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名無し
1年以上前
タイトル通り養護施設の子供達が物語の展開と恐怖の中心となったサイコホラーおよびグロテスクの描写が満載の漫画です。 しかし、「解体」をしている作中の子供達は劣悪な家庭環境の出身であり、他で生きる場所を無くし、それでも生き延びるために施設にてそうしなくてはならなかったからという、まだ物事の価値観が出来上がっていない内に歪んでしまった事情を抱えています。 ヒロイン・桜子は子供達のトップということで、もっとも狂気的なキャラクターとして登場しましたが、彼女の過去が明かされていくと同時に、物悲しさを感じ取れるようになります。 その一方、まともに見えた主人公の透の本性が「小さい生物の命を奪うのが当たり前になっている人(子供)の行く先は…」ってのを最も恐ろしく体現した生まれつきのサイコパスで、彼が物語の全ての元凶になっていたという、サスペンスに相応しいミスリードの描写が取り込まれています。 黒幕の京条は復讐という名目がありますが、やっぱり考えている内容は恐ろしい…しかし彼もまた、子供の時の失意にとらわれ続けた人物でした。 「チルドレン」って題名ですが、ほとんどの子の場合は大人達に振り回された被害者って見方になっていきます。 もう一人の主人公兼キーマン(裏ヒロイン?)であるふたなりの女装男子・倫子とその親友・椎瑠が生き残ってホッとしました。 ただ、最後の最後に生死不明みたいな扱いになっていた桜子が出て、「どういうこと…!?」って思ってしまうよう、こういった余韻を少し残していくベタな結末は複雑に思ってします。

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名無し
1年以上前
タイトル通り養護施設の子供達が物語の展開と恐怖の中心となったサイコホラーおよびグロテスクの描写が満載の漫画です。 しかし、「解体」をしている作中の子供達は劣悪な家庭環境の出身であり、他で生きる場所を無くし、それでも生き延びるために施設にてそうしなくてはならなかったからという、まだ物事の価値観が出来上がっていない内に歪んでしまった事情を抱えています。 ヒロイン・桜子は子供達のトップということで、もっとも狂気的なキャラクターとして登場しましたが、彼女の過去が明かされていくと同時に、物悲しさを感じ取れるようになります。 その一方、まともに見えた主人公の透の本性が「小さい生物の命を奪うのが当たり前になっている人(子供)の行く先は…」ってのを最も恐ろしく体現した生まれつきのサイコパスで、彼が物語の全ての元凶になっていたという、サスペンスに相応しいミスリードの描写が取り込まれています。 黒幕の京条は復讐という名目がありますが、やっぱり考えている内容は恐ろしい…しかし彼もまた、子供の時の失意にとらわれ続けた人物でした。 「チルドレン」って題名ですが、ほとんどの子の場合は大人達に振り回された被害者って見方になっていきます。 もう一人の主人公兼キーマン(裏ヒロイン?)であるふたなりの女装男子・倫子とその親友・椎瑠が生き残ってホッとしました。 ただ、最後の最後に生死不明みたいな扱いになっていた桜子が出て、「どういうこと…!?」って思ってしまうよう、こういった余韻を少し残していくベタな結末は複雑に思ってします。
この世界の片隅に

漫画と映画を久しぶりに見返した!

この世界の片隅に
かしこ
かしこ

2025年のお正月にNHK広島放送で映画「この世界の片隅に」が放送されたのは、今年で原爆投下から80年が経つからだそうです。この機会に私も久しぶりに漫画と映画をどちらも見返してみました。 やはり漫画と映画の一番の違いはリンさんの描き方ですよね。漫画では夫である周作さんとリンさんの関係について触れられていますが、映画ではありません。とくに時限爆弾によって晴美さんと右手を失ったすずさんが初めて周作さんと再会した時に、漫画ではリンさんの安否を気にしますが、映画ではそれがないので、いきなり「広島に帰りたい」という言葉を言い出したような印象になっていました。映画は子供のまま縁もゆかりもない土地にお嫁に来たすずさんが大人になる話に重点を置いているような気がします。それに比べると戦時下無月経症なので子供が出来ないとはっきり描いてある漫画はもっとリアルな女性の話ですよね。だから漫画の方が幼なじみの海兵さんと2人きりにさせた周作さんに対して、あんなに腹を立てたすずさんの気持ちがすんなり理解することが出来ました。個人的には男性達に対してだけではなく、当時の価値観で大事とされていた後継ぎを残せない自分に対しての悔しさもあるのかもしれないと思いました。けれどもあえて女性のリアルな部分を描きすぎない選択をしたのは、原作である漫画を十分に理解してるからこそなのは映画を見れば明らかです。 久しぶりに漫画と映画を見返してどちらも戦争が普通の人の生活も脅かすことを伝えているのはもちろん、すべてを一瞬で無いものにしてしまう核兵器の恐ろしさは動きのある映画だから強く感じた喪失がありました。そして漫画には「間違っていたら教えて下さい 今のうちに」と巻末に記載されていることに初めて気づきました。戦争を知らない私達が80年前の出来事を想像するのは難しいですが、だからこそ「この世界の片隅に」という物語があります。どんなに素晴らしい漫画でもより多くの人に長く読み続けてもらうのは大変なので映像化ほどの後押しはないです。これからも漫画と映画どちらも折に触れて見返したいと思います。

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