群青のバトロ

ワンピース感とオリジナリティ

群青のバトロ 古田静蘭
ななし
ななし

まずカラー絵がすごく良い。なんとなく五十嵐大介っぽさを感じる。 そして本編の絵の線の感じや白黒ハッキリした塗りは尾田栄一郎や吾峠呼世晴っぽい。 けど描き文字やキャラデザはオリジナリティがある。 物語は、「残虐なヴァイキングに統治された「兵士か奴隷」しかいない町・ギブロン。主人公・バトロは「ギブロンで1番偉い奴に会いに来た」と、少年漫画の主人公らしいセリフで兵士をぶっ倒すが、ゾゲボ(1番偉い奴)が町に戻ってくるまで奴隷として過ごすことに決める」というあらすじ。 この主人公・バトロには「ゾゲボが戻るまでビビらず仲良くしてくれよな」と言ったりするところがあり、こういう強い力を持ちながら「お前が言うな」というボケをカマすところはルフィーに似ているなと思った。 もしここで周囲の人間が極度にデフォルメされた変顔になってツッコミを入れたら、それはもうワンピースでしかないが、群青のバトロはそういうことはしない。 ルフィーはシリアスに振る舞うこともあるけれど、基本的に無邪気に喜怒哀楽をハッキリ示し、熱く怒ったりする。一方、バトロはもう少しクールな男で、笑ったりスッとぼけはするけれど、激しい怒りや熱は内側に隠し、淡々と振る舞っているような印象を受けた。 最初から最後までスラスラ読めたし、最後のオチには笑った。 ファンタジー少年漫画として大きな瑕疵のない、完成された作品だと思う。 個人的には、「バトロが伝説の男と似ている」という設定がうまく活かせていないように感じた。本来だったらもっとワクワクできる設定なんだけど、あとづけ感・蛇足感が強くて「バトロかっけー」とはならなかった。 ワンピースのようなヒット作の要素を、うまく自分のものにすることが出来るのは本当にすごい才能だと思う。ポテンシャルをビンビン感じるので、このままさらにオリジナリティを磨いていって超面白い作品を描いてほしい。 『週刊少年ジャンプ 2019年38号』 http://jumpbookstore.com/item/SHSA_JP01WJ2019034D01_57.html

ニコべん!

1話が一番面白かった「デコ弁」漫画

ニコべん! 角光
名無し

料理漫画、しかも男の子がデコ弁を作る話って面白そうと思って全巻買って読んだけど1話が一番面白かった。タコさんウインナーを醤油差しにするアイデアすごい!作中に登場した弁当の完成写真が巻末についてるところも良い! ただ学園ラブコメのノリが臭くて寒くて自分には合わなかった。 時々起こる試練みたいなのもあんまり説得力がないというか…リアリティレベルが無茶苦茶というか…別の意味で面白かった。 一眼レフぶっ壊すとか、家族経営の弁当屋が主人公が考えた細かい作業を要するデコ弁を大喜びするとか。 一番謎だったのがヤンキーのやつ。 ヤンキーがパシリの母親に1週間弁当作らせる←? 作ってる主人公はデコ弁じゃない「普通の弁当」を作るのが辛い←おもしろい ヤンキーが好きな犬をデコ弁で作ってヤンキーが主人公を認めて会心←??? 弁当の調理パートはすごく描写が細かくて読み応えがあったし、出来上がったお弁当もすごく美味しそうなだけに、もしお弁当作りに真剣にフォーカスした漫画だったらもっと面白くなってウケたんじゃないかなと思う。 (まあチャンピオンで連載してたっぽいので、ラブコメは無理やりにでも入れなきゃだめだったんだろうな…) 後半全然弁当作らないまま父親とも和解せずに終わってしまい本当に残念。 いずれ鳥田が弁当の写真撮る予定だったのかなとか想像してしまう。 あとがきによると作者がラブコメ描けて満足そうなんで良かったのかな。