そういえばコスプレで、ライダーや戦隊もののスーツを着ている人って、あんまり見た事ないなぁ、というのが最初の感想でした。そういう顔の見えないコスプレを「ガワコス」と言うのを、この作品で初めて知りました。 とある特撮ヒーローのコスプレをしたい女子高生が、知り合いの美大生に制作の手伝いをお願いしに行くお話。美大生のお姉さんは全く乗り気でない割には「ガワコス」という言葉を知っていたり、制作にとても詳しかったり……。 いざ制作に入れば真剣で、めんどくせぇと言いつつ極力手間を省きながらも、正確に手際良く作る過程が為になるし、女子高生の少ない予算でそれらしく作る、お姉さんの創意工夫に感心してしまう。材料の解説も詳しく、分かりやすい。 物作りの面白さがたっぷり詰まっている一方、お姉さんが当初、助力を渋っていた理由や、周囲から見て愛らしい容姿の女子高生が何故、顔を隠す「ガワコス」をするのか、といった内面描写も面白い。さらにお姉さんにとても懐いている女子高生と、色々ツッコミつつ可愛がっているお姉さん……ほのか〜な百合の予感! あと特撮ヒーローの愛知県推しにも注目!
小説家の柚と、隣人の小学生真琴との交流を描いたお話。 真琴は、汚部屋で生活する柚を見て自分がママになると言ってお世話し始める。 しかし真琴が本当は何を考えているのか分からない。。 ママと言いながら、やっぱり子供な真琴と、柚がどんな風に信頼関係を築いていくのか、二人の本心など興味深い話だなと思います。
この作品は「ビーチコーミング」という趣味を取り上げています。ビーチコーミングとは、海辺で漂着物を拾ったり、観察したりする趣味のこと。私はこの趣味をマンバ通信の記事で知り、作品に興味を持ちました。 https://manba.co.jp/manba_magazines/11307 そんな趣味を楽しむ女子高生達。 ●ビーチコーミングが好きな旅館の娘・硝子 ●スイスから越してきた碧眼娘・シエル ●硝子の幼馴染で科学部所属・さざれ 今まで一人で浜を探索していた硝子は、シエルにぐいぐい押され、二人をくっつけようとするさざれと三人で海岸に繰り出します。 キラキラした物、不思議な自然の造形が沢山出てきて飽きさせません。地面に視線を這わせて宝を発見するのは、例えば山菜やきのこ、鉱物や化石趣味と似た楽しみでしょうか。 面白い物を見つけて、感じたことを共有し、互いにツッコみ笑い合うのは楽しそう。自ら孤独を選んできた硝子がシエルに明るく迫られながら、人と関わり始める物語は優しく愉快! 恐らく2巻以降、さらに面白くなると思うんですよね。その鍵となるのは、途中参加の ●ちょっと怖い手芸部のすさみん ずっと海岸で拾うばかりだった三人に、すさみんは「加工」という概念をもたらします。そのショックは、素敵すぎて硝子が涙するほど。1巻でも少し出てきますが、2巻以降、拾った物を「加工」する「物作り漫画」に化けていくのか……という観点でも、注目していきたいと思います。 和歌山・白浜(2巻以降、串本も)ご当地漫画としても、注目!
