「ごみ」を考えるマンガ
趣味?でゴミ拾いをする男。彼は清掃事務所の担当者に、ビンや缶の状態によってどのように分別ルールが決まっているのか尋ねる。わからないことはとにかくなんでも聞く。担当者は何でも答えてくれる。家に帰って想像上の妻に報告し、呆れられる。 地域によってルールは違うけどちょっと勉強になるなと思う一方、想像上の妻が言うようにそんなことはいちいち覚えてられないのが実際のところですね。
・・・・・・・・・・・・・・・・ ごみひろいをしている。 想像上の妻はいう。 「またおかしなことをはじめたね」 私は答えた。 「うん、でもおもしろいんだ」 ・・・・・・・・・・・・・・・・ <ごみひろい>を描く連作、第1話24ページ。
「町田洋さんが新作マンガを描かれている」
その事実だけで世界の彩度が上がるような、祝福を覚えるような心持ちになります。
Kindle限定で突如発売された、この新作『ごみをひろう』は「ごみひろいを描く連作シリーズ」ということだそうです。
1P目からいきなり想像上の妻(なぜか星の見えるソファの上で歯ブラシを持っている)と会話を始める辺りの幻想感がとても町田洋さんらしいのですが、読み進めると思った以上に実務的な内容でした。
恐らく、皆さんも疑問に感じたことがあるのではないかと思います。汚れやゴミが付いてしまっていたり、飲み残しがあったりする缶やビンやペットボトルは、どこまでを資源ゴミとして出してどこからを燃えないゴミとすればいいのか。ふせん、シールの台紙、ねぎのテープはそれぞれ何ゴミに分別すべきなのか。
想像上の妻のように気にしない人はまったく気にしないであろうもの。しかし、気になる人はとことん気になるであろう事柄。
自治体によっても違いがあるのでこれが絶対という訳ではないですが、一度調べて子供とこうした境界線上にあるものをクイズ形式で検討し合ってみたら、良い学びの機会になりそうだなと思いました。
人が活動する場所では必ずゴミは生じ、美しい景色は何もせずには保てず誰かがごみを拾ったり掃除をしたりして綺麗になっている。それは当たり前にやられていても決して当たり前のことでなく、価値ある尊い営為であるということを静かに語りかけていってくれます。こうした人によってはまったく気にも留めない世界の片隅に向けられる眼差し、そこから情緒豊かに掬い語る様は、町田洋さんの素敵なところです。