人生に疲れた男が寿命を買い取ってくれるという謎のお店で手にしたのは、残りの人生の価値をもとに査定された30万円。手元に残した余命3ヶ月をミヤギという監視員の女性とともに過ごすことに。
世にも奇妙な物語のような設定と、終始漂う退廃的な雰囲気が特徴の作品です。「余命モノ」という言い方はよくないかもですが、あまりピンとこなかったジャンルだったのに、本作には完全に心奪われてしまいました…。

始めの頃は主人公クスノキの鬱々とした暗い性格や振る舞いを冷めた目で見てしまうかもしれませんが、3ヶ月という限られた人生の中で彼は徐々に変わっていきます。そのキッカケはやはり隣りにいるミヤギ。
ただ見守るだけだった彼女の存在が物語とクスノキの人生に少しずつ光を当て始めてからは、残りページを読み終わってしまうのがもったいないような切ない気持ちになります。作品の中に滞在してるのが心地いい感じというか。

私小説的な語り口で、どことなく閉じた世界観。人を選ぶような気はしますが、なにか行き詰まりを感じてる方に読んでほしいかも。ほんの少しかもしれませんが、読む前より前向きな気持ちになれるはずです。

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エロイーズ 本当のワタシを探して

物語の始まりのシーンが好き

エロイーズ 本当のワタシを探して
ANAGUMA
ANAGUMA

本作、ベンチに座っていたエロイーズがふと記憶喪失になっていたことに気付くシーンから始まるのですが、その自然さがなんだか巧みで、ピンク色のカラートーンとともに強く印象に残っています。 メインとなるストーリーラインはサブタイトルにもある「本当のワタシ」探し。 少ない手がかりを元に記憶を失う前の自分がどんな人間だったのかを調べていく…と書くと壮大なミステリーやサスペンスのようでもありますが、そうそう大変なことが起こるわけでもないのが人生というものかもしれません。 どこにでも居る女性だった(と思われる)エロイーズ・パンソンの身の回りも、世の人のご多分に漏れずありふれた出来事ばかりだったようで、一生懸命過去の自分の身辺調査を行うほどに些細でちっぽけなことばかりが判明していきます。そのようすは親近感やおかしみと同時に、どこか空虚さというか、切なさも感じさせたり…。 「記憶を失う前の自分ってどんな人間だった?」というのを入り口に「そもそも根本的に自分ってどんな人間なんだろう?」という二重の意味で「本当のワタシ」を探すことになるのが妙味です。 そんな深いテーマもありつつ、バンドデシネとしてはかなり読みやすい部類に入ると思います。エロイーズのちょっとした仕草がどれもかわいかったり、普段縁遠いフランスでの「フツーの」暮らしが垣間見えるだけでも面白いので、読む機会があれば気軽に手に取ってみてほしい一作です。

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もっと!ふたりエスケープ

もっと!ふたりエスケープ

可愛いだけが取り柄の無職先輩と、締め切りに追われる漫画家の後輩が辛い現実から逃れて日常をパッと明るく楽しくするため、あの手この手で現実逃避をするコメディ漫画!コミック百合姫にて連載された「ふたりエスケープ」の続編同人誌が『もっと!ふたりエスケープ』として登場です☆連載の元となった同人誌と、コミックス未収録の原稿や書店販促用のカラーイラストなども収録しています。第一弾は「その1金沢でエスケープ編」♪ 金沢にエスケープするふたりをお楽しみください!!※本作は田口囁一の個人誌作品の電子書籍版となります。【23ページ】

ペンションライフ・ヴァンパイア

ペンションライフ・ヴァンパイア

【デジタル版限定!「少年ジャンプ+」掲載時のカラーページを完全収録!!】人類を脅かす怪物たち“カタラレ”と戦う改訂官(リライター)のエリ。しかし突然の終戦により普通の女子高生として暮らす事に! 学校生活に馴染めないエリは街中で吸血鬼(ヴァンパイア)の少女を見かけ、跡をつけてみると少女が経営するペンションに客として迎えられ…!? 人と吸血鬼の異文化コメディ開幕!

ふたりエスケープ

ふたりエスケープ

〆切に追われる漫画家の「後輩」は、どうにか心をパッと明るくしたい。そんな時、「現実逃避のプロ」を自任する無職の「先輩」からアドバイスが…! 携帯を封印(物理)したり、意味もなく終点の駅まで行ったり、斜め上の贅沢をしてみたり…。限界漫画家と、顔は良い無職。ふたり暮らしな現実逃避コメディー!!

フジキュー!!! ~Fuji Cue’s Music~

フジキュー!!! ~Fuji Cue’s Music~

憧れのバンド・ブルーベアーズに入れてもらうため、POPミュージック界最高峰の養成高等学校、国立音楽アカデミー(通称JAM)の首席卒業を目指すフジキューこと不死原求(ふじわらもとむ)!まったくの音楽素人が、持ち前の超ポジティブシンキングで、その難題に挑む……!!

シアロア

シアロア

「シアロアはもしかして神様か何かで いつもどこかで私達を見てるんじゃないかな」 “シアロア”。正体不明の音楽ユニット。彼らが歌にするのは、ある時は「非日常に憧れる優等生」のある時は「友人関係に悩む少女」のそしてある時は彼ら(シアロア)自身の感傷――今この位置を愛せない僕らに優しく突き刺さる“歌”をめぐる一人ひとりの物語。

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