ネットを使うすべての人に読んでほしい
テンポ良くサクサク読めて面白い。話のリアルさに吸い込まれ、どんどん読んでしまいました。 主人公の弁護士の仕事スタンスがタイトル通りの他人事なので、第三者から見てそこまで感情移入しなくて済む。 おちゃらけキャラの弁護士ですが、ただの他人事ではなく現実に向き合った最善の道をいく上での他人事に徹する、 というプロ意識の仕事をするのがみどころ。 最初のストーリーはある主婦がネットのブログに誹謗中傷を書き込まれて相手を突き止めて賠償してもらう、という話で実際の法的な話も詳しく書いてあり読んでためになりました。
SNS上の誹謗中傷によって自殺まで発展する事件をみると、他人事でありながら得も言われぬ不快感を覚えます。
実際、すごいですよね。
会ったこともない人間に対して「死ね」だの「消えろ」だの直接伝えられるとか。
恐ろしいです。
本作は、そんな被害者と法的措置をサポートする弁護士の話。
なんとも今っぽい題材で、内容自体、非常に興味深いです。
特に、誹謗中傷を書きこんだ人間の情報開示までの流れの、困難さは度肝抜きます。
また、名誉毀損にあたるあたらないなども、世間一般(というか私の尺度)よりも大分厳し目なのがびっくりしました。
そりゃ、ネット上の書き込みが何でも名誉毀損になったら裁判所はパンクするでしょうから、なんでもかんでもそうしないのはわかるのですが、どうも釈然としない。
加害者が
皆やっていることだから全く悪気がない
むしろ被害者は言われて当たり前だろ
みたいな態度をとる感じが、ホント胸糞悪い。
もっとも、ジャンルとしては「もやスカ」な題材なので、最終的にはきちんと成敗されるので、その点も魅力です。
読んでいてスッキリします。
ただの主婦だったり、会社員だったりが、ふとしたストレスのはけ口でしてしまう感じはSNS、現代社会の闇だなと痛感します。
余談ですが、開示請求されれば、いつどこで書き込んだかバレるようなので、会社PCでSNSとかはやめしょう。そう心に誓ったのでした。