『ホーリーランド』『自殺島』『創世のタイガ』の森恒二さんが送る最新作。 世の中、法律では裁けない悪人というのがいます。人間の作るルールは完璧ではありませんし、それを遵守させることもまた難しい。従ってどうしてもその網目から抜け出す者はいます。ルールに従い、真面目に生活している大多数の人間にとってはたまったものではないのですが。 そうした理不尽が現実に存在するからこそ、フィクションの世界では社会のシステムだけでは裁けない悪を懲らしめるヒーローを描いた作品が古から人気を博してきています。 本作は、大学で法律を学ぶ青年・カグラが、他人の夢に入ってゆける能力を使って悪人たちを懲らしめていく物語です。 家事で家族を亡くしてしまったが故に炎を憎みながら、なぜか炎を愛おしく思うカグラ。彼がなぜそんな能力を身につけるに至ったのか、その理由も興味深いです。一見すると普通の好青年に見えるカグラの底にある危うい部分が物語を引き締めるスパイスになっており、森恒二さんらしい味わいも生み出しています。 夢の世界での出来事が現実にも影響していくことを利用して、カグラは夢の中でさまざまな犯罪者とやり合っていきます。犯罪者たちの思考や行動など、非人間的なディティールも流石です。 そして、他人の夢に潜るというファンタジー設定がありながらも、やり合う方法が物理的な格闘というのもまた森恒二さんらしいです。カグラが空手の経験者であるのも、どこか安心します。 『ホーリーランド』を読みながら回し蹴りなどの練習をした私は、本作も応援しています。
いじめられっ子のユウが独学でボクシングを学び、町中のヤンキーをボコボコにしていきます。 いじめられっ子のユウは「ヤンキー狩りボクサー」と呼ばれるようになります。 ヤンキー漫画と呼ばれる事もありますが、個人的にはTHE格闘漫画だと思います。 技の解説も非常に丁寧でわかりやすいですし、主人公が格闘技(喧嘩)を通じて成長していく漫画です。 地味な男が実は強いみたいな設定は男性にはたまりませんよね!?
学校にも家庭にも居場所がない少年・神代ユウが不良狩りとして街の伝説になっていくストーリー。 ひ弱な少年が強くなり周囲を見返すといった単純な物語ではない。 強くなればなるほどに苦悩する神代の弱さや優しさがなによりも印象的だった。 暴力への嫌悪感と高揚感の狭間で思い悩んだり、仲間を傷つけられた怒りで我を忘れたり、過去の対戦相手と友情が芽生えたり……常人離れした力を身につけながらも、繊細で素直な神代に強く惹かれた。 誰といても何をしていても虚しかったり、かつての神代のように自分の居場所がわからず心を殺して生きている人はたくさんいるだろう。 街に出たら、拳を繰り出したら何か変えられるかもしれない。 今いる場所が全てではないんだ、歩みを止めなければ世界は変わるんだということを神代の生き方が教えてくれた。 今まさに悩み苦しんでいる人にも、通り過ぎて何も感じなくなってしまった人にも、もちろんそれ以外のすべての人にも是非読んでほしい作品だった。
森恒二さんってこういう漫画書かれてたんですね イキイキとしてる感じがありました 最弱少年なのにヤンキー狩りを始めるというギャップ! そして作中で「僕自身ナイフを持った相手と対峙したことがありますが…」と描かれていてヤンチャな方なのかなと… なんにせよ面白かったです!
