クリオネの告白

暗い事情で結び付くふたりの少女 #1巻応援

クリオネの告白
兎来栄寿
兎来栄寿
7ヶ月前

ドラマ化もされた『初恋、ざらり』で一躍有名になったざくざくろさんのマンガは、血を流しながら描かれている印象を受けます。 目を背けたくなるようなしんどさにしっかりと真摯に向き合って、触れると痛みが走るそれをもがき苦しみ叫びながら掴まえて、芯を捉えてくり抜き提示してくる。そうして身を削り魂を削るようにして描いたものだからこそ、読む者の心にも鋭利に爪を立てて掻き傷を残す。そんな作品です。 詳細は違えど、この作品で描かれるうららと似たような状況に立ったときの記憶が否応もなく蘇りました。その子にとって、自分しかいないのは解る。好きでいてくれるのも解る。でも、それに応えてしまうとより深い依存となってその先は底無しの沼が待っているのも解る。そこで適度に距離を取れれば良いけれど、その選択肢は有り得ない。それによって他の繋がりも犠牲にすることも含めて無限にどこまでも受け入れるか、この瞬間に離れるその子を再び孤独に追いやるかの二択。 今ははっきりと問題とされていても一昔前なら顕在化しにくかった父親の行為の気持ち悪さや、それを看過してしまう母親の在り方、それによって家族に味方がいなくなり孤立し傷つく様なども非常にリアルで流石です。 暗澹たる部分が縁となりながら、ある種の美しい煌めきを見せるように結びついていく寧々とうららの関係性。しかし、その最中に寧々の心の中からもたげてくる激しい情動。寧々はそれをどのように扱っていくのか。それを受けるうららは果たしてどうなっていくのか。 心と魂にたくさんの火傷や切り傷を負いながら描かれた重みを味わいたい方にお薦めです。 余談ですが、今日はポケモン28周年だとか。初代ゲームボーイが描かれる1997年という舞台設定が懐かしさを催します。

つまみぐい弁当

素朴なのにつややかで美味しそうなお弁当のオンパレード

つまみぐい弁当
ゆゆゆ
ゆゆゆ
7ヶ月前

お弁当の話ですが、パソコンを置いている机やテーブル、キッチンなど、何気ないシーンから溢れ出る生活感や日常がたまりません。 絵になるにあたって、第一に削られそうなものが描かれています。 机の上にある新潟県の元祖柿の種、テーブルの下にあるボックスティッシュ、お玉などのキッチン用品と並んだ自家栽培豆苗。 細々描かれているけど話を邪魔するほどはごちゃごちゃしておらず、でも生活がにじみ出ています。すごく良いです。 お宅にお邪魔して、お弁当づくり風景を覗いている感じがとても好きです。 中学生のころ、母が作ってくれたお弁当を開けるときは宝箱を開ける瞬間のように楽しみだったことを思い出しました。

グリマス

グリマスの感想 #推しを3行で推す

グリマス
マンガトリツカレ男
マンガトリツカレ男
6ヶ月前

・読んだ直後に思ったこと ※一番大事!※ なんか妙なエロが入っていたのであんまり好きじゃないかもなとか思っていたが1巻の終わりあたりから面白くなってきた。さてオーナーの過去もわかったし謎だった能力もわかった。じゃあこれからどうなるのかと思ったら終わった。 ・特に好きなところは? オーナーの能力を予測するところ。 ・作品の応援や未読の方へオススメする一言! 電車の中で読んだ後に、どうやったらオーナーの能力を防ぎつつオーナーを倒せるかを考えたがかなり難しくないか?オーナーの倒し方が思いつく人がいたらぜひ教えて欲しい

Aさんシリーズ

自分の感情整理が一番大変なんだ。

Aさんシリーズ
Pom
Pom
7ヶ月前

そりゃ、それぞれ思う事があって当たり前だよな。 隣りの芝生は青い。 今は色んな選択肢があるけど、人間の心はそんなに変わらないし、読んでいてより人間の感情が複雑化した様な印象を受けました。 Aさんの恋路は、グッときますね。頭で色々考えていたら、自分が思い描いていた結末とは違う結末になった。でも、恋だけでなく、大人になると頭で考えてしまうよねと。思ったこととは裏腹なこと言ったり、チクチクした事も言いたくなる時もあるよなとか。休みたくなる時もあるよなとか。 皆に共感する所あるし、いくらか救われたとこもあり、読んで良かった。

