押見修造先生の表現はどこまで進化するのか
押見修造先生の最新作。新たな代表作である「血の轍」も出身地の群馬県が舞台になっていて実体験がベースにあるような気がしましたが、今作「ひろみ」はよりそれを感じました。ペンタッチがいい意味で力が抜けているのも、頭の中の朧げな記憶をそのまま描き表したい意図があるように思えました。すでに「血の轍」の時点で、研ぎ澄まされた心理描写は誰も真似できない地点にありましたが、押見先生の表現がこれから更に進化することを予感させられますね。物語の展開としてもちろん後編が気になりますが、その前に子供である主人公に罪悪感を植え付けた女教師はマジ許すまじ…!
コロナ禍の辛さって突然始まったわけじゃないよね、それまでの人生もあってこれまでもこれからも連綿と続いていくんだよね、っていう形で20年ほど前からスタートして描かれる女性二人の話で超良かったです。
小学校のあの頃、親の意向や家庭環境の違いなど、本当はもっと仲良くしたかったのにできなかったり、すれ違ったり会えなくなったり。
そんな二人の少女は大人の女性になって再び巡り合う。
人生ってうまくいくときもあればそうじゃないときもあるよね。
そのときどきでうまくいってる人が助けて支えあっていけばいいじゃんね。
素敵な話でした。
コロナ禍で主人公側の会社が倒産して鬱になってしまって、同居人のその子がどうしたらいいか分からないけど、とびきり甘やかしてあげる感じ、どちらの気持ちもわかってたまりませんでした。
コロナ禍だから、とかじゃなく、普遍的に起こり得る不幸と素敵な関係に心温まりました。
がんばろう。