押見修造先生の表現はどこまで進化するのか
押見修造先生の最新作。新たな代表作である「血の轍」も出身地の群馬県が舞台になっていて実体験がベースにあるような気がしましたが、今作「ひろみ」はよりそれを感じました。ペンタッチがいい意味で力が抜けているのも、頭の中の朧げな記憶をそのまま描き表したい意図があるように思えました。すでに「血の轍」の時点で、研ぎ澄まされた心理描写は誰も真似できない地点にありましたが、押見先生の表現がこれから更に進化することを予感させられますね。物語の展開としてもちろん後編が気になりますが、その前に子供である主人公に罪悪感を植え付けた女教師はマジ許すまじ…!
サモトラケのニケの案内によって時空を超えてルーブル美術館に所蔵されている作品や芸術家を巡っていくのですが、まるで夢を見ているかのように美しい漫画です。というか芸術作品ですね。谷口ジロー先生の偉大な芸術家達に対する最大限の尊敬がここにあります。ゴッホと会話する場面とかさぁ。あまりにも良すぎて何も言えないですね…。