「新黒沢 最強伝説」各巻を読んだ感想
前作は黒沢の死を予感させる衝撃的な最終回でしたが、なんと黒沢は生きていた!!8年も昏睡状態で!!というこれまたすごい始まり方。実際に前作から7年後の連載らしいので色々と時の流れを感じます。53歳の主人公ってすごい。
事故で過去5年間の記憶を失った家路久。自分のポケットにあった10数個のカギをもとに本当の自分と、帰るべき場所をさがす長い旅が始まった……。 ▼第1話/思い出した家▼第2話/アイジンの家▼第3話/元祖(もと)・家▼第4話/男友達(しんゆう)の家▼第5話/人事課・家路課長▼第6話/義妹(いもうと)の家▼第7話/仮面(じぶん)の家▼第8話/スバルの心情●登場人物/家路久(半年前、事故で記憶をとぎれとぎれに失った40代の男)、ヨシコ(家路の現在の妻)、ヨシオ(家路の現在の家庭の子供。家路になついている)、スバル(家路の元娘。反抗的な中学生)、カオル(家路の前妻)●あらすじ/家路は会社から自分の家に帰ってきたつもりだったが、そこは、別れた家族の家だった。その家で暮らしている娘のスバルに過去のことを聞くが、はっきり思い出せない。さらに彼女からお父さんのことがキライだったと言われてしまう……。(第1話)▼家路はまたもや他人の家に上がり込んでいた。そこは、杏子という女性の家だった。杏子は、かつての愛人だった。彼女が原因で、地方に左遷されたことを知った家路は……。(第2話)●本巻の特徴/離婚した元家族や、友人の家を訪ね歩き、過去の自分のことを聞く家路。果たして記憶は戻るのか!? そして、少しも自分の家族と思えないヨシコたちとうまくやっていけるのか!?
事故によって5年間の記憶をなくした男。離婚した妻と娘のことは覚えているのに、再婚した新しい妻と息子の記憶は一切ないし、顔を見ても仮面を被っているように脳が認識してしまうので何も思い出せない。
男は複数の鍵を持っていて、ふと記憶がよみがえった時にその鍵を使って、愛人の家や、大学時代の友人の家や、単身赴任中に住んでいた家を訪ねるけど、その度に記憶を無くす前の自分はろくでもない人間だったことが分かってくる。
記憶がない自分にとっては離婚した妻と娘が本当の家族だけど、すでに元妻も再婚している。今の妻はどんなに一緒にいても他人のように感じてしまうし、もしかして自分は離婚するつもりだったのかもしれない疑惑も出てきた。最後に男が帰るのは一体どこなのか…?
2回ドラマ化するのも納得の面白さだった。記憶喪失前の主人公が結構なクズ男なのも嫌〜な感じがしつつ読み応えがあった。ラストもいい。どんな家庭も実はこうなのかもしれないと思わせられた。