※ネタバレを含むクチコミです。
『カメラ、はじめてもいいですか?』に続き、本格的カメラ漫画が来ましたねぇ〜。 本作のテーマは鳥撮影!作者の津田七節先生はかなりガッツリ鳥撮影されているようで、内容が本格的なのが嬉しいので、ここでは本作に出てくる機材を推測したいと思います(私は花&きのこ専門なので間違ってたらスミマセン)。鳥の専門性やストーリーについては、どなたかお願いします。 ●カメラについて 主人公の初心者・秋山さんと、彼女の部下で師匠・高崎君のカメラは、いずれもNIKONのDXフォーマット。所謂APS-Cという、センサーが少し小さめのもの。小さいとはいえ、コンパクトデジカメのセンサーよりは全然大きく画質が良いので、軽さと画質を両立させたい場合は、こちらを選ぶと良いでしょう。 因みに上司の秋山さんのカメラD7000番台は、高崎君のD5000番台の上位機種。 ●レンズと望遠について 鳥撮影はいかに焦点距離を稼ぐかの戦い。ズームで500〜600mmの廉価なサードパーティー製品はありますが、それだって10万円台前半はします。秋山さんが思い切って買ったレンズは、200-500mmf5.6とのことで、こちらもニコン製品「NIKKORレンズ」の模様。ズーム全域f5.6という明るさ故に若干高価。やっぱり純正は良いのかなぁ……(遠い目)。 ちなみにDXフォーマットは、センサーサイズの大きいFXフォーマットより焦点距離を1.5倍稼げる特性があります。500mmと書いてあるレンズなら750mmになるのです。こういう点でも、鳥撮影する人はDX(APS-C)を選ぶメリットがあります。 そして高崎君のレンズは、BORGという望遠鏡ブランドから出ているレンズ。マニアック〜!絞り・オートフォーカス(AF)といった基本的機能すらなく、その代わり望遠鏡技術を取り入れた極上の写りと軽さを実現。独特なマニュアルフォーカス(MF)については本編を。あと5話で高崎君が買い足したレンズは小ささと、広角から望遠までカバーしていることから、NIKKORのDX専用高倍率ズーム18-300mmと想像します。のびるのびる! ●撮影について 鳥撮影の独特さが全編にわたって描かれていて、本当にマニアックだし、望遠のコツとか色々勉強になりました。初心者のステップアップとして「MFに挑戦するか」という点に1巻にして踏み込んでおり、秋山さんの向上心と好奇心が見てとれ、今後の成長が楽しみ。 鳥撮影の機材は珍しいものも多く、例えばコンパクトデジカメとフィールドスコープを組み合わせて、安価でそれなりの高画質を得る「デジスコ」というシステムもあり、次巻以降その辺にも触れないかな……とか、カメラの話題的にも今後、期待したいです。 以上、TAMRON150-600mmを持ってるけど一回しか使っていない、あうしぃでした。 NIKONラブ!
幼馴染女子から告白された女子が、恋心と共に告げられるのは「私を貴方の好きにして」という言葉だった。 思いもよらない同性の、幼馴染との恋愛という選択肢に戸惑う主人公。それに対して幼馴染は、「こんなことしてもいいんだよ」という具体的提示をして、主人公に想像させ、恋愛の実現可能性に誘導していく。 自分と恋愛することのメリットと、しないことの損失を選ばせようとする、見事な誘導テクニックで幼馴染は「自分との恋愛」を主人公の心に植え付ける。 しかしそれは、単なるテクニックではない。長年の恋心、いつも共にいながらずっと秘めてきた想いや欲望が、選択肢の中に重く込められつつ、時に我慢できないという風に行動に出る。どこまで計算で、どこまで衝動なのか……分かる様で分からない。 幼馴染の明るさと、内に秘めた重い恋情のギャップが……エモいとしか言いようがない!主人公には是非応えてやってくれよ、と言いたくなるが、まだ受け止め切れていない彼女に、幼馴染は1巻の最後でさらに仕掛ける。次は……当て馬!?(それあかん奴や、一歩間違えれば壊れる劇薬やでぇ〜)
『地球の放課後』吉富昭仁先生が描く「廃墟SF」が再び! 東京都杉並区で起こった超常災害。膨大な犠牲を出した地域は封鎖され、「24区」と呼ばれるように……。24区で弟を見失った高校生は、密かに24区に立ち入り、弟を探していたが、そこで同じ高校の女子を見かける、というお話。 崩壊と自然の浸食の激しい都市が細かく描かれ、そこで起こる超常現象と相まってちょっと重い世界観になっている。実際の地名が出てくるところもあり、もしかしたら杉並に土地勘のある方は、分かる箇所もあるのかなぁ……ちょっと崩壊が激しいけど。 学校で24区での事を問い質しても、はっきりしない女子。24区の彼女と学校の彼女は同一人物なのか……。さらに思考が現実に反映される24区では、自分でも気付かない本心、深層心理が試され、読み応えのあるストーリーに発展しそうな期待感がある。 割と命懸けの異界冒険と、不思議女子の謎解きの、続きが気になる!