ゆびのわものがたり

指輪に込められているもの。

ゆびのわものがたり
Pom
Pom
7ヶ月前

たったひとつの指輪が紡ぐ物語の数々。 指輪を指にはめた時から嬉しさも悲しさも一緒に月日を重ねてるんだな。なんて少しロマンチックなことを思った。 しっとりした雰囲気で、大人の世界感が伝わる作品。 色んな意味を持った世界でたった一つの指輪。 想いのこもった指輪をあげたい人がいるって、こんなに誰かを想える事って幸せだ。 2巻の第10話が私は好きでした。 時を経てね、お互い人生積み重ねて結ばれるってあるんだなぁ〜ドラマの様だ。運命って言うのかな。 ジーンときたなぁ。

じゃあ、あんたが作ってみろよ

ウザいわ〜この男、と思いきや

じゃあ、あんたが作ってみろよ
さいろく
さいろく
5ヶ月前

素直に反省するじゃんこいつ…そして変わろうとしてるところ、いいじゃん… というのが本作の見どころ。だと思う。 でも本当に危ういぐらいウザい。 周りの後輩や部下が純粋に良い子たちでよかった。 空気が読めない事やコンプラ的に引っかかってるだろーっていうのもギリ許容(我慢)しているよっていう表現がギリギリすぎて怖いけど。 そしてこいつの見てないところで別の顔を存分に発揮していく元カノ。。。 羽根を伸ばすというよりは、殻を破るってことは殻を作ってたんだなーって理解したうえで自由を満喫する彼女はどう考えていくタイプなのか。 タイトルどおりスカッとさせる話に持っていくのか、どうなるか気になる。 谷口菜津子作品はやわらかいタッチで大ぶりのコマが美しく、非常に読みやすく良いバランスである。 画像は「ここは治らないのかな?」というところ。 その自信はどっから来るんだろう^^

ザシス

『ろくブル』の森田まさのりが描くサスペンス

ザシス
さいろく
さいろく
7ヶ月前

なんとサスペンス…原作者ナシっぽいですが確かに森田まさのり作品だ… 相変わらずの描画力と線の強さ、構図もやはり「表情で表現できる」からこそのアップなコマが多い。モブの表情すら凄い。 描き込みがすごいのも相変わらずだし、空間表現力が更に熟練の感じで良い。 落下する人物を上から見下ろしているシーンで高さがなんとなくわかるというか。 ビルの屋上の高さの表現も極端じゃないからこそ身近にあるビルなんかで想像しやすくて、"リアル"だなぁと。 2巻まで読了したけど、4〜5巻ぐらいで終わる感じの流れっぽい? 無理に長くされちゃうより全然いいんですけどね。 楽しみがすぐ終わっちゃうというのは残念ではあるけど、いいまとまりを期待しつつ。(もちろん長く続いてくれるのもアリです)

あすなろ坂

「あすなろ坂」読んでみた

あすなろ坂
かしこ
かしこ
4ヶ月前

幕末から終戦までを描いた作品です。初代主人公もお婆ちゃんになるまで激動の時代をかけ抜けますが、物語の主役は各時代ごとに子供から孫そしてひ孫へと受け継がれていきます。 幕末編。主人公は会津藩でも指折りの名家へ嫁ぎますが、その後に幼馴染への恋心を自覚して妊娠してしまいます。しかし旦那さんが自分の子供として育てると受け入れてくれます。なかなかセンセーショナルな始まりです。ここから更に紆余曲折ありますが、幕末編の主人公の相手を思いやるピュアな夫婦愛には胸を打たれます! 明治編。出生の秘密を息子と娘は知りません。娘とお嫁さんが看護師や小説家になって女性の自立が描かれるようになり主役も変わっていきます。ただ幕末編の主人公もまだまだ若くて元気なのでそちらの生き様も目が離せません。 大正編。明治編の息子の子供達が主役になります。女優の夢を叶えて仕事に邁進する姉、思想家の夫と満州へ渡った家庭的な妹。まるで対照的な生き方がどちらも過酷な人生でした。関東大震災が起きて人々が混乱していく様子も描かれていたのが印象に残りました。 昭和編。満州に渡った妹夫婦の娘が主役です。訳あって孤児として育てられ勘違いから養女として主人公一家に迎えられることになります。大人になった娘は軍人と結婚しますが初恋の相手であるロシア人と三角関係になったり、時代も恋も怒涛の展開です。幕末編の主人公が大往生して走馬灯が流れるシーンは4代続いた物語の大団円に相応しかったです。 後書きに「10代の頃から男性の周りにいた女性達は戦争を止められなかったのかと考えていた」とあり、それが全編を通して真のある女性が描かれた理由になったんだなと思いました。また同じ女性でも仕事に生きがいを見出したり、命がけで家庭を守ったり、それぞれ違って多様性があるのがいいですよね。少女漫画だからどの女性も恋に対して一生懸命になってるけど、大事なのは精神的な自立なんだと学びました。もっと早く中学生くらいの頃に読んでたら人生も変わってたかもしれません!