自殺島が好きだったので本作も最新刊(2021年4月現在の最新4巻)まで読了。 読んだ感想は・・・自殺島とほぼイコールですね。 自殺島が自殺志願者が集まったのに対し、凶悪犯のみが集められている設定。 また、主人公が、元々野球で基礎体力があるのも前回とは異なる点かな。ポテンシャルがこちらのほうが高い。 ただ相変わらず、この島でヒャッハーする輩がいて、主人公たちと相対していき、自分たちは自分たちのコミュニティで根をはっていく流れ。 どちらかというと自殺島の、漁したり狩猟したりのサバイバル部分が好きだったので、本作はそれよりも抗争が多めで(まぁ、無法島なので)全体的にちょっと重めですね。 主人公は冤罪ですが、他の登場人物は色々抱えてここに来ているので、それに悩み苦しむ感じなど暗い展開が多いです。 ただ、段々と、主人公に無実の罪をなすりつけた張本人がでてきたり、抗争相手のジンボ組織が内紛で瓦解しかけてきたりと、物語が大きく動きはじめた感じがあるので、今後が更に楽しみになってきましたね。 自殺島とどうつながっていくのかな? 自殺島で使っていた道具が、実はこの作品の〇〇とかだったら胸アツですね。
主人公は元々いじめがきっかけで家に引きこもっていた青年で、引きこもり生活の中で無心に行ったジャブの素振りがもとで、とんでもない速さのパンチを体得するに至ります。そして、偶然因縁をつけられたヤンキーを、パンチのみで瞬殺KOしてしまったことから物語は始まります。自身の圧倒的な格闘センスを自覚しつつも、人を傷つける行為を素直に受け入れることができず、苦悩を重ねて強くなるのですが…。 この漫画のラストはいろいろな解釈ができると思います。 わずかに残された想像の余地を楽しむのも一興ですね。 ホーリーランドは今をもってして森恒二先生の代表作だと思っています。 以降の作品においても、根底にはホーリーランドのイメージを感じるのです。
森恒二が好きなのでとりあえず読んだ。 …コミックスの帯には自殺島の前日譚となってるけど…どうなんだろう?よくわからないな。始まりからキャラクターまで、既視感ありすぎて今何を読んでるのかわからなくなってきた。特にこの主人公はいろんな漫画に登場してる気がしてるぞ…
「逃げ」に究極が「自殺」じゃあその自殺という選択肢が奪われたら? 本の名前が病み過ぎな名前と真逆で自殺をする物語ではなく 今まで自殺を繰り返してきた人間が無人島で本気で「生きる」ということが描かれた漫画。 失ってから気づく食料の有難み。 安全の有難み。 秩序の重要性。 仲間と畑を造り、狩りをして、 眼の前で死んでいく人のリアルのそれを感じて 「生きる」をテーマにした物語。 主人公 セイ 愛犬 イキル 彼女 リヴ 名前の由来も「生きる」からきている。 生きることの大切さを失った人にはぜひ読んでほしい。
ストリートファイトを題材にした漫画ですが、主人公が弱いところから努力で強くなっていく過程がリアルですごく好き。優しい心の主人公が、力をつけたことで内面にも変化が起きるあたりも印象的でした。 暴力というものを考える時に、中高生に読んでほしい作品です。
『ホーリーランド』『自殺島』『創世のタイガ』の森恒二さんが送る最新作。 世の中、法律では裁けない悪人というのがいます。人間の作るルールは完璧ではありませんし、それを遵守させることもまた難しい。従ってどうしてもその網目から抜け出す者はいます。ルールに従い、真面目に生活している大多数の人間にとってはたまったものではないのですが。 そうした理不尽が現実に存在するからこそ、フィクションの世界では社会のシステムだけでは裁けない悪を懲らしめるヒーローを描いた作品が古から人気を博してきています。 本作は、大学で法律を学ぶ青年・カグラが、他人の夢に入ってゆける能力を使って悪人たちを懲らしめていく物語です。 家事で家族を亡くしてしまったが故に炎を憎みながら、なぜか炎を愛おしく思うカグラ。彼がなぜそんな能力を身につけるに至ったのか、その理由も興味深いです。一見すると普通の好青年に見えるカグラの底にある危うい部分が物語を引き締めるスパイスになっており、森恒二さんらしい味わいも生み出しています。 夢の世界での出来事が現実にも影響していくことを利用して、カグラは夢の中でさまざまな犯罪者とやり合っていきます。犯罪者たちの思考や行動など、非人間的なディティールも流石です。 そして、他人の夢に潜るというファンタジー設定がありながらも、やり合う方法が物理的な格闘というのもまた森恒二さんらしいです。カグラが空手の経験者であるのも、どこか安心します。 『ホーリーランド』を読みながら回し蹴りなどの練習をした私は、本作も応援しています。