生贄家族 杉野アキユキ
『生贄家族』最新話感想
あれほどスマホを嫌がっていた父が、二ヶ月もすれば自分で適当に操作してニュースや天気予報を見ているくらいに、人は慣れるものである。
『神さまがまちガえる』では、異常な例外事象が"常に"発生する日々が描かれるが、そこにはやはり「慣れ」がある。
起こる例外事象は様々だが、新たな事情が起こっても「またか……」とスレた人々は脱力系で、楽しんでさえいる。楽しみ方を含め、総じて緩い。
そんな中で、どうしても気になるのは、主人公の中学生男子が暮らすシェアハウスの大家。
彼女は皆が体験している不思議事象を体験できない=みんなから取り残されている。その立ち位置は、『やがて君になる』で「皆がしている」恋ができない、燈子や侑と似ている。
悲壮さや辛さの描写は無く、大家さんは平然としているが、燈子だって最初は平然としていたわけで……先行き不透明で捻くれまくった世界に、大家さんが取り残されないカギは……やっぱり主人公?