ネタバレ

吉祥寺に『Shop33』ってクラブカルチャー専門の服屋が昔あったんです。
自分もクラブ遊びを覚えたての時分はよく通ってTシャツやらテクノのCDやら買ってました。
(現在は『next33』というオンラインショップを運営しています)
http://next33.com/

本作はその頃…イギリスで『セカンド・サマー・オブ・ラブ』と、日本人なら多分皆大好きドイツの二人組テクノユニットHARDFLOORの楽曲を発端とした『アシッド・リバイバル』が勃興し、

クラバーがエビアンホルダーを首からぶら下げて踊ってた時期(理由は当時流行ってたMDMAを摂取すると薬効で無限に踊れてしまう結果、水分補給を怠って死ぬのと酒が飲めなくなるため。余談ですが、日本に形骸化して伝わって来たのを当時『電気グルーヴのオールナイトニッポン』放送中に石野卓球氏が皮肉ってたのを覚えてます)に描かれた作品ですが、その要素は主人公のメガの服装(TARとか懐かしいですね)と物語後半に出て来る『テクノ教』の施設にサウンドシステムが置いてある程度です。

衛藤先生の諸作品には最初期やドラクエ4コマ等を除き基本『ジュブナイル(+ナンセンスギャグ)』と『音楽(特にクラブ・ミュージック)』要素は不可分な物となっており(あと、隠し味としてダダイスムとポスト構造主義も)、本作と『がじぇっと(当時、レディオヘッドの“KID A”をヘビロテされてたみたいです)』はどちらかと云えば音楽に寄った作品となっています。

閑話休題。

物語の後半でメガがテクノ教で転職し桃儀に「駅弁屋さんみたい」と揶揄された『呪文DJセット・ビギナー用』。当時は「小学生に12.5kg(DJ用ターンテーブルの定番Technics SL-1200mk3の重量)の物を腰だめで運ばせるなんて」とか思いつつ、遺跡から拾ったレコードをスクラッチして攻撃手段となるアイデアは当時読んでてブチ上がった記憶があります。

その『呪文』スクラッチネタとして頻出する”Ah yeah”はRUN-DMC『Here we go』


が元ネタで、
Beside『Change The Beat』

と並ぶ定番ネタです。

この辺り、衛藤先生の当時の音楽的興味がテクノからヒップホップに移行した事が窺えます。

ところで近年、『ポータリズム』というムーブメントがあるのはご存知でしょうか?

発端は、海外のターンテーブリストが今は無き日本の音響機器メーカーVestaxのポータブルレコードプレーヤー『handy trax』に、

Vestax/スピーカー付きポータブルレコードプレーヤー/handy trax USB (ホワイト)のご紹介です。音楽機材・レコードのことならOTAIRECORDでどうぞ。

『フリスクフェーダー』と呼ばれる小型のクロスフェーダーを取り付けどこでもスクラッチが出来るようにしたのがきっかけです。

ポータブルフェーダーの起源。ポータブリスト達の物語はここから始まりました。ポータブルフェーダーの元祖「Frisk Fader」のニューモデル!ポータブルターンテーブルと組合せたり、iPhone、iPadなどのスマホとDJアプリを使って気軽にどこでも本格的スクラッチプレイが楽しめます。

以降、カスタマイズ等のノウハウが蓄積され、Numarkから『PT01 Scratch』

Portable Turntable with DJ Scratch Switch

という、スクラッチに特化したポータブルレコードプレーヤーが発売されて以降その動きは加速度を増し、色んなメーカーからスクラッチ特化の製品が発売されるようになりました。
(自分はReloop SPINを持ってます)

究極のポータブル・ターンテーブル PORTABLE TURNTABLE SYSTEM SPINは、充電池でも動作可能なスピーカー内蔵のポータブル・ターンテーブルです。どこでもお好きな場所で、箱から出してすぐにアナログレコードを楽しめます。また、45mmクロスフェーダーやBluetoothオーデ...

そして、DJの世界大会DMCに於いても『ポータブリスト』部門が設立するに至ります。
(一回エントリーしようかな?)

