①背中に金の龍の刺青を持つ警視庁の女刑事は麻薬組織の日本支部の女社長と対峙する。

②居合の達人の刑事はどんな男も必殺。一方女ボスの強さも圧倒的。二人にしか到達できない境地で殺し合うという百合がある。

③劇画調の画面も筋肉描写も美麗さがあり、初見の印象以上に読みやすかった。

読みたい
不揃いの連理

タイトルから見る"伴侶"の形

不揃いの連理
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

ここではタイトル『不揃いの連理』の語義と内容をリンクさせながら、(6巻までで)四組の女性ペアの関係を追う本作の魅力を書いてみたいと思います。 「連理木(れんりぼく・れんりぎ)」というのは、隣りあった木々の接触した枝や幹が一つにくっつき、木目まで混ざり合った状態のこと。そこから「連理」という言葉は二人の深い契りを表すのだそうです。 幸せな予感のある「連理」という言葉。では「不揃いの」という言葉はどうでしょう? 登場するペアは、いずれも全然タイプの違う二人。そしてどちらか片方、もしくは両方とも「ダメな人」だったりもします。 まっとうな会社員×元不良は見た目に反して、ダメなのは会社員の方。いかにも悪そうな人と優等生のJKコンビは、優等生が意外と暴力的etc……。でもそんな二人が何故か寄り添う。 ではそこにどんな心があるのか。 ある人に惹かれる理由を、言葉で言い表すのは難しい。でも、なぜある人の側にいるかは、理由を言える場合もある。 この作品でそれが分かりやすいのは、ダメな漫画家に接する生真面目な編集者。彼女は恋愛的惹かれの他に、ダメな漫画家を支える動機としての「ある気持ち」を持っている。そして同じようなものは、他の三組にも見て取れる。「ある気持ち」はおそらく頼りない人に対する普遍的な心情なので、納得する人は多いと思います。 「ある気持ち」で支え合い、接するうち、彼女たちはいつのまにか離れ難くなっていく。そこには理屈ではなく、もはや必然として一つになった連理木が生まれている。 伴侶って、こういうことだよな……大きな安心感とエモーションが同居する感じ。実はかなり暴力描写・しんどい内容も多いのにそれはとても不思議な感覚で、いつまでもこの物語を追う動機となってゆくのです。 ダメな人に対する、共通する「ある気持ち」......どんなものか、ぜひ本作から探してみてください。 さあ、まだ不穏な堅物教師×生徒の物語はどうなるかな? (6巻までの感想) (追記:実はマンバ読書会でリアルタイムで書いたものから、細かく改稿しています。どんなふうに変化しているか、ぜひ配信と比較してみてください! https://www.youtube.com/watch?v=FgBPuVvUHFI) #マンバ読書会 #クチコミを書く回

バウンスバック

今から追いつける「山あり谷あり」な女子ゴルフマンガ #まだ追いつけるマンガ

バウンスバック
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

「バウンスバック(bounce back)」は「立ち直る」という意味で、ゴルフだと「ボギー以下のスコアの後にバーディ以上のスコアを出すこと」なのだそうです。 逆境から立ち直る、辛い境遇から復活する……ままならない人生のようなゴルフを活写する、それが本作『バウンスバック』。 主人公は出入りの激しいプレーをする、崖っぷちの女子プロ。勝ちにこだわらない姿勢で結果を残せなかった彼女は、共に歩んだキャディーの祖父の危機に直面します。 祖父の夢・全英へ……脅威の覚醒を遂げる主人公は、祖父の教え子の力を借りて僅かな可能性に賭けますが、しかしそう甘くはなく、常にギリギリの戦いを強いられる。繊細でハードなゴルフのリアリティにハラハラさせられます。 出入りの激しさは変わらず、しかし乗った時の爆発力で周囲に夢を見せる主人公。一方ライバルのトップ選手達は安定しているのに、様々な理由で崩れ、それでも己を保って戦い続ける。選手の能力的にはマンガ的な夢もありつつ、その背景や崩れ方、回復の仕方に心理的リアリティを持たせてドラマとして魅せる。 現在11巻(2024.7.26時点)。全英へのラストチャンスは最大のピンチ。「最強のレアキャラ」と土壇場での耐久勝負。手に汗握る結末は12巻に持ち越しか……? ゴルフマンガは『あした天気になあれ』『ライジングインパクト』以来の私ですがメチャクチャ熱くなっています。「ゴルフマンガはみんな長編で追いつけない……」とお嘆きのあなた、これなら今からでも追いつけます! (ハッシュタグ #まだ追いつけるマンガ は勝手に考えました。今からでも読んでほしい作品によければ使ってみてください)