オタクに優しいギャルに私はなる!

「オタクに優しいギャル」がいないなら自分がなればいいじゃない #1巻応援

オタクに優しいギャルに私はなる!
sogor25
sogor25
7ヶ月前

主人公は高校2年生に進級したばかりの有本あいり。 彼女はギャルのような見た目をしていますが、実は中学生の頃はただのコミュ障なオタクでした。 そのせいで友達が全くできなかった彼女は**「オタクに優しいギャル」に自らがなって“ギャル”としてオタク友達を作る**という作戦を思いつき、 高校入学からキャラ作りを頑張ってついに作戦を実行しようとしているところでした。 しかし、オタクそうな男子に話しかけてみたところ、ギャルへのなりきりに必死過ぎて最新のオタク文化を追えていなかったために中途ハンパな会話しかできずあえなく玉砕。 「オタクに優しいギャル」に自分がなるという斬新なアイデアで果たしてあいりは友達を作ることができるのか、彼女の奮闘を描くスクールコメディです! 1巻まで読了

ギミーアグリー

迷い込んだ異空間で出会った6人の"自分" #1巻応援

ギミーアグリー
sogor25
sogor25
7ヶ月前

逃げグセのせいでバイトが長く続かず、ちょうど20件目のバイトを無断欠勤してしまったばかりの「久々原亜久里」(くぐはらあぐり)は、 そんな自分を変えようと、試しに普段と違う方の足から靴を履こうとした次の瞬間、目の前の世界が崩れ始め、気づいたら謎の異空間に飛ばされていました。 そこで彼女が出会ったのは、“時空探偵”を名乗る少女、そして、それぞれ別の時空から同じく飛ばされてきたという6人の“久々原亜久里”でした。 同じ“久々原亜久里”だけど自分とは明らかに違う存在である彼女たちは、何者にもなれずにいた「久々原亜久里」にとってはそれぞれが“自分がなり得た可能性”たちでした。 そんな“久々原亜久里”たちと元の世界へ戻る術を探す「久々原亜久里」を描く作品です。 “久々原亜久里”たちとの接触で「久々原亜久里」の自己同一性が揺らぐと世界が崩れ始めるというSF的な描写も織り交ぜつつ、絵の情報量も格別に多く、1ページ毎の密度の濃さで圧倒しつつそれでも全力でエンタメをしている、1度読めば忘れられないインパクトを残してくれる作品です! 1巻まで読了

