あらすじ時は現代、子供の運動会で走った中年の大島元気(おおしま・げんき)は、マッサージを頼んだ息子から駆け足が遅いとからかわれて、子供の頃は“運動会の元気くん”と言われるほど活躍したのだと話す。小学4年生の元気は、クラス対抗のリレー選手に百メートル競走の選手、それと上級生に混じって跳び箱の模範演技するほど運動神経バツグンであった。そして先生から運動会の賞品の内容を聞いた元気は……!?
東京新聞(中日新聞)を取っていた人には懐かしい作品。東京新聞の日曜版で毎週読んでいました。釣りバカ日誌の作者・北見けんいち先生が戦後の子供時代の思い出を回想するように戦後の日本を描いた作品です。 まだ戦争の傷跡が残る東京が舞台。生活に困窮し物資が乏しい時代でありながら、主人公の元気くんたちは友達と遊ぶことが中心の毎日。私は当時、ちょうど元気くんと同い年くらいでしたが、何もなくても楽しいことや面白い出来事に変えてしまう元気くんから、ずいぶん学ぶ所は多かった覚えがあります。とにかく娯楽や遊びに対しての執念がものすごかった。 実際は、生きていくだけで精一杯のはずなのに、作品から悲惨さはあまり感じられません。元気くんの周りには、大変な状況の中で前を向いて暮らす周りの大人たちが沢山いて、根底には明るさがあるからです。ちょっと説教臭いときもありますが、大人になった元気くん(中年)が過去を振り返って、しみじみと当時を語る姿が毎話印象的でした。