あらすじ空気の底でうごめく、ちっぽけな人間たちの世界。息がつまるような日々の暮らしの中で、若者たちの満たされぬ愛と、やり場のない怒りが、しだいに人々を狂気へと駆り立てていく……。異色の短編集、ここに登場!
空気の底のあらすじ空気の底でうごめく、ちっぽけな人間たちの世界。息がつまるような日々の暮らしの中で、若者たちの満たされぬ愛と、やり場のない怒りが、しだいに人々を狂気へと駆り立てていく……。異色の短編集、ここに登場!
暗い話が多い短編集ではあるが、通底して投げかけられているのは人間や愛とは何なのかという問いである。 白人と黒人の臓器が入れ替わったら何人になる?意識はそのままで姿形が動物になったら?血の繋がりってそんなに重要か?妄想の幸せも幸せか? この短さで十分にその物語を成り立たせている世界観を構築する力量はさすが。しかしそれはステレオタイプだったり、皆が共有している価値観を利用する(というかそれを作ったのは手塚自身とも言える)ことと表裏一体であり、現代的な感覚からすると少し物足りない原因でもある。