魔獣の王と赤子と屍の勇者というサブタイトルどおり、魔獣王クレバテスが気まぐれに拾った人間の赤ん坊ルナを育てるために敵対する勇者アリシアを蘇生させ、一緒に旅をする、という物語。本当の子連れ狼だ。相容れない者同士が徒党を組むのはやっぱり面白いですね! 岩原作品らしくダークでタフな雰囲気と、メイン3人(?)のキャラクターの絶妙な力関係が魅力です。人間社会の常識のないクレバテスに振り回されてアリシアさんが毎回ひどい目に遭うのが泣けます。苦労人だ…。 1巻だとまだまだ3人が協力して…みたいなシーンは少なくて全体的にサバサバしてますが、みんなが仲良くなっていったらきっとウルウルきちゃうんだろうな…。 世界観も重厚で、今後は他の民族や国家間のイザコザも絡んできそうです。魔獣も他に3匹居るらしいですし。本格ファンタジーを期待したいです。 本の形態の話をすると、LINEマンガでは縦読みフルカラーなのもビックリしました。カラー版は電子書籍だけみたいですが、絵の具で塗られている岩原先生の彩色箇所がよく分かるのも面白いです。 一方で紙版はキラキラの箔押しカバーが超キレイなので、これは両方買うのが正解ですね!
百合姫本誌を買ってない人は、是非読んでみていただきたい読み切り短編集。2018年〜20年までの掲載作。物語の多様さに百合ジャンルの広がりが見て取れる一方、絵柄は「百合姫らしさ」を感じるものが多く、美しくて読みやすい一方、もっとバリエーションがあってもいいかな…と思うと、時々ちょっと異質な絵柄が登場したりして、全体として飽きが来ない。 —— 各作品の感想を、ツイッター漫画のタイトル風に+一言感想で。 ●君とゆく、(嶋水えけ先生) 己の空虚に絶望した少女がお嬢様に世界を教える百合/互いに足りないものを与え合い、支え合う関係性尊い。 ●スノウトーク(純玲先生) 失声の演劇部員が恋したお姉さんと発声練習する百合/声がよく通りそうな冬と、春の訪れによる変化が印象的。 ●渚にて。(tsuke先生) 海が好きな内気女子と唯一の友人が海に佇む百合/最後のシーンに向けて静かに穏やかに進む感じがたまらない。 ●蔓日々草(さかなや先生) 友人の結婚式のドレスを選びながら友人を手放す百合/愛とか恋とかじゃない関係性でもこんなに尊い。泣けるわぁ… ●わたしのこい(のちむゆ先生) 幼馴染の気を引きたくて市販薬で体調悪くなる百合/執着が昏くて重い、そして切ない。薬を悪用している感じが昏さを増す。 ●あの日の続きをしましょうか(もくはち先生) 私に恋する女子高生の情報に聞き覚えがある百合/十数年後に突きつけられる恋と間違い。どんな感情も間違いということはない。 ●ハイドアンドスイーツ(つつい先生) 恋に恋する女の子が現実の恋の怖さを知る百合/それに気づけたこと、教えてくれる存在の大切さ。最後ほっとした。 ●桜日和のへたれなワンコ(辻柚那先生) 姉が担任になったら親友が姉に惚れたかも百合/これは短編にするのが勿体無いかも。姉と妹、親友との過去が見たい。 ●絵の具の匂いがした(柏木ツキコ先生) 絵のモデルをするうち変な先輩に惹かれる百合/自分の無い人が、独特で強い意志を持つ人に惹かれる話は、先を読みたくなる。 ●お誕生日おめでとう。(さかさな先生) そっくりな親友が同じでいたいのに変わっていく百合/思春期の頃の親密さの、距離感の複雑さと切実さに心を揺さぶられる。 ●ないしょの向日葵(篠ヒロフミ先生) 恋人に真面目に進路を考えろと叱られる百合/好きな人の眼差しに触れて変わろうとする成長譚尊すぎる…真剣さは人それぞれ。 ●軽木さんと荒重さん(日野アラシ先生) 軽薄女子と想いが重い女子が恋愛話する百合/全く価値観の異なる者同士が互いにツッコミ合うトークがたまらなく笑える。
