限だなあ、と。 素晴らしいのは、筆者の佐藤達木さんが50歳の新人というところです。67歳の新人として話題になったハン角斉といい、マンガはいつからでも描けるし描いて良いのだと勇気を与えてくれます。 極限まで研ぎ澄まされた、この作品でしか味わうことのできない世界を垣間見てみてはいかがでしょう。

大乱 関ヶ原

個人的に今年1番の期待作

大乱 関ヶ原 宮下英樹
六文銭
六文銭

仙石秀久を主人公にした名作『センゴク』シリーズ。 その著者宮下英樹が描く関ケ原となれば、否が応でも期待せずにはいられない。 また、歴史的にも最も興味のある関ケ原が舞台となれば、より高まるというもの。 まだ1巻だが、もう面白くなりそうな予兆がある。 特に、家康の描き方。 秀吉も死に、かつての戦国大名がことごとく居なくなったこの時代になると、いよいよ次の天下人へと二心ありな老獪として描かれることが多い家康だが、本作はおっちょこちょいで色々ザルな感じが人間味を感じる。 先手先手へとやっていることが、時局からみると尚早だったりして逆に謀反や野心と捉えられて、家康のうろたえる様が、どっしりしている印象だっただけに面白い。 逆に一層、三成の有能さも光る。 まだ随所にしか出てきませんが、関ケ原において三成贔屓な人間としては、この点も魅力的。 また冒頭にある著者のスタンス 『「天下簒奪の陰謀」「豊臣氏への忠孝」当事者にそんな余裕があったとは思えない その舞台裏を描く』 とある点も興味深いです。 歴史全般的に言えることですが、正直、最終的に天下を統べる人間がどこまで結果を予測できたかってわからないですよね。 というか、自分はそんなわけないと思ってまして。 もちろん向かいたい方向性はあったとは思いますが、すべてが計算による政治的駆け引きの結果とは到底思えなくて、その場その場でうまく時流にのせてしのいだというのが正しい気がしております。 もしそんな絵図が描けるのであれば、家康は、もっと早く天下獲って良いはずだし。 だから、本作がそのある種のどうしようもない時代のドタバタした流れが描かれるのか?と思うと期待しかないです。 願わくば、完結までいってほしいので、ゲキ応援します。

まず、これを愛とします。

闇を欲する本能にフィットする男と女の話 #1巻応援

まず、これを愛とします。 東京日記
兎来栄寿
兎来栄寿

Twitterで大人気にして謎の描き手である東京日記さんの作品が単行本になりました。Twitter掲載作品の他に、今回の刊行に当たって3割ほどが描き下ろしとなっています。 若い男女間におけるアレやソレやの掌編が、数多く載っています。 普段からバリバリにマンガを読んでいる層というよりは、『明日、私は誰かのカノジョ』や『深夜のダメ恋図鑑』や『サレタガワのブルー』などが好きな20〜30代女性がコアなターゲット層になっているであろう作品です。 「意味がわかると怖い話」的な部分もあり、ちょっと考察したり言及したりなる部分が多分に含まれていること、また男女関係が絡んだ内容は多くの人の自分の経験からの共感や反感を生むものになっていることもあいまってSNSとの相性抜群です。諸々計算してやっていると思うのですが、しっかり20万人以上のフォロワーができており効果は抜群です。 ある種の救われなさや、愚かさ、歪み捻じ曲がった感情もたくさん描かれますが、逆にそうした部分もシンプルに明るく正しいものよりも陰鬱なものや不条理なものをどこかで求めてしまう現代人の荒んだ心にもフィットしています。あるいは、より深い闇を見ることでどこか自分の境遇に安心する心理にも働き掛けているのかもしれません。 描き下ろしの(東京日記さんの作品としてはかなり長い)短編も、実に「らしい」お話でした。 絵はかなりラフで背景なども最低限ではありながらも、これらのお話にはとてもマッチした画風なのも東京日記さんの良いところですね。 Twitterではアシスタントやバックスタッフの募集もしており、今後活動の幅を広げていきそうな予感がして楽しみです。

