遺作
前作「現金を燃やす会」はバラエティに富んだ短編集だったので「かぞく」というシンプルなテーマにギャップを感じました。とはいえ幸せな家族は一つもないのが土田世紀らしいです。個人的には0話に泣きそうになりました。テーマもそうだけど絵もとにかくシンプルなので、もしかしてアシスタント無しで描いたのかな?と思いました。絵のタッチが荒れてる話もあるんですけど、父親の借金が原因で夜逃げした中学生のマコトが主人公の8・9話になると急に全盛期の頃のようにギラギラするんですよね。ここで未完になってしまったことが本当に悔やまれます。でも映像化をきっかけに重版して単行本を手にすることが出来て嬉しいです。土田世紀は読み継がれていくべき漫画家だと改めて思いました。
土田世紀の遺作で、家族をテーマにしたショート短編集。
特に心動かされるのは2話のドライブする親子の話と、0話の「父ちゃんの関越道」の2編。主人公は子供視点ということもあり、言葉数は少なく、説明らしい説明もない。にも関わらず、そこに描かれているものすべてが物語っていて、そこには描かれてない部分にも、また感動してしまう…
試し読みで 0話「父ちゃんの関越道」は全部読めるのでぜひ読んでみてほしい。