受験シーズン真っ只中に行われる校内コーラス大会の練習や準備に追われる様子を賑やかに描いた1冊。途中までピンとこなかったんですが、最後のセンター試験と言っていて、あ、これまさにいま(物語の中でいうと2019年夏)を生きている高校生の話なんだと気づきました。人によっては失敗できない大変な状況だったりするんですね。 そんな忙しい中でやらなければならないコーラス練習。本来ならば適当に済ませて大事な試験勉強の方に時間を使いがちな気もしますが…なにがクラスをひとつにしたのか、そのきっかけが「優秀な成績をおさめたクラスに与えられる学校オリジナルの手ぬぐい」というところが高校生らしくて可愛らしいのです。 また、あらすじにもあるようにクラス内にいくつも発生する「片思いの連鎖」も見どころ。ほんとどこまで続くのこれ!?という感じ。 いろんなものを乗り越えて大会の本番を迎えたクラスはどんなステージを見せてくれるのか。私は鳥肌が立ちました! 1冊完結でさほど長くない話ですが、みんないい子たちなので、これからいろんな辛いことたくさんあるかもだけど頑張って生きてね…と謎の目線で読んでしまった。
ウィリアム・ダンピアは博物学者であり、作家であり冒険家、そして海賊である。 彼は十七世紀に、40歳まで海賊として世界を冒険し、詳細な旅程や風物の記録を残す。彼の本は後の地誌学や『ロビンソン・クルーソー』『ガリバー旅行記』などの文学にも影響を与える。 本作で描かれる彼の面白さは、海賊として荒事にも参加し、海賊を仲間として信頼しながらも、知識層に属する航海士への尊敬と好意も持ち合わせる、ニュートラルさ。その冷静さと熱い知識欲の眼差しで、彼は航海中のあらゆる物事を詳細に記述していく。 彼の物事を知るためのアプローチの一つとして「食」への挑戦がある。 ちょっとグロくても、食えそうと思ったら、何でも捌いてみて食べる!動物も植物も、現代の私達には想像もつかない物が多く、「それ喰うんすか?」である。 食材のバリエーションを広げることが生死に直結する航海。美味くても食いづらくても栄養価が重視される事情と、ダンピアの知識欲が噛み合って、かなり興味深い未知の食材が見られる。 当時の世界情勢と海賊事情、冒険のリアルと食事情、地理学や民俗学の原点……見所満載の航海記。世界一周を最後まで追いたい!
時間跳躍や並行世界移動で世界や大切な人を守る、という作品は、例えば『魔法少女まどか☆マギカ』のように、使命の重さと失う切なさ故に尊い!と感じる作品が多いと思う。 この『スーパーノヴァはキスの前に』も、時間跳躍で世界の滅亡を阻止しようとするのだが、それにしても…… 地球、簡単に爆発し過ぎ! 未来人のトキ君は、過去にやって来て皆の憧れの先輩と付き合う。先輩は地球の存亡に関わる存在……彼女が不満だと、地球は爆発!なので、先輩の恋心を満足させようとするが、トキ君はシャイな奴。キス一つままならず、地球をいくつも爆発させてしまう……おいぃ……。 それでもトキ君、次第に頑張って積極的になるが、先輩のツボが、分かったり分からなかったり……トライ&エラーを繰り返す。当然その数だけ地球滅亡。 先輩の心は、なかなかに不可解。トキ君はそれに、否応なく振り回される事になる。地球滅亡の切迫感の中にありながら、どうしても「不可解女子」と「振り回される情けない男子」の恋の攻防に心を持っていかれる。 恋の成就が世界を救う物語は、例えば『魔法先生ネギま!』シリーズっぽい、「軽さ」と「巨大感情」の両立に向かっていく予感がする。 さあ、先輩の欲望はどこまで膨らむのか……そしてトキ君それに応えられるか?色んな意味でドキドキだ!
