ハーレムハクスラスローライフローグライク
原作は所謂なろう的な異世界転移で、ゲーム的な異世界にチート能力付きで転移して、戻れないから生活していこうという典型的な物。 だが当時のなろうでは珍しかったダンジョン探索、および迷宮による経済、奴隷ヒロイン等々いくつかの要素は後続に与えた影響も多い作品で、世界観部分は結構しっかりしていた。 ダンジョンに潜るたびにシステムの新たな発見をしてプレイヤーが成長していく過程はローグライクそのもので、その手のゲームにヒロイン攻略要素を付けた上でラノベに落とし込んでいる部分は未だに感心する部分がある。 しかし原作後半は元々主人公にダンジョンの奥の秘宝などの目的もなかったので、ダンジョンに潜るのは単に奴隷ヒロインのハーレムと自分の健康を維持する「日課」になってしまい、最強装備をそろえているのにボス戦前で引き返すようなだらだらした雰囲気が漂い始めてしまった。 その上ノクターンではなくなろうなので、奴隷ハーレムのイチャつきこそ多少有れどえっちな生活は碌に描かれなかった…のだが コミカライズでは作画が上手い上にハーレムのえっちな生活が存分に丹念に描かれるという良改変を行い、色々な意味で満足度は上昇している。 だからといって世界の雰囲気は疎かにされておらず、丁寧に漫画化されていて単純にダンジョン探索物としても出来は良い、原作後半に入っていないのも有るが。 なろう原作のハーレム物としては展開はややスローで、二人目が加入するのに6巻が費やされているが、その分一人目とのえっちぃ部分やダンジョン探索もしっかり描かれていて、そういう部分も見応えは有る。 原作後半部分に入るには相当な年数がかかるので、ヒロイン全員登場できるかは不明だし、原作小説も果たして完結するのかという部分は気になるが、冒険心も下心も満たされる良コミカライズ。
ハーレム物によくある、女性同士の葛藤を男性の旺盛な性欲で予定調和に押し込んで争いが生じないことにしてしまうとか、なぜかルールを女性側が抑制する形で自主的に競争感覚で寵を争うとか、もしくは性的な描写を避けるために男性が性欲を必要以上に我慢したり、恐れたりなどの安易な展開が無く、極めて自然に女性同士の葛藤にも、男性が持つ自然な性欲にも、納得が得られる形で描こうとしているところに、作者の非常な努力を感じる。性的な描写は多いが、主人公の欲望と相手への思いやりが適度な抑制となっていて好感が持てる。表面的な性描写の量に対する浅はかな非難に負けず、あるべき姿で作品を描き切って欲しい。今のところ個人的には大人の鑑賞に足る意欲的な作品であり、他の異世界ものとは良い意味で区別した上で高く評価しています。頑張って下さい。