得体の知れないクトゥルー的恐怖譚
単刊完結という軽い理由で読んでみたら、思ったよりも重い話だった!!! ジャンルで言うと一応ホラーなのかな? 打ち切り食らった漫画家の搬入機材(原文ママ、はんにゅうきざい、と読)は 山奥にある実家に都落ちするも居場所がなく、部屋が弟の子供に占領さ れるばかりか幼い頃のオモチャを破壊されたり、客間に寝かされたりと雑な扱い を受ける心すり減る序盤、 このへんの共感性羞恥ヤバかった。 のですが、ある小学生の少女と出会います。 なんでも、自分が「千九人童子」なる怨霊の生贄にされてしまうと 恐れているようで・・。 血塗られた故郷の歴史、消えない過去の罪、メタフィクション、地獄のような人間関係のしんどさの果てに何が待ち構えているのかは読んでのお楽しみってことで(遠い目) ホラーだけじゃなく羽生生先生特有のすっとぼけたギャグが多少挟まれたりもするので、ホラー系苦手だよって人でも抵抗なく読める......かもしれない。
伝奇ホラーサスペンスから一気にメタフィクションに持っていかれる壮絶な漫画。機材が千九人童子に取り込まれるあたりもメタフィクションのメタファー(?)っぽい気がする。影を描く筆致がすごい。