お化け屋敷って言われてるような洋館に引っ越してきた友達いない女子高生が呪いの人形に「オマエニ一生ツキマトッテ不幸ニシテヤル…」と取り憑かれて、「私も一生一緒にいることを誓います」って友達できたって喜んで、絡みが濃厚すぎて呪いの人形が逆に逃げ出そうとするホラーコメディ漫画めっちゃ面白いからみんなに読んでほしいよー! 呪いの人形、通称のんちゃんが愛されすぎてどんどん可愛くなっていく様子も見逃せない! ↓1話↓ https://viewer.heros-web.com/episode/10834108156740407901
恋人の紺を急に亡くした女子高生・純は、紺の妹・藍と再会する。純に憧れ、純を追いかけて同じ高校に入った藍は、純に恋心を告白する。紺への想いに囚われていた純だったが、次第に藍に心を開き、仲を深めるうちに、紺への呪縛が解けていく。しかし……。 ○○○○○ 主人公・純の心にあるのは、いつでも失った者への執着や、後悔である。かつての恋人への想い、そこから救ってくれた藍への後悔、決定的に失われた事柄への、遅かった気づき、どうしようもなさ。 純と藍の恋愛は熱を帯びてゆく……ように見えて、純の受身な姿勢は最初から最後まで、どこかもどかしい。しかし、そのもどかしさは、私が私自身に感じるもどかしさ……自分の狡さや愚かさを見るようで、どうしようもなく純に共感してしまうところもある。 それゆえ、最後に打ち込まれる「Forget Me Not」という楔をそのままに、愛情と贖罪を胸に、生き続けるという純の能動的な覚悟に、背筋が伸びる思いがする。そういう罪の生き方が、私に出来るだろうか。
何かとトラブルを引き寄せてしまう作者の実体験を綴ったエッセイ。子供時代から最近の出来事まで、いろんな"厄"をユーモアたっぷりに表現されています。厄日の話ばかりでなく、友人の話だったり、ちょっとした恋愛話(厄あり)も入ってきます。私のお気に入りは、整骨院のおじさんの話。この話、何回読んでも笑ってしまいます。行けるところまで行ってしまう作者も相当おかしいのがよく分かるエピソードでした。漫画家の友人、おぎぬまXさんの登場回はマンガ好き必見で、おぎぬまXさんがいかにして29年ぶりの赤塚賞に入選したのか、実際にどういう人物なのか、この漫画を通して知りました。そして、特別編として収録されている世田谷区役所編。Twitterで話題になり知ってる方も多いと思いますが、世田谷区役所を相手に、三軒茶屋にある「まんがの図書館ガリレオ」を巻き込んだ大騒動を漫画にしたものです。詳細は読んで頂くとして、「描く。今日の出来事マンガにする」と並々ならぬ決意をした時の山本さほさんに痺れます。文春オンラインで、まだまだ連載中の作品ですので、この先も息の長いシリーズになってくれたら嬉しいですね。
まず、カバー絵のミネバ・ザビに驚く。この人形の様な整った顔は……凛としたミネバから、活発なオードリー・バーンを引いたような雰囲気。彼女に何が……。 それにしても美しい絵柄に見覚えがある。作者は玉越博幸先生……『BOYS BE…』の作者さんだ!懐かしい!シナリオは福井晴敏先生で、これは間違い無く良いはず。 ▲▼ ▲▼ ▲▼ 主人公はリディ・マーセナス。ラプラスの箱を巡る争乱の中で「黒いユニコーン=バンシィ」のサイコフレームと共鳴した男。 