スーサイドエイジ

青々とした影の下で息絶えるものたち #1巻応援

スーサイドエイジ
兎来栄寿
兎来栄寿
7ヶ月前

カドコミがリニューアルされ、とても見やすく使いやすくなった今日このごろ。アプリのBOOK WALKERもこの調子で使いやすくして欲しいです。 そんなカドコミで短期集中連載されていたこちら。 作者のあらやかわいさんは「絶対天使」や「ゾンビは走らねえんだよ」などでも感情を迸らせる女子高生たちを描いていましたが、この『スーサイドエイジ』も、まさに自身が高校卒業する際に同人誌として描いたもののリメイクだそうです。 第1話 天真爛漫な合田さん 第2話 陸上部の松田さん 第3部 惰性に生きる田嶋さん 第4話 優等生の真田さん 第5話 学校嫌いな金子さんと刈谷さん 第6話 卒業式 という目次を見ていただければ解る通り、概ね1話ごとにメインでフィーチャーされるキャラクターは変わりながらも、同じクラスで共に過ごす女の子たちを描いた群像劇です。 まず、シンプルに絵に惹きつける力があります。スタイリッシュな作画で描かれる女の子たちが魅力的で、特に三白眼になりがちな眼力の強さが良い。個人的な好みで言うと、4話でチラシを配っている金子さんの横顔と、6話の包帯の子が特に好きです。 そして、「女子高生」という特別な3年間が終わるに際して生じるさまざまなものが入り混じって消化不良を起こしそうな感情を若々しさを迸らせながら表現しているのも良いです。人生において、その瞬間にしか湧かないものというのがありますが、この作品にはそれがしぬかりと込めてあります。普通の人であれば、記憶の中から時と共に少しずつ薄らいでいくであろうものがこうして作品として永遠に残る形で留められている。それは、他者が触れれば自身の記憶に呼応して何かしらを呼び覚ます契機にもなり、またいつか歳を重ねて自分で読んだときにはその貴重さを噛み締める類の素晴らしい営みであろうと思います。今の私には、この昏さが眩しいです。 作品の構成もまたとても良く、1冊で綺麗に完成しているのも美しいです。あれだけ楽しい時間を一緒に過ごした友人でも、その裏にあるものをまったく知らないこともあります。努力していた人。怠惰な人。真面目な人。奔放な人。他者に行っていたさまざまなラベリングのその裏は、もしかしたらこんなだったのかもしれないと思わせてくれます。 ウクライナやパレスチナにいる同い年の子の存在を思えば日本に生まれて毎日食べるものや水に困らず今この瞬間に命が消されることに怯えなくてもよく、さまざまな権利があるだけでも幸せなはずです。しかし、たとえひとつひとつ大きな不幸を消していっても残った小さい不幸の大小が隣の人と比べてほんの少しでも大きければ結局不幸だと思ってしまうのが人間。難儀なものです。人間はどこでも幸せになれるし、どこでも不幸になれる。若いころなんて特に今の自分が宇宙のすべてであるのもよく解ります。ああ、苦い。 キャラクターで言えば、容姿的にも関係性的にも金子さんと刈谷さんのエピソードなどはどうしたって好きです。ここを煮詰めたものなども一回描いてみて欲しいなと思うくらいには、短い中に良さが溢れていました。 あらやかわいさん、瑞々しくて初期衝動に満ちていて、これからますますたくさんの傑作を描いていくであろうことを確信できる1冊で今後が楽しみです。

P.I.P.-プリズナー・イン・プノンペン-

超絶劣悪環境のカンボジア獄中生活

P.I.P.-プリズナー・イン・プノンペン-
カイ
カイ
7ヶ月前

詐欺師にハメられてカンボジアの首都プノンペンで絶望の獄中生活を送ることになる(元)教師の物語 純粋で真面目で正義感溢れて誠実な主人公が地獄の底まで突き落とされる絶望感 原作者がガチでプノンペンで投獄されたことあるらしくて、半ドキュメンタリーな獄中生活(※私は原作読んでないので詳細不明) 起承転結がハッキリしていて吸い込まれるように読み終わってしまうオススメの一冊

かさねと昴

心が洗われる

かさねと昴
野愛
野愛
7ヶ月前

女装男子の昴くんと元気なボーイッシュ男子かさねちゃんのピュアでまっすぐな恋愛に心洗われる…。 可愛くて初々しくて甘酸っぱくて不器用だけど、ちゃんと自立した大人同士の恋愛なのがたまらない!! 言葉足らずですれ違ったり傷つけあったりしないで、まっすぐ話し合ってかっこ悪いところも見せあって絆を深めていくのがいい。恋愛漫画のすれ違いって絶対いらないから素晴らしい。 尻を揉んだのをきっかけに女装好きをカミングアウトして恋愛に発展する…という文字に起こすと不思議な流れだけど、読んでみると必然だ!!と思えるからすごい。 かさねちゃんも昴くんもうぶなのに一生懸命気持ちをぶつけるから愛おしい。本当に心が洗われる…!!

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