あらすじ

「尾道の山猫(リンクス)」の異名をとる佐野圭太率いる尾街西(おのまちにし)の戦略に翻弄されながらも、闘将・神谷が最後に見せた豪快なロングパスと、田仲俊彦(トシ)の“幻の左”!掛川イレブンは3回戦に駒を進めた。そして九里浜は、冬の大会で掛川と熱戦を演じた「北海の氷壁」氷室明彦率いる鶴ヶ崎と対戦することに。強気で戦いに挑む伊東宏(ヒロ)だが、“魔の時間帯”と呼ばれる開始5分以内に先制ゴールを決める鶴ヶ崎の戦略にまんまとやられてしまう。ヒロは、氷室の必殺“テイクオフシュート”を止めることはできるのか!?
シュート! ~新たなる伝説~(1)

掛川高が、冬・夏連覇に向けて総体(インハイ)予選突破を果たすその3か月前、古都・鎌倉に新たなる伝説が生まれようとしていた。大原由美子(おおはらゆみこ)が新しく監督になった私立九里浜高校サッカー部。そこには、“奇跡の左(ミラクル・レフティ)”を持つ伊東宏(いとう・ひろ)=ヒロがいた。前監督とそりが合わず控えの選手だったヒロを、いきなりレギュラーに抜擢した由美子。今、高校サッカーの歴史を塗り替える“左足(レフティ)”の伝説がはじまる──!!

シュート! ~新たなる伝説~(2)

“左”のスペシャリスト・ヒロを司令塔に、掛川高とは違う、各人の個性を生かす「キングダムサッカー」を目指して着々と強化を進める九里浜サッカー部。しかし、監督の強引なやり方に反対する香坂(こうさか)は、部から去ってしまった──!!自分たちのやり方を認めさせるためには、勝つしかない。「掛川を倒すのはオレたち九里浜だ!!」。ヒロは熱き闘志を燃やす。

シュート! ~新たなる伝説~(3)

総体(インターハイ)神奈川県予選の決勝トーナメント初戦、ヒロのいる久里浜学園は強敵・港南を前に、思わぬ苦戦を強いられる。試合後半、先制点を挙げたのは港南。残り時間あとわずか、絶体絶命の久里浜に、ヒロの黄金の“左足(レフティ)”が冴え渡る!!見事勝利を収めた久里浜は、地元のテレビ番組に出演。そこで、トシたちのいる強豪・掛川に宣戦布告する。役者は揃った!!

シュート! ~新たなる伝説~(4)

総体(インターハイ)神奈川県大会決勝、光明対久里浜。試合開始わずか20秒、ヒロはキックオフシュートを決める。しかし、その直後から光明のヒロ封じが始まった。金で集められたプロ集団、光明の実力を見せ付けられ、あせる久里浜イレブン。そんな中、ヒロが光明攻略のルートを見つける!久里浜の“奇跡(ミラクル)”が今!!

シュート! ~新たなる伝説~(5)

総体(インターハイ)県大会決勝・光明対九里浜戦。後半、九里浜はヒロが仕掛けたトリックによって勝ち越し点を決める。九里浜の秘策のキーワードは“4-1=5”。光明サイドがこのからくりに気がついたときには、時すでに遅し。スタジアム全体を魅了したヒロ率いる久里浜のチームプレーに、なすすべもない光明。そこに襲い掛かるダメ押しのゴール!!九里浜学園はついに神奈川県大会で初優勝を飾った。次の目標は、もちろん全国制覇。そして冬の王者、掛川も新たなる伝説に向かって動き出していた。

シュート! ~新たなる伝説~(6)

ついに夏の全国高校総体(インターハイ)が広島で開幕!!なぜか宿が同じになってしまった神奈川の王者・九里浜と静岡の王者・掛川は、開幕前から火花を飛ばしあう。しかし、夜、寝付けないトシとヒロはボールを通じて闘争心と友情を育みあう。掛川の初戦は、九里浜と激闘を演じた光明商工。屈指の好カードといわれるなか、闘将・神谷は「5点差で勝つ!」と早くも勝利宣言。第1試合から、掛川のミラクルは起こるのか!?