彼はかつて恋したミネバが、連邦とジオンの均衡の中で身動きが取れない事、そしてライバルであり盟友・バナージの行方が分からない事を知らされる。 リディは国境警備の部隊から脱走、ミネバがいるメガラニカを目指し、ジオン共和国の国境を侵犯する……。 ▲▼ ▲▼ ▲▼ 全1巻の最後で見られるミネバの姿は、もう活発なオードリーではないけれど、凛とした生気のある姿に安心する。このミネバの美しさと、かなり精緻に描かれたモビルスーツの美麗さ……玉越先生のガンダムが見れて良かった! そしてUCでは情けない所も多かったが、真っ当な感性の持ち主だったリディの「最後の旅」と新たな道。彼は連邦とジオンの架け橋になれるのか……その未来も今後、どこかで見てみたいと思わされた。 この作品はUCと映画『機動戦士ガンダムNT』の間を繋ぐ作品とのこと。映画観ようかな……。
成績が悪すぎて知り合いが誰もいない高校に進学することになった柴倉雪。それでも普通の楽しい高校生活が待っていると思っていた彼女の目の前に現れたのは幼馴染の古枝三郎。成績が良いのになぜか雪と同じ学校に進学した三郎は極度の寒がりで、事あるごとに雪に接近してきて暖を取ろうとする。そんな三郎と彼を遠慮なく力で振り払う雪とのドタバタ学園ラブコメ。 表紙だけ見るとクールな雰囲気の作品なんだけど、実際には三郎は初手から教室に足湯を持ち込んだり雪から叩かれた場所の熱感で暖を取ったりするし、一方の雪も三郎を突き放すためならビンタも肘鉄もヘッドバットも辞さないという、シュールなセンスがハジケまくりのコメディ中心の作品。そう思ってよく見てみると主人公2人の名前から思いっきり狙ってるっぽい。 ・古枝三郎…"ふるえ(震え)だ さぶ(寒)ろう ・柴倉雪…"しばく(シバく)"ら ゆき(=冷たい) 両方ボケで両方ツッコミ、そんな2人の普通じゃない日常から目が離せない。 1巻まで読了
写真撮影にハマる瞬間は、大体みんな同じ様な感じではないだろうか。 ファインダーを覗き、シャッターを切ってから、画像をモニターで見る瞬間。さらに、PCの大きなモニターで見る瞬間の驚き。 「こんなに綺麗に撮れた!」という感動! それを味わうともうその人は、次は何を撮ろうかな……と日々、考える様になる。こうしてまた、一人の日曜カメラマンが誕生する。 ◉◉◉◉◉ 本作の主人公は、隣の部屋のお姉さんにモデルとして撮影に連れ出されたことから、カメラに興味を持つ。美しい場所や、お姉さんの撮った自分に感動した主人公は、カメラを借りて自分でも撮影してみるのだが、すぐに驚くことになる。 「何を撮っても素敵!」 その感動をさらに味わいたくて、少しずつ積極的になり、交友を広げ、前へ踏み出す主人公。自分は冴えないなぁ、と思っていた彼女の成長と、未知の世界への冒険の予感に胸躍る。主人公が女子高生なので、スナップ程度の撮影になるかと思いきや、いきなり星空撮影に挑戦していたりして、本作の本気度が伝わって来る。 勿論カメラも注目。主人公とお姉さんが使うのは、Fujifilmのミラーレス機、Xシリーズ(そこなの〜?)。友達になる二人組はRICOH&PENTAX(渋っ!)。やっと出てきたNikon機は、まさかの最新本格ミラーレスZマウント機。 さらには三脚もVelbonの実在の機種が出てきたりと、リアリティが凄い……次巻以降、どんなカメラや周辺機器が出てくるのか楽しみな、やっと現れた本格デジカメ漫画。 玄人も初心者も、カメラ沼漫画へようこそ!(ズブズブ...
