井の中の蛙
僕の通っていた、田舎の学校は学級新聞というもの自体がなく、そこに生徒が漫画を投稿できるという懐の深さもなかったのですが、絵の上手い子はジャポニカの自由帳(表紙が虫とかのやつ)で漫画を描いていたな。 漫画描かせたら1番の子がいきなり、自分より上手な人が現れて負けじと頑張るが・・・という話で、大人の社会にもある話。 自分よりも優秀な人が現れて、切磋琢磨するか?諦めるか? あなたはどちらですか?
学生新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野。クラスメートからは絶賛を受けていたが、ある日、不登校の同級生・京本の4コマを載せたいと先生から告げられるが…!?
魂が震えるほど感動した。それほど良かった。
藤本タツキ先生を、自分はどこかちょっと引いて見ている点があった。
というのも、「ファイアパンチ」のインタビューを読んだとき、計算高い感じを受けてしまったからだ。
こうすれば読者はびっくりしたり、感動するんでしょ?
みたいなのを狙ってやっています、みたいな雰囲気をプンプン感じてしまい、とりわけ「ファイアパンチ」の1話で興奮していた自分は、その打算さにがっかりしてしまった。
続く「チェンソーマン」も、どこか薄目でみている感じがあった。
だが、もうそれを撤回する。
本作を読んで、全力で先生を追いたくなった。
それほど感動した。
この感動は自身の過去の思い出とリンクしたからだ。
本作を読んで久しぶりに思い出し、そのことで人生で初めて泣いた。
本作の主人公・藤野と自分が重なったのだ。
そして、京本のような人と出会い、同様に亡くなった経験があったからだ。
本作を読んで、感動とは、こういうことなのかと魂レベルで理解できました。
原体験に基づくとより強力なんです。
この思い起こさせてくれた体験だけで、
作品に対して、ただただ感謝し、
描いてくれた作家さんの一生ファンでありたいと思いました。