始発電車に乗ったら、ほとんど喋ったことのないクラスメイトの「殺風景さん」も乗っていて、お互いにどうしてこんな時間に電車に乗っているのか探る?ミステリーのようです。主人公の加藤木くんは殺風景さんの下の名前を知らないらしいのですが、殺風が名字で景が名前、ってことないですかね。ないか。
「早朝始発の殺風景」感想
こういうタイプの作品はかなり好きだな。 5つの短編(+エピローグ)が上下巻にまとめられており、そのほとんどが登場人物がただ会話をしているだけ、という構成。 …それだけ聞くと退屈そうに感じるかも知れないが、それは大きな間違い。 どの話も、密室に近い空間でのやり取りなので、まるでコチラが盗み聞きしているような後ろ暗さを感じながらページをめくる。 なにより、それぞれの会話がどこへ向かっているのか、最後まで先が読めずまったく気が抜けないのだ。そして巻末に添えられたエピローグが想像力を掻き立てる…。 個人的には、表題作と「夢の国には観覧車がない」が特にハマった。