重粒子の旅 ―鼻にガンができた!―

中川いさみの闘病エッセイ

重粒子の旅 ―鼻にガンができた!―
名無し
1年以上前

ガンって鼻にもできるのかと初めて知った。 単なるイボだろうと思い医者に行ったら悪性の腫瘍だと言われ鼻の摘出を勧められるも、セカンドオピニオンで重粒子線治療を知りトライする闘病エッセイ。ピンポイントでガンをやっつける最先端の治療らしい。 入院のことは編集者にも秘密にしてたらしいので知らなかったが、中川いさみ先生がご病気だったというショックは大きい。現在ではガンも治らない病気ではないだろうけど、やはり身構えてしまう。副作用は今もあるようです。 けれども、病院内のリクリエーションでふなっしーに仮装した職員が登場する場面も、治療と同じトーンで描いてて思わず爆笑してしまった。作家はどんな時でも作家なのだと、ファンも安心して読める内容になっていると思います。

誰が為にブザーは鳴る

拙さが全く気にならない圧倒的表現力

誰が為にブザーは鳴る
名無し
1年以上前

17歳の高校生が描いたという情報があると、画力とか、作画の基礎技法とか、重箱の隅をつつこうとすればいくらでも出てくるけれど(この作品に限ったことではないが)、そんなことを吹っ飛ばすくらいのものを読んで感じました。 モノクロの世界で鮮やかな色彩を感じられる作品もある一方で、この作品はその逆だと思ったのですが、色味を感じないことが良い方にこの漫画の世界観に影響している気がします。 無料公開しているので内容は是非読んでとしか言えませんが、窃盗症という一種の病におかされた女子高生が主人公だという時点で、もう面白い。

オランダさん

ポーランドと長崎の物語 丸尾末広の読切

オランダさん
たか
たか
1年以上前

丸尾末広のモーニング初掲載作品(モーニング2019年24号) 《あらすじ》 1936年の長崎に住む少年・マサルは、人々から「オランダさん」と呼ばれるカトリックの宣教師たちに好意を抱いている。 マサルに「聖女の弾丸」と呼ばれるメダイを渡した宣教師・コルベはポーランドへ帰国し、1941年にアウシュビッツで飢餓室(ハンガールーム)へと送られる。

美魔女の綾乃さん

39歳主婦がスキだらけ!なショート

美魔女の綾乃さん
mampuku
mampuku
1年以上前

 「天野めぐみはスキだらけ!」の大人版みたいな(?)隙だらけのアラフォーお姉さん(人妻)が無自覚に幸せを振りまく漫画。  必要以上に扇情的な絵にしていないのが素晴らしい、というかわかってますね。シチュエーション自体を楽しんだり想像する余地があり、ヤンマガの水球や先生などとは全く違う色気を感じることができます。  というかページ数の少なさが…切ない!

村井の恋

コメディの圧力が強い

村井の恋
sogor25
sogor25
1年以上前

あらすじの展開に達するまでたった8ページというまさに一直線のコメディという感じなんだけど、思ったよりボケの手数と種類が多いので、1巻160ページくらいならそのままの勢いで駆け抜けてしまうだけのパワーがある。一応ラブコメではあると思うんだけど、登場するもの全てにボケが乗っかってるような感覚になる、とにかくコメディの圧力が凄い。 1巻まで読了。

サザンウィンドウ・サザンドア

団地にロマンを感じる人は必読

サザンウィンドウ・サザンドア
nyae
nyae
1年以上前

田島列島や入江喜和、今日マチ子に通じる優しい線が特徴の石山さやかさんのデビューコミックス。 あらすじにもあるように、読むとなんだか懐かしい感じに胸がキュッとなります。 子供の頃は家族の垣根を超えてご近所さんと交流があったこととか、当時は鬱陶しかった親のおせっかいの有り難さが今になってわかったりとか、今は空気みたいな存在だけど新婚当時は1分でも1秒でも長く一緒にいたかったな、とか ささやかだけど記憶の引き出しに入ったままにしている部分を引っ張り出されるような、当たり前のようで当たり前じゃない、人の営み、ドラマが描かれています。 何かでトップを取りたい!成功したい!とか上を目指すことをモチベーションにしてる人ではなく、地球のはじっこで一生懸命生きてる人に読んでほしい本です。

今夜はねこちゃん

ポプテピピックよりは多少とっつきやすい

今夜はねこちゃん
mampuku
mampuku
1年以上前

相変わらずハイコンテクストでクセが強くて、読んでるとだんだんハマっていくこの感じは間違いなく大川ぶくぶ。 ぶくぶの笑いが理解できる私(サブカルクソ女感)を堪能できる素晴らしいク…作品です。猫という生き物の人語を解さず本能に忠実、という性質を上手く笑いに昇華したかと思えば、それらを鮮やかに裏切ってくる意外性で笑わせに来たり、猫ギャグ奥が深いです。

trash.