君のためのカーテンコール

殻を破った先にある絆へ

君のためのカーテンコール
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

内気で自己表現できない女子高生が、堂々とした転校生女子に引っ張られて演劇部を立ち上げる物語は、意外にも内気な主人公に脚本の才能がある一方で、転校生女子の方が焦っている様子が描かれる。読み始めの二人の印象は、少しずつ変わってゆく。 主人公も、そして転校生も、「本物」を得るために殻を破る必要に迫られる。次第に突きつけられる現実、問われる覚悟。その中で主人公は転校生の側にいるために、転校生は恐れている現実に抗うために、先へ進む。熱くて緊張感のある物語。 そこに高校生ながら劇団で活躍する「本物」の同級生、彼女らに当てられた新入生が加わり、学園祭のステージへ……この新入生の苦闘に引き摺り込まれる。 彼女はやりたいことがあるのに、その才能が決定的に欠ける人。その現実を突きつけられた彼女は、新たな道を模索するしかなかった。目指すものへの未練と、現実との葛藤……それでどこまでも若い時間を消費できると知っているので、彼女の先行きが俄然気になる。 高校演劇を描きながらプロの劇団と交流する点や、転校生と他の生徒との関係など「目指すものと現実の距離」「内部と外部」を意識的に描いて、冷静でシビアな視点がある物語。そんな中で主人公と転校生の関係は強固だが、互いに成長することでその絆がどのように変わってゆくのか、先が楽しみだ。

ヘレナとオオカミさん

創作者の物語として #1巻応援 #完結応援

ヘレナとオオカミさん
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

作家、画家、漫画家など、創作者の物語はたいてい苦しい。独自の表現を追求する戦いは必ず、己のつまらなさ、発想の貧困、そして個人的な問題とどう向き合うかのせめぎ合いになる。 まだ幼い子どもが創作と向き合うのは、さらに困難だ。絵が上手な本作の主人公・ヘレナは孤児で、弟の命も失われようとしている。そんな中で「願いを絵にしてみよう」と絵本作家「悪いオオカミさん」に言われ、できずに涙を流すが、自分でもその苦しみを理解できていない。 物語を完成させるために「悪いオオカミさん」と共同作業に挑むヘレナは、その過程で作家に煽られ、引っ張られて、自分の本心に踏み込んでゆく……それまで明るく振る舞ってきたヘレナが感情をむき出しにする様に、苦しみを感じると共に、子供らしさを見出して少し安堵してしまう。 泣いて眠った夢の中で見せる心の解決は、切なくも美しい。 ヘレナのあまりの境遇に、彼女の明るさがいつか崩れてしまうことを想像しながら読むことになる物語だが、優しい大人たちの支えでヘレナは心に安寧を取り戻す。そしてその感動的なラストから、さらに彼女が創作者としても成長することまで想像してしまう。ヘレナはきっと素敵な絵本作家になると思う(もちろん悪いオオカミさんとは全然違う方向性で)。 (『ヘレナとオオカミさん』台湾の漫画賞「金漫奨」の年度漫畫奨&金漫大奨をダブル受賞おめでとうございます!)

女だから、とパーティを追放されたので伝説の魔女と最強タッグを組みました

女性差別社会をブン殴れ! #1巻応援

女だから、とパーティを追放されたので伝説の魔女と最強タッグを組みました
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

女性差別がはびこる異世界で、パーティに理不尽な扱いを受けた魔導士の主人公は、八つ当たりの中で伝説の魔女の封印を解いてしまう。二人が手を組みパーティへの復讐を目指す物語は、現実世界にもある女性差別を数多く描き出す。 現実世界での女性差別は、とても見えにくい。例えば〈女性議員が少ない〉という問題意識に「実力のある女性議員希望者が少ない」「そもそも議員になりたがる女性が少ない」という、もっともらしい反論がある。しかしこれは女性に対する教育の不平等(女性に教育は要らないという意識、入試不正等)や女性は表に出るべきではない(=女性は男性に庇護されるべきだ、女性は家庭を守る人だ)という意識等、社会構造に練り込まれた多様な通念、しきたりが起因していて、それは男性にも、そして多くの女性にも気付かれない。 本作の異世界でも、現実世界で行われる差別が全く同じ形で表現される。主人公は身に降りかかった決定的な差別をきっかけとして、社会にある差別構造を伝説の魔女に教わりながら少しずつ自覚するようになる。主人公と一緒に、私もいちいちハッとさせられる。 魔女に肯定される主人公、主人公が肯定する女性達。世の中のおかしな構図に武力で立ち向かう二人の進撃は痛快だ。難しく考えずに勧善懲悪をなしてゆく水戸黄門的なカタルシスを与えながら、差別構造を分かりやすく描いて「女性差別はこんなに分かりやすく〈悪〉なんだ」と気付かせてくれる。 二人が社会をギッタギタにするのを期待したい。

