タイトルそのまんまのSF。
冒頭のジョージア・ガイドストーンの内容が「経済学者が考えました」みたいな、合理性はあるけど人間性のない内容でリアリティがあって良い。
イーロンとかいう大富豪や、日本のお茶の間で人気の経済学者とかがこの考えに共鳴しているのがまたそれらしい。
デフォルメがかわいい作画のおかげで読みやすくなっているけれど、内容的にはダーウィン事変ぐらいゴリゴリに生命や倫理を攻めていて非常にハードで面白い。
客観的にはそうだし何も間違いではないが、この書き方だとロボットが悪者かのような印象を受ける。
実際のところ、本当に悪いのは他人の命を測る価値基準を勝手に決め、人々の合意を得ずにロボットを使って殺し始めたヤツだ。こういう理論を唱えるだけでなく実行に移すヤツは、傲慢にも自分は削除される側にはならないと思っている。
……というか。
もし黒幕が、理想の世界のために命を捧げる覚悟のキマッてる人物だったら一番怖い。
人のことはこの基準で殺すくせに自分には適応しない卑怯者であればその矛盾を突ける。でももし黒幕が、自分の理想を実現した結果自分が削除されるのも厭わない非人間的な論理オバケだったら…。
人間をトリミングすることで地球の健康状態を良好に保つ。介護ロボ・アレテーたちが本当に介護しているのは老いた人間ではなく世界なのだろう。
イーロンがどんなことをしてくれるのか楽しみだ。
(加筆:2024/01/20)