モラル低め、刺激強め、美少女度高め

trash.
mampuku
mampuku
1年以上前

絵に描いたような「セクシャル&バイオレンス」という内容。何となくの印象というか偏見ですがエログロ系ってとっつきにくい癖の強い絵柄が多いイメージでした。ところがこの「trash.」は、まるでアニメのようなデザイン性、画力、萌えを兼ね備えた洗練された絵柄で、なんならジャケ買いするレベル(というかしました) そんな洗練された美少女たちが敵の脳漿やハラワタをぶっ飛ばしたりあるいは逆にぶっ飛ばされたり仁義なき血みどろの戦いを繰り広げるマジでヤベェ漫画なのです。

腐女子のつづ井さん

腐女子になりたいとか思っちゃったりして

腐女子のつづ井さん
名無し
1年以上前

鉛筆一本で描いたみたいなラフな線と、最低限の描き込み。推しに対してはどこまでも真摯に向き合う姿勢が眩しいです。自分も常々こうでありたいと思います。つづ井さんの人間性を証明するかのように、まわりの友達とも信頼関係を築けていますね。こういう生き方も「ていねいな暮らし」と言えるのでは? トレーナーの文字がたまに変わるといった細かい技も流石です。 ところで連載がしばらくストップしているようですが、続きを読める日はいつか来るのか…

探偵ゼノと7つの殺人密室

異端の探偵ゼノが“ 殺人密室”に挑む本格推理マンガ

探偵ゼノと7つの殺人密室
マンバ
1年以上前

【掲載誌】 週刊少年サンデー2018年1号(2017年11月29日発売)より連載開始 【代表作】 『ARMS』七月鏡一/皆川亮二 『ジーザス』七月鏡一/藤原芳秀 【公式ページなど】 七月鏡一Twitter https://twitter.com/july_mirror 七月鏡一のプライベートサイト 酒場「雁の巣」http://www006.upp.so-net.ne.jp/Nanatsuki/

ポンコツちゃん検証中

能力バトルではない能力ラブコメ!

ポンコツちゃん検証中
名無し
1年以上前

福地翼先生のラブコメって「タッコク!!!」以来ではないでしょうか?いままでの作品でもラブコメっぽい展開はあるにはありましたけど、前作の「サイケまたしても」などは特に、常に死を意識したシリアスな展開が続いてたので、あくまでバトル漫画の印象が強かったんですよね。もともとサンデーらしいラブコメに合う絵柄だと思ってたので、むしろ「なぜもっと早くやらなかったんだ!」という気持ちになりました。(役に立つのかわからない)超能力を検証しながら、イチャコラするというノリも、本来の能力の使い道は、ココなんじゃないか?と思わせてくれるハマり具合です。あと、今までの作品でボツになった能力ネタも活かされてるのではないかと。そういう意味でも上手い。 水戸くんと夢咲さんの距離感は変わらずにいてほしいですが、一応、「超能力を使って隕石から地球を守る」というミッションが与えられてる以上、どこかで正念場が来ると思います。でも本当にこんな調子で地球が救えるのだろうか笑

サマータイムレンダ

いまジャンプ+で一番楽しみなマンガ

サマータイムレンダ
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
1年以上前

夏、幼馴染の潮という少女の訃報を聞き、和歌山の島に帰る主人公の慎平だが、島では誰にも気づかれずじわじわとある異変が起こり始めていた。 やがて慎平はその謎に巻き込まれていき、どうやら自分が解決の鍵を握っていると気づくようになる。 好きな要素がいっぱい入っているんです。 夏、海、島、田舎、方言、幼馴染、死、葬式、死体の謎、違和感、じわじわと迫りくる異変、夏祭り、一家蒸発、そしてネタバレになってしまうので言えない、ある設定がもうたまらないんですよね。 そして主人公の、口癖「フカンしろ」は、読後しばらくしてもすごく残ります。 冷静になって俯瞰すれば自ずと解決の糸口が見えてくる。かもしれない。 そんな状況になったら僕も小さい声でブツブツ言ってみようと思います。 サマータイムレンダを読んで書いているいま現在春なわけですが、夏に読むのが楽しみです。

彼女と彼氏の明るい未来

好きだからこそ、揺さぶられる倫理観

彼女と彼氏の明るい未来
sogor25
sogor25
1年以上前

前作「彼女は宇宙一」の評判が私の周りでやたら良かったので、谷口菜津子さんの名前を見つけてあらすじも何も見ずに今作に手を伸ばしたんです。冴えない感じで超ネガティブ思考の彼氏・一郎とそんな彼のことが大好きな美人の彼女・ゆきか…読み始めは「地球のおわりは恋のはじまり」みたいな幸せなラブコメなのかと思ってました。 そしたら突然明らかになるゆきかの過去に関する噂。生来のネガティブさもあってその噂を異常なまでに気にし始める一郎。そして唐突に登場する噂の真偽を確かめることのできるふしぎ道具。疑惑とそれを検証する術を目の前にして激しく揺れ動く一郎のメンタル。予想以上に読者の倫理観を揺さぶってくる恐ろしい作品でした。谷口さんの絶妙にデフォルメされたキャラクター造形、ベースは整然と並んだ長方形なのに突然崩れたようになるコマなど、いろんな方法で作品のリアリティラインを曖昧にしてきているのもその揺さぶりを効果的に支えているように思います。 1巻の段階ではその噂が事実かどうかは分からないけど、少なくとも現在のゆきかの気持ちは一郎に対して一途であることが伺い知れます。一郎の視点のないゆきかだけしかいない空間の描写からもそれは分かります。それを鑑みると、この作品の肝はゆきかの過去に囚われてしまった一郎の心の移り変わりにあるのだと思います。一郎が現在のゆきかだけを見て過去の噂など気にしないという態度を取ることができたなら、もしくはその噂を検証する手段があったとしてそれを実行しなければ、この2人はこれまでと変わらず穏やかに過ごすことができた、でもそうすることができなかった一郎の咎と、それを一概に否定することのできない読者側の人間の性、を描いた怪作だという印象を受けました。 「hなhとA子の呪い」「青春のアフター」「それはただの先輩のチンコ」等、好きという感情とそれに付随して回る負の感情をファンタジー設定を交えて描く作品が好きな方と相性のいい作品ではないかと思います。 1巻まで読了。

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