ヒラエスは旅路の果て
死んでしまった友達との再会を夢見て自らも死を目指す少女・不老不死の男・陽気な神様の3人が黄泉比良坂まで一緒に旅をするロードトリップ…的な1巻での期待値を超えてくることが無かった。日々野とハニの関係性ってそうだったんだ、とか。 自由な絵は魅力的。
親友の死にショックを受け、自分も死のうとトラックの前に飛び出した少女・ミカ。彼女を救ったのは、不死身の男・日々野と、神を自称する青年(?)だった。二人が黄泉の国を目指していることを知ったミカは、その旅への同行を志願する。友人との再会を夢見て……。
試し読みをすると、何だか随分明るい雰囲気で、生死の話をしていても深刻に見えないかもしれません。しかし先を読んでいくと、カジュアルさを纏いながらもそこには切ない思いがあり、胸に来る物語となっています。
親友を亡くした少女が、死期を悟った神様、死ねない男と共に「黄泉比良坂」を目指すお話。三人それぞれの死生観はどうしたって重くなりますが、それを美麗な画面と、かなりズレている三人の楽しい旅が和らげます。
少女がいかに親友への喪失感に苛まれているかが語られる。喪った大切な人への「執着」、そしてその「執着」を失う事への恐怖に、強く共感してしまう。
心に亡き友を想いながら旅をする、という形は例えば『マイ・ブロークン・マリコ』とも似たところがあります。その想いの強さも同様ですが、それは旅の同行者や出会った人によって、変化を起こすのか。それともその重い愛を保ったまま、少女は黄泉の国に辿り着くのか……。
そんなロマンシス(女性同士の愛情にも近い友情)的観点からも、今後読み続けたいと思います。
(勿論、人の視点を超越した神様、死ねない男それぞれの物語も今後注目。男色が描かれるので、百合好きさんはご注意を)