あらすじ「オレは名を継ぎに行く」狛彦(こまひこ)が放った言葉の意味は!?――武田信玄(たけだ・しんげん)が倒れ、雑賀孫一(さいか・まごいち)が戦場から姿を消した。最大の窮地を脱した織田信長(おだ・のぶなが)は再び疾走を始める。伊勢長島の一向門徒、武田勝頼(たけだ・かつより)を破り、遂に本願寺に攻め寄せた信長の前に、3年の沈黙を破り雑賀孫一が姿を現す……。更に磨かれた孫一の業を、狛彦は破ることができるのか!?“信長編”感動と衝撃の完結巻!
古武術・陸奥圓明流の継承者、陸奥九十九を主人公とした『修羅の門』の外伝で、千年不敗の歴史の中で活躍した各時代の陸奥継承者を描くシリーズ。本編は現代劇ですが、外伝はほぼ時代劇ということもあって、より何でもありの内容。明朗活劇としては断然こっちのほうが楽しめます。何せ相手は宮本武蔵に柳生十兵衛、新撰組に西郷四郎。時代も幕末、鎌倉時代、さらにはアメリカ西部開拓時代と相手も時代も男子なら血沸き肉躍る設定ばかり。著者のストーリーテラーとしての才能がこの中で存分に発揮されています。その極め付けは2、3巻の幕末風雲編。著者の坂本龍馬への思い入れが半端じゃなく、また龍馬と陸奥出海の関係が青春ストーリーのようで、ついのめり込んでしまいます。本編、外伝通じてここまでまっすぐに友情を描いているのは珍しんですよね。結果、陸奥が主人公らしくなくて、まさしく外伝という体裁になっています。幕末ファンの方はひと言いいたくなる内容かもしれません。ですが、あとがきにあるように「この物語は史実である」と思って読んでもらいたいですね。