「早朝始発の殺風景」感想
こういうタイプの作品はかなり好きだな。 5つの短編(+エピローグ)が上下巻にまとめられており、そのほとんどが登場人物がただ会話をしているだけ、という構成。 …それだけ聞くと退屈そうに感じるかも知れないが、それは大きな間違い。 どの話も、密室に近い空間でのやり取りなので、まるでコチラが盗み聞きしているような後ろ暗さを感じながらページをめくる。 なにより、それぞれの会話がどこへ向かっているのか、最後まで先が読めずまったく気が抜けないのだ。そして巻末に添えられたエピローグが想像力を掻き立てる…。 個人的には、表題作と「夢の国には観覧車がない」が特にハマった。
始発電車に乗った高校生の加藤木は、同じく始発に乗るクラスメイトの「殺風景」に出会った。
二人だけの車内で目が合ってしまったので仕方なく話すことになるが…。
校門もまだ開く時間ではないのに、なぜ二人は始発に乗っていたのか。
1話ごとに終点へ1駅ずつ近づいていき、互いの謎が一つずつ開示されていく。
現時点で3話まで公開されていて、淡々としつつも少し状況が見えてきた気がします。
作画は『青年少女よ、春を貪れ。』の山田シロ彦先生なので透明感のある空気と女の子がかわいくていいですね。
原作があるようですが、青春密室劇と書いてあるので終点に着いた後どれくらい続くのか気になりますね。