琥珀の夢で酔いましょう

付箋を貼って読む漫画

琥珀の夢で酔いましょう
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

こんなに寄り添ってくれるメッセージに溢れた、胸熱くなる作品ってそんなにあるだろうか……大好きすぎるので6巻までを再読して、大切なところに付箋を貼ってゆく。 クラフトビールの話題が満載な本作。しかしそれと同じくらい、苦しい人・心折れそうな人の再生を描いて切実な物語でもある。 就労地位格差、身体的特性、人種差別、男性性に脅かされる女性性、性差別……さまざまな苦悩を秘めて生きる、大人になりたての登場人物たち。しかし彼らはクラフトビール専門店「白熊」で、次第に前向きになる。 クラフトビールを盛り上げるべく、打たれる幾度かのイベント。好きなものを学び、広げながら、人と繋がる。出会いの中で、自由へと解放されてゆく人たちに共振する……何かを始めたくなる! 燻る現状を告白し合うことで、主人公の派遣デザイナー・七菜は女性俳優の慎と同志になる。ピアノを諦めた同級生に、写真家の鉄雄は作品で、いつの間にか何かを伝える。ページを捲るたびに心が沸き立つ。 一方随所で、冷静かつ痛烈に、私の中にある残酷さ、思い込みや偏見を言葉にして伝える。はっとさせられたり、胸が痛くなったり。それでも西陣麦酒のブランドコンセプト「多様性(ダイバーシティ)と社会的包摂(インクルーシブ)」を取り上げ、ビールを介した人の輪の中でエンパワーメントの連鎖が起こるビジョンを語る本作は、とても力強く優しい。 私の本は、付箋でいっぱいになった。特に3巻と5巻が多いようだ。お読みの方はどうだろうか。

ローラ・ディーンにふりまわされてる

恋愛クズに振り回されるな! #1巻応援

ローラ・ディーンにふりまわされてる
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

「恋愛クズ」という存在は確かにいる。自分がモテることに自信があって、恋愛をゲームのように楽しんで、いつも自分が好かれていないと嫌で……という人物であると気付いた時には既に振り回された後。あぁぁクズ、お前に割いた時間を返せ! 本作の主人公は、人気者のクズ女に振られては復縁し、を繰り返す女子。別れるたびに友人達に慰められるけれども、何が辛いってクズ女しか見ていない主人公が、次第に親友をなおざりにしてしまうところ。 舞台はアメリカの、同性愛もポリアモリーも当たり前になっているコミュニティー。そこでは多様なパートナーの形、恋愛の形が描かれ、女性同士の恋愛も当然のことと描かる。それゆえ視線は別の点にフォーカスされる。 画面がとてもPOPだったり、ちょっとサイケだったり。ピンク+スミの二色で鮮やかな画面が楽しく、しかしそのピンクは、恋愛に振り回される主人公の閉塞感、息苦しさを演出するようでもある。 恋愛にはまり込んで大切な物を失うのはもったいない、ということがひしひしと伝わる。もっとバランスよく恋愛できないのか……とヤキモキし、渦中にいると気付かない恋愛の難しさに思いを馳せ……と一段上の次元に視点を誘う本作。恋愛と人生の見方がクリアになる、かも。 ※余談だが、本作の「恋愛クズ」はポリアモリーなのかというと、「当事者同士で合意をとった上で行う複数間の関係」がポリアモリーの定義で、それには当てはまらない。作中でも「ノンモノガミー」と紹介されている。

本棚に追加
本棚から外す
読みたい
積読
読んでる
読んだ
フォローする
メモを登録
メモ(非公開)
保存する
お気に入り度を登録
また読みたい
GALO

GALO

自然と山を愛する樵(きこり)のガロは隕石から造った武器、巨大な斧を持つ。その巨大な斧は重剣士ドグーに「ガズン」と名付けられた。ガロは死に際のドグーの言葉「巨刀皇帝に会え…」を聞き、不良少年ケンと戦闘妖精ヨニと共に帝都サダクビアに向かうことになった!月刊ガンガンファンタジーでマニアを唸らせた大傑作が電子で蘇る!

