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小骨トモ、2冊目の単行本は、初恋を描いた4つの物語。「リカ先輩の夢をみる」、「それでも天使のままで」、「あの嫌いなバンドはネットのおもちゃ」、そして単行本先行収録の新作「先生のクモのイト」の4作を収録。「小骨さんの作品を読むと蚊にさされたとこを血が滲むまで掻きむしった時に襲われる背徳的爽快感に似た読後感に襲われる。つまり好き。すきすきだいすき超超超超超超超すき」コナリミサト(漫画家『凪のお暇』『珈琲いかがでしょう』)「小骨さんの描く箱庭にずっと居たい。じっとりとした湿度は、心の涙のよう。焦燥感はヒリヒリとして身を焦がすのに、このまま焼かれてしまいたいと思った。人間の醜さをこんなに美しく暴けるひとがいるのか。目の離せない危うさに虜になるしかない。触れたら壊れてしまいそう。でも抱きしめたくなる、そんな漫画と出会えて良かった」Daoko(アーティスト 8th Album『Slash-&-Burn』)
小骨トモさんの2冊目となる短編集です。
それぞれ発表時に話題になった「リカ先輩の夢をみる」、「それでも天使のままで」、「あの嫌いなバンドはネットのおもちゃ」の短編3作に加え、今回の単行本で先行収録となる「先生のクモのイト」の4篇が収められています。
「先生のクモのイト」は、「あの嫌いなバンドはネットのおもちゃ」に連なる作品となっています。
全体的な読み味としては、1作目の『神様お願い』と同様です。表紙絵のようにベースの絵柄は丸っこくてかわいらしいのに対して、剥き出しの″人間″が顕にされる中身の鋭利さたるや。
最初の「リカ先輩の夢を見る」からして、精神的に余裕があるときでないと食らいすぎるので読む時分とコンディションは選びたい作品です。果てしなく深い共感と、そこに隣接する絶望的な感情。読みながら魂が汗をかき血涙を零します。
1篇だけでも抉られるのに、1冊を通読したときの痛痒感といったら。
心の瘡蓋をガシガシと剥ぎ取られ、傷口をグリグリと穿られるような、そしてそれが痛みだけではなく何か他の感情をも催してくるような。
同じ経験をした訳ではないのに、どこか記憶の奥底にある罪悪感を喚起され撫ぜられるような部分もあります。
鋭敏なセンスが昏い輝きをもって溢れている短編集で、ダウナーな気分に浸りたい方やそうした作品が好きな方にお薦めです。