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<「水木しげる漫画大全集」FINAL SEASON!>「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」といった代表作はもちろん、幻の貸本や新聞掲載の1コマ漫画まで、あらゆる水木漫画をコンプリート。未収録原稿や、カラーイラストなども余すことなく収録した唯一無二の完全版をお届けします。京極夏彦責任監修『水木しげる漫画大全集』第3期全35巻刊行開始!! 水木しげるが全身全霊を込めた力作、貸本版悪魔くんがデジタルリマスターで蘇る。カラーページの完全再現はもちろん、超希少な原稿を初めて使用し、さらに水木の手による加筆修正も反映された、かつてない1冊。日本の救世主、悪魔くんの全てはここから始まった!! ★解説「ナマケモノになりました」諸星大二郎
水木しげるの最高傑作は何かと問われた時に私は貸本版の悪魔くんであると断言したい。悪魔くんの千年王国以後のバージョンは凡庸な勧善懲悪に成り下がっていて物語の奥深さがない。貸本版の後に描かれた松下一郎版の千年王国は水木以外の線が入っており、さらに悪魔くんによる革命が達成されたかの様に物語が終わってしまう。この終わり方ではまるで、過剰な左翼思想、革命、70年代の学生運動を肯定してしまっている。
しかし、貸本版の悪魔くんは結局最後に殺されてしまうという終わり方が、アリストテレス的に言う所の、悪は過剰に宿るというテーマを物語で提示していることとなり、人々が受容する物語としてはこちらが正しい。さらに貸本版の悪魔くんの重要な所は世界を救うため悪魔を召喚したら、その悪魔はなんとただの口のうまい金に汚い凡庸な人間が召喚されるという所。そして水木しげる一人で描かれた描き込まれすぎていない、美しいバランス感覚の線によって物語に流れる深く緩やかな線で世界観を表現している。