然るに、本作は『ポータブリスト』の登場を無意識的に予見していた作品であるともいえるでしょう。

あと、メガと対象的な男一代もゴツめのアクセントがあるいいキャラですね。まさか神性だったとは思いませんでしたが…。

ともあれ、衛藤先生並びにスクウェア・エニックス様におかれましては地方都市で起こるターンテーブリズムとジュブナイルを程良く織り交ぜた名作『ムジナトラックス』の電書化をお願いしたい次第です。
マジで。

読みたい

上述の経緯から、自分が持ってる単行本のカバー下はターンテーブリストのサイン帳となってます。

まずは一枚目。
左︰A-Trak
右︰DJ SWAMP

上述の経緯から、自分が持ってる単行本のカバー下はターンテーブリストのサイン帳となってます。
...
テクノ教の司教アープが、メガに授けた『れこーど』はDJ QBertが変名で制作した『Battl...
サイン3

上︰Roc Raida(R.I.P.)
右︰Yogaflog
下︰DJ Q...
サイン2

DJ CRAZE
上述の経緯から、自分が持ってる単行本のカバー下はターンテーブリストのサイン帳となってます。
...
本棚に追加
本棚から外す
読みたい
積読
読んでる
読んだ
フォローする
メモを登録
メモ(非公開)
保存する
お気に入り度を登録
また読みたい
魔法陣グルグル

魔法陣グルグル

勇者マニアの父に育てられた少年ニケ(勇者:レベル1HP10MP0)と、魔法オババに育てられたミグミグ族の少女ククリ(魔法使い:レベル1HP6MP8)。そんな2人が出会ったとき、摩訶不思議な恋の魔法が発動し、壮大な冒険物語の幕が上がるのだった!お約束キャラの『キタキタおやじ』に『さっぱり妖精』、某国民的ゲームを思わせるツッコミウィンドウなど、思わず吹き出すネタが散りばめられたRPG風ギャグファンタジー。

魔法陣グルグルスペシャルセレクション

魔法陣グルグルスペシャルセレクション

勇者マニアの父に育てられた少年ニケ(勇者:レベル1HP10MP0)と、魔法オババに育てられたミグミグ族の少女ククリ(魔法使い:レベル1HP6MP8)。そんな2人が出会ったとき、摩訶不思議な恋の魔法が発動し、壮大な冒険物語の幕が上がるのだった!お約束キャラの『キタキタおやじ』に『さっぱり妖精』、某国民的ゲームを思わせるツッコミウィンドウなど、思わず吹き出すネタが散りばめられたRPG風ギャグファンタジー。「魔法陣グルグル2」1巻発売記念、第1章、第5章、第20章、第28章収録のスペシャルセレクション!!

魔法陣グルグル2

魔法陣グルグル2

かつて世界征服を企んだ魔王軍に、敢然と立ち向かったものたちがいた…。4人の精霊王の加護を受けた光の勇者ニケと、闇魔法“グルグル”を使う魔法使いククリ。魔王ギリを倒し、世界に平和を取り戻した二人だったが、また、新たな魔王が世界を脅かそうとしていた…。今こそ、再び旅立つ時!!おかえりニケ&ククリ!みんな待ってた!ギャグファンタジーコミックの金字塔「魔法陣グルグル」の正統派続編!!

魔法陣グルグル外伝 舞勇伝キタキタ

魔法陣グルグル外伝 舞勇伝キタキタ

かつて世界征服を企んだ魔王軍に、敢然と立ち向かったものたちがいた…。4人の精霊王の加護を受けた光の勇者と、闇魔法“グルグル”を使う魔法使い。戦いの果てに魔王を打ち滅ぼした二人の傍らには、つねにある男がいた…。魔王ギリさえもが嫌がったという伝説の踊り、キタキタ踊りがここに復活!ギャグファンタジーコミックの金字塔「魔法陣グルグル」スピンオフ作品登場!!

がじぇっと

がじぇっと

懐かしくって新しい!衛藤ヒロユキが贈る、ボクらのラジカル青春グラフィティー。機械の扱いの得意な中学生・鳥賀周一(とりが・しゅういち)は、タレちゃんと呼ばれる可愛い同級生・多来真奈美(たらい・まなみ)に恋をしてしまう。そんなある日、帰り道でタレちゃんらしき声を聞いた周一は、宇宙人のような謎の物体と遭遇して……!?

クラブカルチャーへの傾倒と早過ぎたポータブリズムにコメントする
※ご自身のコメントに返信しようとしていますが、よろしいですか?最近、自作自演行為に関する報告が増えておりますため、訂正や補足コメントを除き、そのような行為はお控えいただくようお願いしております。
※コミュニティ運営およびシステム負荷の制限のため、1日の投稿数を制限しております。ご理解とご協力をお願いいたします。また、複数の環境からの制限以上の投稿も禁止しており、確認次第ブロック対応を行いますので、ご了承ください。