きれいなお姫様の表紙ビジュアルに、油断してはいけないにコメントする
血を這う亡国の王女

屍山血河の女の闘い #1巻応援

血を這う亡国の王女 我妻幸
兎来栄寿
兎来栄寿

表紙や巻頭カラーの目を奪われるような美麗さ。 美しいだけではなく迫力溢れる緻密な絵によって紡がれる、厳酷で慈悲のない物語。 1話目を読んだ瞬間、これは凄まじい新作が登場したなと感じました。 中世の西洋的世界観の架空の諸国を舞台に、亡国の姫に襲い掛かる過酷な運命。国も家族も奪われて姫から家畜同然の存在へと堕とされた主人公が、娼婦として成り上がりある「作戦」を実現するための闘いの様子が描かれて行きます。 実際に歴史上で多々起こって来た戦勝国による略奪や陵辱行為。蓋されがちな側面を、ここまで良い意味で悪辣かつ美麗に描く作品は寡少です。 読んでいて息が詰まるような苦しさがある一方で、暗黒の中から生まれる背徳的なカタルシスも存在します。残酷な運命や世界と対峙する、鬼気迫る表情がそれをアクセラレートしており秀逸で必見です。 エログロが苦手な方にはお薦めしませんが、『狼の口 ヴォルフスムント』や『ブラッドハーレーの馬車』的な作品を好む方には非常にうってつけの物語です。 我妻幸さん、四季賞の「360°の思い出」の後はマンガよりイラストの方面でプロとして活躍されていたようですが、とてつもない画力である上に前作からの振り幅を考えると引き出しも多そうで、さまざまな物を生み出してくださりそうな期待が募ります。

みんな私のこと「かわいい」って言ってくれるけど本命にはしてくれないね?

地味な女性が主人公で、“白雪姫”がいわゆるザマァ役かと思いきや

みんな私のこと「かわいい」って言ってくれるけど本命にはしてくれないね?
ゆゆゆ
ゆゆゆ

あざとい、ぶりっ子、若さと顔だけ、マウントとりがち、彼女が気に入った人以外の敵。 彼女を批判する言葉は他にもいくらでも出せる気がする。 それでもターゲットとした男性からは恐ろしく好かれる、ある意味要領が良い女性。 「白雪姫」こと、白雪愛莉が主人公である。 『みんな私のこと「かわいい」って言ってくれるけど本命にはしてくれないね?』というタイトルは、悪役側のセリフではない。 イケメン&ハイスペック男性に選ばれしオンナになりたい愛莉。 加えて、羨望や褒め言葉などはすべて自分に集めたいという、こじれた性格をしている。 なので、イケメン&ハイスペックを求めて、男を取っ替え引っ替え。 アクセサリーのように、取っ替え引っ替え。 より貢いでくれる男を求めて取っ替え引っ替え。 しかし、選ぶ男は誰も彼もダメ男。 そこはだめだろうという要素を、ぶち抜く勢いで踏み抜いたダメ男。 あまりの男を見る目のなさに憐れみが出てくるけども、次の男への切り替えも非常にあっさりしていて、憐れむ隙を与えない。 そして変わらず、イケメンが現れたら値踏みしつつ、男受けする性格を演じ、落とそうと画策する。 いやあ、非常に良い性格をした、したたかな姫である。若さが保たれるうちは、王国も安泰ですね。 ちなみに、地味女性のほうを主人公にしてもお話ができそうなほど、ステキなキャラクター設定。 日本酒&せんべろ&御曹司をテーマに、一つ読んでみたい。

怖いトモダチ

承認欲求と自己顕示欲と

怖いトモダチ
六文銭
六文銭

とあるエッセイストが運営しているオンラインサロンがあり、その合言葉が、「みんなで幸せになろう」 この時点で、香ばしさの役満なんだけど、本作はそんなエッセイストを中心に、彼女と過去現在で付き合いがあった人間たちの悲喜こもごもを描いた作品。 そのエッセイストも、予想通りに、盗作やら、略奪愛やら、学生時代にいじめやらで、叩けばホコリが出るような人物で、そうした過去の因縁が、最後に繋がっていく様は、読んでいで因果応報的なスカッと感がある。 ただ、こうした炎上するような人物の多くが、ただでは転ばないように、彼女も、また再起をかけて手を変え品を変え復活を狙うところまで描いているの個人的に良かった。 なんというか、こういう輩って、優しく繊細な感情的問題扱っているようで、神経図太かったりするので。 人間の欲のなかでも、自己顕示欲なり承認欲求ってのは底なしなんだなとつくづく思う。 あと、そのエッセイストの過去の素性がバレた後、幻滅し非難したにも関わらず、数ヶ月経って、 やっぱりいなくなってしまうと寂しい とか思ってしまっている、元サロンメンバーの発言が妙に残った。 結局、どっちも自分にとって都合の良いように利用していただけなんだなと思うと、なんともさもしい気持ちになる。 人間関係が一番怖いってことですかね。

どちらかの家庭が崩壊する漫画

主婦・ユイのほうの義母がリアル

どちらかの家庭が崩壊する漫画
ゆゆゆ
ゆゆゆ

孫に会いたい気持ちと、良いことをしている自分に酔うのを並立させちゃうかんじがリアル。 突然理由をつけて行くよ連絡に始まり、好みでない服を渡されるとか、子どもの面倒をみるといって古い知識で対応されるとか。 さらに、ユイの夫はダメ男過ぎて、読んでいて心がしんでしまう。なんでこいつと結婚した。 とはいえ、対照となる毒山家がイクメンお父さんとなっているのは、働いてないからだろうなと思った。 二人でみているから余裕がある。 お金はないけど。 赤ちゃんは大人二人で1から10まで面倒をみないと、とても大変。 そして毒山家義母は、嫁に好みでない、サイズも不確かな服じゃなく現金を手渡してくれる。 よくわかっている。 現金。 商品券じゃなく、現金。 取っておけば、子どもが成長したときの資金になり、使えば今助かる。 封筒にすら入ってないのが生々しいけど、そんなのは些末に感じるほど、いらない服や夫婦で決めたかったアレヤコレヤの押し付け(知人談)と比べると、現金は嬉しい。 作中の義母ふたりは、自分が当時必要だったものを与えているだけかもしれない。 それなのに差が生まれるのは、結婚相手の親は選ばなくても身内になってしまう他人、という距離感を忘れているからと思える。 夫婦の関係も危ういのに、義母が更に危うくしてくる。 どちらも崩壊しそうな、危ういところに立っている御夫婦のお話。

ちをはうぼうこくのおうじょ
【デジタル版限定特典付き】血を這う亡国の王女 1巻
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