雇ったメイドと雇い主の坊っちゃんとのやり取りを描いた作品。 基本 メイドが坊っちゃんをからかう ↓ 坊っちゃんがそれに素直に反応する ↓ メイドが照れる という流れ形式。 これが、見ていてニヤニヤする。 例えば、 「私のことが気になりますか?」とメイドが言えば 「なんでそれがわかった!」と坊っちゃん。 すかさず、 「こんな綺麗なメイド初めてみたから、お前のことが気になって気になって」 と畳み掛ける。 メイドもその無邪気な反応に思わず赤面する。 なんという、相思相愛。 思ったことを全て口にしてしまうのが、逆に恥ずかしいとか考えられない感じが、子供らしく可愛い。 意地悪したつもりでも、逆に素直に返されるとこっちが恥ずかしくなる感じがよくわかります。 いつまでも初々しい二人の関係に釘付けです。
おでこぱしー、いいですね……極度のコミュ障女子が初めて心を交わす相手は、記憶喪失の宇宙人女子。その方法は……おでこをくっつけて心を読む「おでこ〈でテレ〉パシー」。トキメクわぁ……。 人と交流できない主人公が、誰とでも打ち解ける明るい宇宙人と過ごすうちに、信頼と安心を得て、さらに交流の輪を広げていく物語。 とても優しい物語だが、主人公のコミュ障はかなり重症。なかなか他人への一歩が踏み出せない様子に、前半はかなりヤキモキさせられる。現実逃避で「宇宙人に逢いたい」なんて言うくらいなので……。 しかし後半、ある女子との困難な交流をきっかけに、主人公の「ロケットを飛ばす」夢への強い思いがはっきりすると、物語は急に輝きを増す。 ロケット造りの夢を共有する仲間たちの物語は、まだ始まったばかり。可愛くてキラキラした画面も、未来への期待感と百合っぽいトキメキを増す(そしてとても読みやすい!)。本格的な宇宙への夢と、おでこで繋がる二人の秘めたやり取りを楽しみに、続刊を待つ! ……主人公の精神的成長にも、少しだけ期待。
南国から褐色美少女スイが大人の女性を目指して日本にやってきた! スイに対して変態的なスキンシップを試みる姉トウマとしっかり者で常識人の妹ユキナと一緒に慣れない日本でのドタバタ生活がスタートします。マンガだ〜! トウマの少々行き過ぎた愛情表現にドン引きすることもありますが絵もキャラもかわいいから大体オッケーでしょう。背伸びをしてドジをやらかしがちなスイを中心とした3人の掛け合いは見ていて楽しいです。スイちゃんすぐ泣いちゃうんだよな…(※かわいい)。 読めばあなたもスイちゃんをかわいがりたくなること必至。ホント家に居てほしい。 モイ!(お別れの挨拶)
四辻中学校の1年C組には「しにもの係」という係が存在する。活動時間は放課後の4時44分から7時まで、"危険だから"2人1組の行動が原則、そしてよほどのことがない限り「しにもの」の数を"減らしてはいけない"。これは入学早々に「しにもの係」に任命された柴生賢征と同じ係の不二見空子、そして四辻中学校に巣食う数多の「しにもの」たちの物語。 タイトルやあらすじからも察せる通りホラー要素満載の作品。昔あったアニメ『学校の怪談』にも近いような雰囲気なんだけど、この作品は「しにもの」に生徒が襲われて終わるような物語でもなければ、逆に「しにもの」を退治していく物語でもない。あくまで柴生たちは「しにもの係」で、学校にいる「しにもの」たちを世話したり管理したりする役割。テーマとしてはオカルト寄りだけど、いろんな切り口の解釈を盛り込むことにより単純な怖さだけじゃない、様々な角度の面白さがある作品。 …ただし、「しにもの」を世話する係があるということは、世話をしなければ問題のある「しにもの」もいるということ。それが何を意味するのかは、読んでみてのお楽しみ…。 1巻まで読了。
そういえばコスプレで、ライダーや戦隊もののスーツを着ている人って、あんまり見た事ないなぁ、というのが最初の感想でした。そういう顔の見えないコスプレを「ガワコス」と言うのを、この作品で初めて知りました。 とある特撮ヒーローのコスプレをしたい女子高生が、知り合いの美大生に制作の手伝いをお願いしに行くお話。美大生のお姉さんは全く乗り気でない割には「ガワコス」という言葉を知っていたり、制作にとても詳しかったり……。 いざ制作に入れば真剣で、めんどくせぇと言いつつ極力手間を省きながらも、正確に手際良く作る過程が為になるし、女子高生の少ない予算でそれらしく作る、お姉さんの創意工夫に感心してしまう。材料の解説も詳しく、分かりやすい。 物作りの面白さがたっぷり詰まっている一方、お姉さんが当初、助力を渋っていた理由や、周囲から見て愛らしい容姿の女子高生が何故、顔を隠す「ガワコス」をするのか、といった内面描写も面白い。さらにお姉さんにとても懐いている女子高生と、色々ツッコミつつ可愛がっているお姉さん……ほのか〜な百合の予感! あと特撮ヒーローの愛知県推しにも注目!