【連載】中山淳雄の「推しもオタクもグローバル」第80回 『ベルセルク』継承-高校時代以来の無二の親友三浦建太郎、その意思を継ぐ漫画家森恒二 | gamebiz
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白泉社ヤングアニマルで連載中の『ベルセルク』、その壮大なファンタジー物語は42巻合計で6000万部(以下続刊)、『ハイキュー!!』に次いで歴代漫画コミックスで売上部数34位という位置にある。白泉社としては青年向けコミックス歴代No.1の販売数作品であり、まさに物語が終局に向かおうという段階で33年にわたって連載を続けてきた三浦建太郎氏が、志半ばに逝去したのが2021年の話だった。訃報から1年、作…
『ホーリーランド』『自殺島』『創世のタイガ』の森恒二さんが送る最新作。 世の中、法律では裁けない悪人というのがいます。人間の作るルールは完璧ではありませんし、それを遵守させることもまた難しい。従ってどうしてもその網目から抜け出す者はいます。ルールに従い、真面目に生活している大多数の人間にとってはたまったものではないのですが。 そうした理不尽が現実に存在するからこそ、フィクションの世界では社会のシステムだけでは裁けない悪を懲らしめるヒーローを描いた作品が古から人気を博してきています。 本作は、大学で法律を学ぶ青年・カグラが、他人の夢に入ってゆける能力を使って悪人たちを懲らしめていく物語です。 家事で家族を亡くしてしまったが故に炎を憎みながら、なぜか炎を愛おしく思うカグラ。彼がなぜそんな能力を身につけるに至ったのか、その理由も興味深いです。一見すると普通の好青年に見えるカグラの底にある危うい部分が物語を引き締めるスパイスになっており、森恒二さんらしい味わいも生み出しています。 夢の世界での出来事が現実にも影響していくことを利用して、カグラは夢の中でさまざまな犯罪者とやり合っていきます。犯罪者たちの思考や行動など、非人間的なディティールも流石です。 そして、他人の夢に潜るというファンタジー設定がありながらも、やり合う方法が物理的な格闘というのもまた森恒二さんらしいです。カグラが空手の経験者であるのも、どこか安心します。 『ホーリーランド』を読みながら回し蹴りなどの練習をした私は、本作も応援しています。