「今だけ」に生きている少年少女の青春譚
表題作を始めに「ヒューストンと女の子」「もんくのある気持ち」「教科書のタイムマシン」「呼べない名前」「ハッカのびろおど」「なかない渚」「すこしときどき」の収録された短編集。 青春期の「今だけ」が、時代性に則した題材と共に描かれており、どの短編もこの作者にしか描けないものに違いないなと、読み終えるたびに思わされた。キャラの表情やデフォルメの使い分けも上手く、するりと物語に入れた。 ファンから長年愛され続ける理由の分かる、名作青春漫画だった。
青春漫画の名手・松本剛の傑作たちが、電子で甦る!宝塚歌劇の舞台に立つことを夢見る18歳の少女・遠藤君子は、宝塚音楽学校受験のラストチャンスにかけレッスンに励むが、ふとしたきっかけから君子が宝塚を目指していることがクラスメイトの高井達に発覚。級友達とのささやかな衝突と和解、高井との初恋未満の交流を経て、君子は受験会場へ向かう――。ドラマ化もされた表題作を含む、切ない思い出が鮮やかに甦る珠玉の短編集!
高校の同じクラスに誰にも応援されないまま宝塚を受験しようとしてる女の子がいるんだけど、主人公の男の子だけは味方になってくれるという全5話のお話がメインの短編集。両親はただ受験することすら大反対だし、他のクラスメイトにはバカにされるし、逆風しかないのに諦めない女の子の気持ちにも胸が打たれますが、主人公の応援の仕方がそんなに格好いい訳じゃないのがすごくいいんですよね!不器用なんだけど優しさが伝わってきて女の子は何より嬉しかったと思う。他の短編もどれも心温まる話ばかりでよかった。今ちょうどこういうのが読みたかったんです。私は「ロッタレイン」の作風よりこっちの方が好きかも。