あらすじ
自然の掟が破られ、起きた衝撃の物語!! 戸川幸夫&矢口高雄 動物シリーズ第1弾! 大正4年12月、北海道苫前村(とまこまえむら)の開拓地で、一頭の巨大な羆(ひぐま)による身も凍る事件が起きた。原生林の開拓・農地化が進み餌に窮した羆は人里に出現、農作物では満腹にならず、ついに村人たちに牙をむくようになる。 開拓という名のもと、人間の自然界への深入りが招いた惨劇。共存していた人間と野生動物の暗黙のルールは破られ、凶暴性むき出しに襲いかかる羆と、村の生活を必死に守る人間たちの壮絶な戦いが始まった! 動物文学の第一人者・戸川幸夫の原作を、矢口高雄がリアルな手法で鮮烈に描破。大自然における動物と人間の存在を浮き彫りにする。
タイトルの漢字を一つずつ勘違いしていた。パワーダウンする方向に。 誤りに気付いたあとで、両方ともパワーアップする言葉があるなんてすごいなと思った。 さて、三毛別羆事件と呼ばれる、開拓時代の北海道で起きた事件。 凄惨さと裏腹に、作中によれば、当時の都会では数日後に小さく記事が載った(内容も正確てはない)レベルのお話らしい。 それほど、北海道の山あいは遠かったようだ。 小さな新聞記事にしかならなかった凄惨な事件を、知る人が皆いなくなる前に聴き取りをして、書きとどめた人がいて、その人の記録と話を元にタイトルの漫画は作られたそうだ。 『ふしぎの国のバード』を読んだ方には、当時の都会以外がどれほどの環境だったか(とはいえ、都会もアスファルト敷ではないですが)、想像がつくかと思うのですが、北海道の開拓地はさらに過酷だったようです。 玄関ドアがむしろ?ござ?一枚。板ですらない。 窓ガラスも障子もなく、窓からは北海道の寒風入り放題。 だから、死なぬために、火を煌々と燃やし続けなければいけない。そのための薪があったのは幸いだ。 そして、自然を開拓して、人が使えるように手を加えていっているので、そこに住んでいた動物との遭遇もなくはない。 しかし、被害があった季節は、動物は冬眠しているはずの冬。 にも関わらず、不運に不運、人災も重なり、一匹のヒグマに多くの人が殺された。 やるせないなあ、と読んでいて思った。 後編に入っていたニホンカモシカの物語は、人間の勝手さを感じて、苦手だった。 カモシカって日本にいるの?と思ったものの「カモシカのような足」という表現があるので、馴染み深い生き物だったんだろう。 ※ここまで書いて、読んだのが「羆風(ひぐまかぜ)」という作品の方だったと気づきました。 そちらでしたら、KindleUnlimitedで書いている今日現在読むことができるので、興味がある方はぜひ。