シュート! ~新たなる伝説~(7)

全国高校総体(インターハイ)第1試合、掛川は予告どおり光明商工に5対0で圧勝。掛川の真の奇跡を目の当たりにして、ますます闘志を燃やす伊東宏(ヒロ)は、超高校級の司令塔である神谷に対抗し、九里浜の初戦、名門・帝光学園を相手に「5点差で勝つ!」と宣言する。マラドーナのいたアルゼンチンチームと同じキングダムサッカーを目指すヒロは、開始早々強気に攻めまくるが、先制のチャンスを帝光のエース恩田朝之(おんだ・ともゆき)の高判断で止められてしまう。あせる九里浜、しかし、ヒロの“神の手”ゴールが帝光を揺るがす!!

シュート! ~新たなる伝説~(8)

かつて掛川と1点を争う死闘を演じた王者・帝光が、新鋭・九里浜に4点を奪われてしまった!しかし九里浜は攻撃の手を緩めない。「5点差で勝つ!」。掛川の司令塔・神谷に宣言した伊東宏(ヒロ)のその言葉だけが、彼らを突き動かしていた――!!九里浜の気迫に圧倒される帝光イレブン。もう計算などない、がむしゃらの情熱だけがスタジアムを包んでいた。残る時間はロスタイムのみ。正真正銘、これが最後のチャンス!九里浜のキングダムサッカー、なるか!?

シュート! ~新たなる伝説~(9)

全国高校総体(インターハイ)・2回戦、「11人全員が司令塔」という、“尾道の山猫(リンクス)”佐野圭太率いる尾街西(おのまちにし)と対戦することになった掛川。開始早々、田仲俊彦(トシ)は得意のファントムドリブルで先制する。しかし、いつもの自分のエリアを忠実に守るサッカーをかなぐり捨てた尾西には戦略があった。あえてトシにファントムを出させることで、ついにその死角を見つけた佐野!無敵不敗と恐れられたファントムドリブルが、ついにその称号を引きはがされた!?

シュート! ~新たなる伝説~(10)

「尾道の山猫(リンクス)」の異名をとる佐野圭太率いる尾街西(おのまちにし)の戦略に翻弄されながらも、闘将・神谷が最後に見せた豪快なロングパスと、田仲俊彦(トシ)の“幻の左”!掛川イレブンは3回戦に駒を進めた。そして九里浜は、冬の大会で掛川と熱戦を演じた「北海の氷壁」氷室明彦率いる鶴ヶ崎と対戦することに。強気で戦いに挑む伊東宏(ヒロ)だが、“魔の時間帯”と呼ばれる開始5分以内に先制ゴールを決める鶴ヶ崎の戦略にまんまとやられてしまう。ヒロは、氷室の必殺“テイクオフシュート”を止めることはできるのか!?

シュート! ~新たなる伝説~(11)

久里浜VS.鶴ヶ崎のロスタイム。同点のチャンスに氷室が放った完璧と思えたテイクオフシュートがはずれ、2-1で試合終了。九里浜はついに準々決勝へと進んだ!氷室のシュートを止めたのは、キャプテン牧野。それは、掛川の10番、田仲俊彦(トシ)の“幻の左”を止めるために身につけたテクニックだった――。決勝戦での戦いに闘志を燃やす九里浜イレブン。また掛川も、九里浜の底力を知り、脅威を感じ始めていた。快勝で準決勝を勝ち進んだ両チーム、ついに決勝の幕が上がる!!

シュート! ~新たなる伝説~(12)

夏の全国高校総体、決勝戦。伝説のチーム掛川高校VS.新鋭九里浜学園の直接対決が決定!!それぞれの熱い想いが交差する中、試合開始の時が刻々と迫る――!!

シュート! ~新たなる伝説~(13)

高校総体(インターハイ)・決勝戦。掛川高校VS.久里浜学園の激しい攻防の中、トシの「幻の左」が、久里浜主将・牧野により封じられ掛川は窮地に追い込まれる!!先制点を奪うのは果たして!?

