堅物小説家と妻が遺したレシピ帳
とにかく堅くて真面目な時代小説家・米蔵は、最愛の妻を病で亡くし、仕事どころか生きる気力さえなくしていたが、妻が遺したレシピ帳に載っているかんたんな料理にチャレンジすることで、自分の小説のファンでもあった妻のためにも生きようと決意するという1話目から感動が止まらない内容でした。料理を入れるお皿を探している時にイラストと同じお弁当箱を選ぶシーンがとても良かったです。
凄腕で鳴らす商社マン・神田太陽。成功するも失敗するも自己責任、というポリシーのもと、容赦なく弱者を切り捨てる手腕で出世街道を駆け上がってきた彼はある日、謀略に巻き込まれ失脚する。すべてを失った彼を拾ったのは、女性だけのゲーム会社を経営する若き社長・月島英理子。だが、この会社、実はアダルトゲーム、いわゆる「エロゲ」を専門に作っている会社だったのだ…!! 詐欺師まがいのフリープロデューサー、社員を酷使するブラックなライバル会社、突如雲隠れする無責任な脚本家…… 何もかもがいい加減なゲーム業界の最底辺で、互いの欠点を補いあい、“奇跡”を起こしながらトラブルを乗り越えてゆく英理子。太陽は彼女と過ごすうちに、働くことの意味、仲間であることの意味を再確認し、新しい自分へと生まれ変わってゆく…!!
原作者の実体験が基になっていて、知られざる業界ネタはもちろんのこと18禁ゲームに限らない弱小企業など広く当てはまりそうなテーマ性を感じました。普通に描くと欝になりそうですが、出来得る範囲で主人公が活躍するし、明るい方向のエンタメ性が工夫されています。
題材的に必要なエロ関係描写もオブラートに包まれいて、主人公周囲の女性キャラが可愛いですが余計な恋愛要素がなく、編ごとに話が区切られて読みやすい良作でした。