TALNA タルナ

TALNA タルナ

白いファラスに乗って颯爽と飛翔する美剣士、タルナ!魔剣『イブリース』を手にタルナおもむく処、常に闘いの炎は燃える!新鋭かきざき和美入魂のヒロイック・ファンタジー!かっての上官であり、剣の師でもあるシャムス・アル・サイフェスを追って旅をする彼女は、その途中で少年を救う。少年は自分の住む村が賊に襲われ、助けを求めて飛び出してきたという……。関わる気がなかったタルナだが、少年がお礼にと取りだした宝石を見て考えを変える。その宝石こそ、タルナが探しているシャムスの持つ魔剣『イブリース』の柄に填められていた宝石なのだ。村を襲う賊を倒し、宝石を得たタルナ。シャムスを追い進む中、魔剣『イブリース』の魔力に取り込まれ、支配され海賊へと身を落としていたシャムスと遭遇する!タルナのことを認識できないシャムスとの戦いの中、タルナは『イブリース』に宝石をはめ込むことで『イブリース』の暴走を抑えることができた!!正気を取り戻したシャムスから『イブリース』を託されたタルナは、本来の目的である皇女ゲンマ様を探すため、シャムスと別れ旅を続ける……。孤独に戦うタルナは、目的をかなえることができるのか!?

パラダイスレディ

パラダイスレディ

ダイナソー荊子(きょうこ)は、世界で活躍する超一流のファッションモデルにしてプロレスラー。超一流の不敗女帝・エンプレス大鳳と闘いたいがために、パリのファッションショーの依頼をキャンセルしてまで、女子プロレス団体『統一』に挑戦を叩きつける!観客席から乱入し、W3F(World Female Fighting Foundation)の第4位のバロネス斉藤を不意打ちで打倒してデビュー!!しかし、エンプレス大鳳から空中戦法を駆使するダッチェス霧山、パワー技炸裂のバロネス斉藤、関節技の名手・カウンテス由紀、『統一』内では大鳳に次ぐ実力の持ち主・プリンセス樹理など……次々と刺客が送り込まれてくる!!連戦を重ねていく荊子の運命は!?かきざき和美先生のコメント『やっぱりプロレスでしょう! それも、いま混迷の時代の渦中にある女子プロ!描いてみたかったんです。ずうーっと。血湧き肉躍る、そんなエンターテイメントを目指して描きました。皆さんが手に汗握ってスカッとした気分を味わっていただけたら幸いです。』

闘奴ルーザ

闘奴ルーザ

「闘奴」それは、賭けの対象としてスタジアムで死闘を演じる奴隷のことである。ルーザは幼い頃、妹のマーシャと共にさらわれ、闘奴として育成された。その後、ルーザはカマール帝国第一首府サダルスードのマシュダム総務長官に、マーシャはマシュダムのライバル、アクサブ代議に買われる。やがて二人は無敗の闘奴として、直接対決の時を迎える……!実の姉妹でありながら、殺し合うこととなったふたり。その過酷な勝負の結果は!?そして、生き残った女はそれからも生き抜くために戦い続けなければいけない。はたして彼女の運命は!?

LIZA

LIZA

アフタヌーン誌上で絶大な人気を誇った「誇り高きクヴァ族最強女戦士・ライザ」の激烈なる戦いの伝説が遂に始まる!義の民グヴァ族の最強戦士ライザは族長の娘を攫い、圧倒的な武力で大地を支配せんとするカマール帝国に戦いを挑む。そんなライザの前に立ちはだかるのは、カマール帝国の第4親衛隊の兵士、アルドラ。その剣さばきは、秘剣イブリースを操るライザをも圧倒する力を持っていた!単身敵地に侵入したものの、ライザは囚われてしまう……。果たしてライザの運命は!かきざき和美先生のコメント「1940年代のアメリカで、『ジャングル・クイーンもの』が流行した時期があります。やたら強くてキレイなヒロインが密林をとびまわり、悪党どもをやっつけるいうお話のジャンルです。私は子供の頃から、この強いヒロインに強烈な憧れを抱いていました。『ライザ』という作品は、そんな想いが結実したものといえるかもしれません。だから、戦士・ライザはひたすら強く、そして何よりも、キレイでなければならない!そんなヒロインの活躍が描ければ私はもう、満足なのであります」

刺青女刑事と麻薬組織の女頭領 #推しを3行で推すにコメントする
※ご自身のコメントに返信しようとしていますが、よろしいですか?最近、自作自演行為に関する報告が増えておりますため、訂正や補足コメントを除き、そのような行為はお控えいただくようお願いしております。
※コミュニティ運営およびシステム負荷の制限のため、1日の投稿数を制限しております。ご理解とご協力をお願いいたします。また、複数の環境からの制限以上の投稿も禁止しており、確認次第ブロック対応を行いますので、ご了承ください。