シュート! ~新たなる伝説~(14)

全国高校総体(インターハイ)・決勝戦。掛川VS.九里浜の対決は、伊東宏(ヒロ)の先制弾により九里浜が1点リード。しかも掛川は、田仲俊彦(トシ)の“ファントムドリブル”を封じられ、苦しい戦いを強いられる。その上、掛川トリオの必殺技“トリプルカウンターアタック”をやってみせると豪語するヒロ。完全に九里浜ペースの前半は、追加点を取られ2点ビハインド。追い詰められた掛川イレブンだが、九里浜の強さを認め、自分たちの役割を再認識した彼らは、もう一度挑戦者になることを誓う。天才・久保嘉晴の残した最強のチームが、再び目覚める!!

シュート! ~新たなる伝説~(15)

掛川VS.九里浜の全国高校総体(インターハイ)・決勝戦は後半戦に突入!!2-2の同点に追いついた掛川に対し、九里浜も必死の反撃へ。そんな中、田仲俊彦(トシ)は、天才・久保嘉晴が言い残したという“ゴール前の聖域(サンクチュアリ)”の存在を感じはじめた。あえてDF(ディフェンス)のいる方へ走り出すトシ。トシの期待に応えきれず戸惑う平松。残り時間4分で、フォーメーションを大きく変えてきた九里浜。ギリギリの攻防の中、神谷には、平松には、そしてトシには見えていた、本当のゴールが!!

シュート! ~新たなる伝説~(16)

冬の全国高校選手権・夏の全国高校総体(インターハイ)と連覇し、キャプテン神谷のセリエAへの挑戦――。掛川イレブンにとって、あまりに劇的な夏が終わった……。久保嘉晴が作った伝統を守り抜くため、2年生の平松をキャプテンに据える新体制で、冬の大会への新たなスタートを切った掛川。神谷が抜けた穴は大きく、勝ったり負けたりの不安定なチームだが、彼らの伝説ははじまったばかり。そして、熱き高校生たちの物語から7年後。世界へと飛び立った黄金世代たちが、再び動き出す。「新たなる伝説」シリーズ、完結!

シュート! ~新たなる伝説~

W杯なのでサッカー漫画史上屈指の名作を

シュート! ~新たなる伝説~ 大島司
mampuku
mampuku

 キャプテン翼と双璧を成す少年誌サッカー漫画の金字塔『シュート!』シリーズの最終章です。  これまで久保嘉晴や田仲俊彦を中心とした静岡の掛川高校が高校サッカーの頂点を目指すストーリーが描かれてきたが、ここへきて掛川のライバルとして神奈川県の久里浜高校と、もう一人の主人公・伊東宏が登場する。  突然の主役交代に面食らった読者も多かったと思われます(当初は結構賛否両論だった気がします…)しかしながら少年誌らしい真似したくなるようなダイナミックな試合描写だけでなく、現在でいうポジショナルプレーにも似た戦術論、デュエルの重要性、インテンシティの高い試合、身体的ハンディキャップにたいする理解の先進性、などなど15年以上前の漫画とはいえ今なおトップクラスに面白いと思える名作であることは間違いありません。  現代サッカー漫画との大きな違いは、Jリーグ発足前から続くシリーズだから仕方ない面もあるかもしれませんが、クラブユースの存在が全く無視されている点でしょうか。(※ただしこれはシュート!に限らずDAYSやエリアの騎士でも同様の傾向が。マガジン?樹林?)  現在の日本代表の攻撃陣は、香川・武藤はクラブユース出身、乾・岡崎は高校サッカーですね。ユース内での競争を描いた「アオアシ」、高円宮杯でクラブチームとの死闘を演じる「BeBlues」、ACミランの下部組織から昇格を目指す「ファンタジスタ」、ジュニアユース時代のライバルと天皇杯で激突する「フットボールネーション」…今や10代のサッカーを描くのに避けては通れないクラブユースをちゃんと絡めて描いて、且つマガジンらしい熱いサッカー漫画が読んでみたいですね。