ルサンチマン

月子ちゃんはかわいい

ルサンチマン 花沢健吾
ゆゆゆ
ゆゆゆ

おもしろいから読んでみなよと言われたのが、2016年くらい。借りて読んだら、たしかにおもしろかった。設定に目新しさはないけれど。 そう、VRとかMRとか、身近にたくさん出始めた2016年頃だと、設定に目新しさはなかった。 しかし、他の方も書いているように、「ルサンチマン」は2004年にコミックス化した漫画。 2000年代半ばはまだ、VRゴーグルやヘッドギアなんて、普通に生活していたら出会わない。 発行年を知ったあと、「目新しさはない」だなんて大きな勘違いだったと知った。 それこそ映画「バーバレラ」をありきたりの設定詰め合わせのB級映画と思ってしまうくらい、わかっていなかった。 2004年当時に読んだ人たちは、もっと強い衝撃を受けたと思う。 いったいどうして、ヘッドギアをつけて部屋の中を動き回って遊べて、さらに専用グローブで仮想空間の女の子に触れるギャルゲーだなんて、あの頃描けたんだろう。 そして主人公は、団塊ジュニア世代の悲哀を感じるおじさん(でもまだ30歳になっていない)。 なんだか清潔感を感じない見た目。 人を馬鹿にしていても自分も同類。 生活が生活故に、漏れ出てしまう感情。 誰とでもないけど、既視感を覚えてしまうおじさん。 でも、このおじさん(今考えるとまだ若手)がかっこよく見えるときがあるのだから、花沢健吾先生の漫画は不思議だ。 「おもしろいよ」と勧めてもらったとおり、おもしろくて楽しめる漫画。 もし読まれる際は、これが2004年当時の漫画だと念頭に入れて読んでいただけたら、いろいろなシーンで、よりくすっとできると思う。

ロックは淑女の嗜みでして

煽り合うお嬢様からしか得られない栄養素がありますの #1巻応援

ロックは淑女の嗜みでして 福田宏
兎来栄寿
兎来栄寿

今日、ラジオ出演で六本木ヒルズに行ったんですよ。 そして台本を見たら、インターバル部分に「♪星座になれたら」(『ぼっち・ざ・ろっく』)って書いてあったんです。 もう、神かと。最高かと。 内心ノリノリで、マンガ紹介も捗りました。 ただ来月のライブ、会場がキャパ3000人らしく戦争が過ぎると思うのでもう少し大きいハコでやってくださったら皆幸せだったのでは、と思わずにはいられない今日この頃いかがお過ごしでしょうか。 というわけで、『ぼざろ』効果もあってロックが盛り上がっている丁度いいタイミングに、この作品の1巻が発売となったので推さずにはいられませんわ! 店頭で帯を見たら、帯もはまじあきさん激推しとなっていて激熱ですわね! 本作はタイトル通り、お嬢様たちが熱情を懸ける対象がロックとなっておりますの。 にわかお嬢様でありながら、それを隠して学園一のお嬢様である「高潔な乙女(ノーブルメイデン)」の称号を得んとする主人公の鈴ノ宮りりさ。 そして、りりさをそのドラムテクニックで誑かしてセッションに巻き込む黒鉄音羽。 彼女たちの奏でる音が交わるとき、物語は幕を開けますわ! パッションとテンション全開の演奏シーンの熱さもさることながら、その後にそれ以上の勢いで繰り広げられるとてもお嬢様とは思えない煽り合いが最高ですわね。 『ゲーミングお嬢様』や『対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~』などでも見られますが、普段は優雅でお淑やかなお嬢様が荒々しい行動と共に口汚く相手を悪罵し、餌を獲るのに成功して勝ち誇るゴリラのように荒振り猛っている様は大変に趣深いものですわよね。ましてや、黒鉄さんの方は黒髪ロングストレート。ここからしか得られない栄養素を、バッツンバッツンに補給できますわ。 このマンガ、驚愕(パネ)ェですわ……! お嬢様学校でバンドを組むという時点で情熱(エモ)いのですが、二人だけですら激熱なところに今後新メンバーが加わっていったらどんな化学反応が起きるのか……楽しみで仕方ありませんの!