あらすじ「青春は、気まずさでできた密室だ。」 仲良くない男2人で観覧車に乗った時。苗字が異なる兄妹で猫を拾った時。卒業式を欠席した孤高のクラスメイトに卒業証書を届けに行った時。気まずいシチュエーションに小さな謎を包んだ青春ミステリー短編集、コミカライズ完結巻!
こういうタイプの作品はかなり好きだな。 5つの短編(+エピローグ)が上下巻にまとめられており、そのほとんどが登場人物がただ会話をしているだけ、という構成。 …それだけ聞くと退屈そうに感じるかも知れないが、それは大きな間違い。 どの話も、密室に近い空間でのやり取りなので、まるでコチラが盗み聞きしているような後ろ暗さを感じながらページをめくる。 なにより、それぞれの会話がどこへ向かっているのか、最後まで先が読めずまったく気が抜けないのだ。そして巻末に添えられたエピローグが想像力を掻き立てる…。 個人的には、表題作と「夢の国には観覧車がない」が特にハマった。