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1969年の創刊から1970年にかけて少年チャンピオンで連載された作品。
同時期に同じ秋田書店のプレイコミック(青年向け)に空気の底シリーズをやってました(手塚先生がです)。
ちなみに単行本の収録順は、連載順とは異なっていて、「二つのドラマ」(私も気に入っている話です)が第1話だったようです。「二つのドラマ」冒頭には、連載を開始するにあたっての簡単な導入部があったようなのですが、カットされています。
導入部は以下のとおりですが、これによると人間の心をテーマにした連作だったようです。三百億話まで続く可能性があったかと思うと、手塚先生のストーリーテラーとしての天賦の才に畏敬の念を禁じ得ません。
『ーたった一キロ四百グラムの人間の脳髄の中に 心のトビラがある
もしかりにこのトビラの中をのぞけば そのおそろしいほどのひろがりと深さに おそらくゾッとなるだろう
人間は 心の中をあらわすのに よろこんだり悲しんだりおこったり苦しんだりする・・・
だが 世界三十億の人々が・・・みんなそれぞれ・・・
別々の気持ちを持ったとしても・・・
もし心の中をのぞくめがねをかけさせたとしても
自分とまったくおなじ心を持った人間はひとりとしていないことがわかるだろう
だから 人間の心をテーマにした物語は 三十億か あるいはその十倍もできるはずである
そのうちのほんのいくつかをえらんで・・・皆さんに紹介するのだ・・・』