高野雀先生がXで紹介されていたので何気なく読んでみた。あっという間に引き込まれて、読み終えた後も余韻から抜け出せない。

主人公の男子高校生・潤平が、フリマアプリで幼い男の子の写真を購入する場面から物語がはじまる。
小児性愛者?何か事件が起こる?と勘繰ってしまうけれど、そういうわけではない。
見ず知らずの少年(今は大人で潤平よりも年上だが)を眺めながら、自分の過去・現在・未来に思いを巡らす潤平。
幸せな子ども時代の記憶と、鬱屈とした今。自分もいつか路頭に迷い、幼い頃の写真を売って生活するのだろうか…。

幼い頃の写真を売る男と、幼い頃に思いを馳せる少年の今がふとしたきっかけで重なり、少しずつ物語の先が見えてくる。
ずっしりと重い余韻が残る作品ではあるけれど、希望の物語でもある。

前を向くきっかけはどこに転がっているかわからない。後ろばかり見ていたから出会えるものもある。
何気なく読み始めてしまったけど、腰を据えてじっくり読んでほしい作品。

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遠い日の陽
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